道社連・札幌市社連が研究大会 自ら参画する子を育成 3年研究最終年の成果発表(関係団体 2018-10-16付)
新保委員長は、公民的資質の基礎を育むため、全教師がより良い社会科教育を行っていく必要を強調
道社会科教育研究連盟(=道社連、新保元康委員長)・札幌市社会科教育連盟(=札幌市社連、同委員長)は十二日、札幌市立屯田小学校で第七十三回道社会科教育研究大会札幌大会・第四十六回札幌地区社会科教育研究大会を開いた。研究主題「自ら参画し、たくましく生き抜く北国の子の育成」、副主題「未来を切り拓く資質・能力を育む社会科学習」のもと、三ヵ年継続研究の最終年度として、教科書活用型と教材活用型の二つのアプローチによる十一授業を公開。約四百二十人が参加し、社会科教育のさらなる充実に向けて考えを深めた。
本年度は、二十八~三十年度の三ヵ年継続研究のまとめの年であり、過去二年間の「教材開発」「学習過程」に焦点を当てたこれまでの研究成果をもとに、「より深める場」のある社会科学習の研究を進めてきた。
開会に当たり、新保委員長があいさつ。子どもたちに社会の成り立ちとそれを支える様々な人々がいることに気付かせ、ともに新しい社会を創るための知識、創造力、勇気を育てる社会科の使命を強調。公民的資質の基礎を育んでいくため、社会科専門の教師のみならず、全教師がより良い社会科を行っていく必要があるとし「本日の研究授業と提案には、北海道、そして、日本の未来のためにあるべき社会科を本気で考えた魂が入っている。温かい応援、厳しい批正をお願いする」と述べた。
続く全体会では、道研究部の日野澤佳史研究部長、市小学校研究部の中井健司研究部長、市中学校研究部の高橋吾一研究部長が研究概要を発表した。
授業公開は、小学校が教科書活用型授業四本を実施したほか、「エネルギー」「交通環境」「雪」「ほっかいどう学」のテーマに基づく教材活用型授業を実施。中学校が教材活用型授業三本の授業を公開した。屯田小のほか、札幌市内の小学校四校、中学校三校の教員と生徒が、授業を実施した。
授業後の分科会では、十五地区から責任提案が行われ、研究協議を実施。
このあと、東北学院大学文学部教育学科の佐藤正寿教授が「社会科の日常授業を、どのように改善するか」と題して講演したほか、パネルディスカッションを行って社会科の授業改善の方策を探った。
◆胆振東部地震題材に学習 小・中の11授業公開
十二日に札幌市立屯田小学校で開かれた第七十三回道社会科教育研究大会札幌大会・第四十六回札幌地区社会科教育研究大会では、小・中学校で十一の授業を公開した。このうち、屯田小四年生の「地震からくらしを守る~“協力体制”が未来の“安定”した生活に」の授業を石山雅人教諭が指導。北海道胆振東部地震を題材に、災害時に自らを守る「自助」の重要性とともに、行政による「公助」、地域住民による「共助」の協力体制のつながりを学んだ。
札幌市小学校研究部では、二十八~三十年度の三ヵ年継続研究の主題を「未来を切り拓く資質・能力を育む社会科の授業」に設定。
「地域に誇りをもつ教材化」「社会的事象の意味を明らかにする問題解決の学習展開」「社会的事象の意味を明らかにする本時の問題解決」「知識・技能を定着させる教師のかかわり」を視点に掲げて研究を進めている。
この日、小学校では八本、中学校では三本の授業を公開。
四年生の「地震からくらしを守る~“協力体制”が未来の“安定”した生活に」の授業は、石山教諭が指導した。
本時は、全十時間の単元の七時間目の授業。札幌市の防災担当部局や町内会の関係者から学んだ行政による「公助」、地域住民による「共助」の取組を踏まえ、災害から自らを守る「自助」の重要性と三者協力体制の大切さに気づくとともに、積極的に公助、共助にかかわることがくらしの安定につながることを明らかにすることを目標に設定した。
石山教諭ははじめに、北海道胆振東部地震発生当時の状況を児童に尋ね、災害に備えるために必要なものを発問。児童からは、防災用品の用意、避難訓練の実施や防災情報の収集など活発に意見が出され、それぞれ「公助」「共助」「自助」のカテゴリーに整理した。
石山教諭はさらに、それぞれが機能するために必要な役割についても質問。児童からは「公助、共助だけに頼らず、自分の身は自分で守ることが必要」「防災マップも、読んで理解できなくては意味がない」など、「自助」の重要性に関する意見を挙げた。
その上で石山教諭は、三者のカテゴリーをつなぎ、「積極的に自助に取り組むことが、三者の協力体制の持続につながり、未来の暮らしの安定につながる」とまとめ。児童からは「防災マップを読めないお年寄りを助けなくてはならない」「身を守るための正しい情報を、多くの人に教えてあげるべき」など、自ら防災の取組に加わろうとする積極的な意見が挙がった。
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北海道胆振東部地震を振り返り、自らの身を守る大切さを確認
(関係団体 2018-10-16付)
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