道人事委員会勧告に対し各団体が声明 今改定で生活改善されず 道公務共闘地公連絡会
(関係団体 2018-10-16付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)、道教組(川村安浩執行委員長)などで構成する道公務・公共業務労働組合(=道公務共闘)地公連絡会は十日、道人事委員会勧告に対する声明を発表した。五年連続の賃上げ勧告となったものの、物価上昇分にも満たない改定、現給保障廃止、十七年間の道独自削減などを課題に挙げ「今回の改定分では生活はまったく改善されない」などと批判。今後、任命権者との賃金確定交渉で、賃金や手当の改善、希望者全員の再任用と長時間過密労働の解消など、「憲法を守り活かす道民本位の道政を目指してたたかう」と表明した。

 声明の概要はつぎのとおり。

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 道人事委員会は十月十日、知事と道議会に対し、道職員・教職員の本年度の給与等についての勧告と報告を行った。

 この間、道公務共闘は道人事委員会と二回の交渉を行い、現場の切実な声と実態を届けてきたが、我々の労働基本権制約の代償機関としての役割を果たしたとは到底言えない内容である。

1.勧告の主な内容

(1)月例給・一時金ともに五年連続の引き上げ

①月例給の引き上げ六百三十七円(〇・一七%)

ア 月例給公民較差独自削減前六百三十七円(〇・一七%)、独自削減後二千七百五十六円(〇・七三%)

イ 給料表(行政職給料表の場合)は、初任給を一千五百円引き上げ、若年層は一千円程度の改定。その他の層は再任用も含め四百円を基本に改定

②一時金は四・四五月(再任用二・三五月)

 現在の四・四〇月を四・四五月に、再任用職員は二・三〇月を二・三五月に引き上げ、勤勉手当に配分

(2)医師・歯科医師および獣医師に対する初任給調整手当の支給限度額を百~五百円引き上げる

(3)宿日直手当を、人事院勧告の内容に準じて支給額を二百~一千円引き上げる

(4)実施時期

 本年四月にさかのぼり実施

2.生活改善にほど遠い勧告、現給保障の経過措置期間終了により多くの職員が賃下げ

 月例給は、民間より〇・一七%(六百三十七円)低いとして、行(一)の俸給表でいえば、初任給を一千五百円、若年層を一千円、それ以外を四百円引き上げた。

 五年連続の引き上げはこの間の取組の成果といえるものの、物価上昇分にも満たない改定、現給保障廃止、十七年間の道独自削減などを踏まえると、今回の改定分では生活はまったく改善されない。

 一時金は、国並みの四・四五月、再任用者も二・三五月となったが、その改善は「勤務実績に応じた給与を推進する」として引き上げ分をすべて勤勉手当に充てている。

 「国並み」への引き上げは最小限の努力であり、すべてを差別的な勤勉手当に充てるとした勧告には断固反対する。

 また、宿日直手当について、国と同様に引き上げたことについては前向きに受け止めるが、高校寄宿舎における宿日直業務の中には、業務として認められている「ほとんど労働する必要のない業務」、いわゆる断続的業務を大きく超える過重な負担が強いられている状況にあり、今後、負担軽減や疲労回復に向けた具体策の検討を求めていく。

3.安心して定年退職を迎えるための雇用と年金の接続を

 二〇一八年三月末の定年退職者から年金支給開始年齢が満六十三歳となり、雇用と年金の接続は、より大きな課題となっているにもかかわらず、北海道における教員の再任用率の改善が進まない。

 本年度、再任用率は、小学校で九三・〇%、中学校八八・一%、高校七一・九%、特別支援学校七〇・八%と、特に、高校・特別支援学校の再任用率が低下している。

 公務運営に関する報告では「年金支給開始年齢の段階的な引き上げによって、再任用職員数は、増加傾向で推移することが見込まれている」と言及するのみで、再任用率の低下について一切ふれていない。そればかりか、「地方勤務を促す取組を一層進める必要がある」と、昨年とほぼ同様の報告にとどまっており、これでは、再任用率の低下を踏まえた報告とはいえない。

 また、民間では定年前と再雇用の社員の手当に格差を設ける場合、「各賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」との最高裁判決が示されるなど、民間で今まで行われていた賃金格差の合理性に疑義が生じている。道人事委員会は、国・民間準拠のみに終始するのではなく、これらの状況を踏まえ合理的な労働条件として決定されるよう役割を果たすべきだ。人事院が示した定年引き上げに関する「意見の申出」で、定年年齢の引き上げの必要性に言及はしているが、段階的な引き上げのため、当面は現行の再任用制度は継続されることとなる。

 引き続き、希望者全員の再任用、また、寒冷地手当やへき地手当などの生活関連手当を措置するよう強く求めていく。

4.臨時・非常勤職員の雇用・労働条件の改善を

 地方公務員法および地方自治法の一部改正によって、二〇二〇年四月から地方公務員の臨時・非常勤職員の「任用」が厳格化され、新たに「会計年度任用職員」が創設される。この法改正は、地公法等、根拠に基づかない不適切な「任用」が全国的にみられたことに端を発している。

 道人事委員会は、「道においても、法の趣旨を踏まえ、非常勤職員等の任用、勤務条件の在り方について検討するなど、適切に対応していく必要がある」と言及しているが、人件費圧縮のため、恒常的な職までも臨時・非常勤職員にしようとする任命権者の任用方針に一定の歯止めをかけることが必要だ。

 また、民間企業では、同じ仕事をしていれば、同じ待遇にすべきという「同一労働同一賃金」が法制化され、さらに、改正労働契約法の無期転換が始まっており、すべての労働者の雇用の安定と賃金の改善の方向に進んでいるのが民間の状況だ。公務職場においても、この理念を実現するため、今後も、臨時職員・非常勤職員の雇用の安定を図り、賃金および労働条件の改善を求めていく。

5.具体的で、実効性のある超勤解消策を

 労働者全体の働き方の見直しが進む中、教職員の超勤解消について、道教委は「北海道アクション・プラン」を策定し、四月から、学校現場で取組がスタートしている。

 道人事委員会は、公務運営に関する報告で「教育委員会においては、本アクション・プランに基づき、実効性のある取組を着実に進めていく必要がある」としているが、実効性を持たせるための具体的な内容や根本的解決を図るための教職員の定数増についてはふれていない。昨年、道高教組・道教組が行った「全道教職員・働き方改善アンケート」には、超勤解消を解決するためには「教職員の定員を増やすこと」「業務量に見合った人員配置」が必要であるとの声が多数寄せられた。今後、超勤の根本的な解消のため、定数改善や少人数学級の実現を求めていく。

 公務員賃金は、公務労働者はもちろん、すべての労働者の賃金や最低賃金にも影響するものである。

 今後は、民間労働組合や民主団体と共同し、任命権者との賃金確定交渉において、賃金や手当の改善、希望者全員の再任用と長時間過密労働の解消など、労働環境整備の諸要求の実現と合わせて、憲法を守り活かす道民本位の道政を目指して総力を挙げてたたかうものである。

(関係団体 2018-10-16付)

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