道特別支援学校長会が道教委へ提言 専門性向上の研修など 31年度文教施策に関し2点
(関係団体 2018-10-19付)

 道特別支援学校長会(宮崎真彰会長)は、道教委に対して『三十一年度道文教施策に関する提言書』を提出した。①教職員の専門性向上のための研修の在り方②特別支援教育における「生涯スポーツ」につながる運動・スポーツに関する教育活動の充実に向けた取組や支援等の在り方―の二点について提言。①では、「研修の一層の充実を図るための人材派遣」など三点、②では、「“生涯スポーツ”にかかる理解と啓発の推進」など二点を示した。

 同校長会は、二十六年度から調査研究をもとに考察した内容を提言としてまとめ、道教委に提出している。

 三十一年度の文教施策に関しては、「教職員の専門性向上のための研修の在り方」「特別支援教育における“生涯スポーツ”につながる運動・スポーツに関する教育活動の充実に向けた取組や支援等の在り方」の大きく二点について提言した。

 提言1「教職員の専門性向上のための研修の在り方に関する提言」は、調査研究「教職員の専門性向上のための研修の在り方について」をもとに取りまとめた。

 本道における障がいの重度・重複化、多様化への対応や、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒への指導・支援に関する専門性をより一層向上させるため「研修の一層の充実を図るための人材派遣」「研修充実のための研修促進費の増額および配分の工夫」「北海道の広域性を考慮した研修体制の確立」の三点について提言した。

 提言2「特別支援教育における“生涯スポーツ”につながる運動・スポーツに関する教育活動の充実に向けた取組や支援等の在り方に関する提言」は、調査研究「特別支援教育における“生涯スポーツ”につながる運動・スポーツに関する教育活動の充実に向けた取組や支援等の在り方について」の成果が基礎となっている。

 本道の各地域における生涯スポーツの定着および充実・発展に向け「“生涯スポーツ”にかかる理解と啓発の推進」「施設設備の充実と指導者の育成」の二点を提言した。

  『三十一年度道文教施策に関する提言書』の提言内容はつぎのとおり。

【提言1】教職員の専門性向上のための研修の在り方に関する提言

 本道では、道立特別支援教育センターや各教育局などにおいて、特別支援教育に関する基礎的・基本的な知識の習得に向けた研修や、専門性向上に向けた研修を実施している。また、特別支援教育コーディネーターなどを対象にした特別支援教育充実セミナーを実施し、教員の専門性の向上に努めてきている。

 今後は、障がいの重度・重複化、多様化への対応や、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒への指導・支援に関する専門性をより一層向上させるための研修が重要であるとの観点から、以下の事項を提言する。

▼研修の一層の充実を図るための人材派遣

 教職員の専門性向上を目的とした研修を一層充実させ、これからの教育課題等の解決に資するために、本庁・各教育局の指導主事や、道立特別支援教育センターの研究員等が講師・助言者として、学校へ機動的に派遣可能となるシステムの充実が必要である。

▼研修充実のための研修促進費の増額および配分の工夫

 各学校の専門性の向上のためには、教職員を校外・道外に派遣して研修させ、その成果を校内で還元したり、校内研修を充実させたりすることが必要である。そのためには、研修予算の増額とともに、校内研修のための講師招へいにかかる経費等を各学校の研修ニーズに応じて配分するなど、校内教職員研修促進費の新たな在り方を検討することが必要である。

▼北海道の広域性を考慮した研修体制の確立

 各学校の研修を効率的、効果的に進めるためには、各圏域や管内にある特別支援学校間で連携、協力した研修を実施するなどの工夫が必要である。また、全道的な課題のほか、各地域の特性・課題などに応じた研修がより身近な地域で実施可能となるような研修体制の在り方を検討することが必要である。

【提言2】特別支援教育における「生涯スポーツ」につながる運動・スポーツに関する教育活動の充実に向けた取組や支援等の在り方に関する提言

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、障がい者スポーツに対する国民の関心も確実に高まってきている。

 このような中で、特別支援学校に在籍する幼児児童生徒が、スポーツに関心をもち、将来にわたって健康の保持増進や、スポーツに親しむ意欲や態度を身に付けていくことが重要である。

 そのためには、授業や部活動などの学校完結型の活動で終わることなく、それぞれの地域の施設、設備、指導者等の実情を考慮しながら、各地域において「生涯スポーツ」が定着し、充実・発展させることが必要である。

 これらのことを実現するために、つぎの二点について提言する。

▼「生涯スポーツ」にかかる理解と啓発の推進

 実際にスポーツのアスリート(メダリストなど)の競技の様子を間近で見たり交流したりするなどの体験は、幼児児童生徒の興味や関心を高めることに大きく影響する。

 こうした機会を多くもつことが重要であることから、現在実施されているアスリート派遣事業等の障がい者スポーツの普及・啓発のための施策のさらなる充実が必要である。

 また、障がい者スポーツを発展させるためには、幼児児童生徒が暮らす地域において、「生涯スポーツ」に関する情報等を学校や関係機関などと共有したり、各地域の特色や地域性、スポーツに対する住民の関心度、リソース、施設・設備等の現状を把握したりしながら、多様なスポーツ的活動を普及させていくための推進方策を検討することが必要である。

▼施設設備の充実と指導者の育成

 障がいがある方々の「生涯スポーツ」を発展させるために、障がい者が利用しやすい施設設備の充実や指導者の育成などが重要である。

 そのために、地域との連携の在り方や使用しやすい施設設備の在り方、指導者の位置付け、その管理の在り方など様々な面からの検討課題があり、関係機関との調整が必要である。

 また、特別支援学校が障がいのある方々の「生涯スポーツ」の必要性を地域に発信したり、障がい者スポーツを推進する役割を担う教職員育成や指導者となり得る地域人材を確保したりするための方策を検討することが必要である。

(関係団体 2018-10-19付)

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