魅力ある活動を推進 道教組中央委員会で川村執行委員長あいさつ
(関係団体 2018-10-19付)

道教組中央委・川村委員長
人間らしく働ける条件整備を訴える川村執行委員長

 道教組の第三十一回中央委員会における川村安浩執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。

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 教職員組合としての魅力ある活動の推進について。

 教職員組合ならではの魅力は「教師として成長したい」という教師としての根源的な要求を真正面から受け止めるところにある。

 改訂学習指導要領の先行実施が小・中学校で始まっている。今回の改訂の特徴は「教える内容を規定するにとどまらず、学習の仕方にまで踏み込んいる」と言われている。「何を教えるかは、お上が決める。教員はどう効率よく教えられるかの能力があればよい」「授業の進め方もお上が決めてあげる。教員は、子どもが言われたことに従って活動しているかどうかを見定めるだけでいい」とまで言っているようなものである。「“何を”も、“どうやって”も押し付けられ、それに忠実であるかどうかのチェックをするだけの教師」が、私たちの目指す教師像ではない。本物の教育、学びとは何かを語り合い、教員としての仕事の質を高め合う活動は、教職員組合ならではである。

 「物言わぬ教師づくり」がますます進行していく中で、学校もどんどん変質されている。人格の完成を目指す場であったはずが、“誰かさんにとって都合のいい”人材の育成がそのねらいとされている。いろいろなことを学び吸収して大きくなっていく場所が学校だったはずが、覚え身に付けるのは塾や家庭で、学校はそれを発表して評価してもらう場所にされてしまってはいないだろうか。

 日本の学校教育が「過度な競争主義」に陥っていると指摘されてきた。私は、今や「競争さえもさせてもらえない学校」となってしまうのではないかとの恐れを感じている。日本を企業が世界で一番活動しやすい国にしようと画策している勢力が「役に立つかどうか」の一つの基準で人間の価値を決めようとする社会、そこへ適応することを押し付ける学校。これでは、子どもたちが輝くはずがない。

 私たち教員は、子どもたちが瞳を輝かせて元気に学校へ通ってくる姿にひかれて、教員の道を選んだのではないか。子どもたちの瞳から輝きを奪うものには、きっぱりと対決できるのが教職員組合。そして、子どもたちの瞳をさらに輝かせるため、教師の主体的な力量を高め合おうと学び合う。それは、教職員組合だからこその活動である。ことしも十一月三、四日に合同教育研究集会が開かれる。旺盛に学び合い、教職員組合ならではの魅力を感じ合おう。

 労働者として人間らしく働ける条件整備を、団結の力で勝ち取っていくことについて。

 私たちの仕事は、時間的にも量的にも「ここまで」という切りをつけるのがとても難しい仕事である。また、「子どものために」と思えば無理も通してしまうのが教員で、「遅くまで学校に残っているのがいい先生、どんなことでもやってくれるのがいい先生」というのが社会の風潮であり、教員の中にもそんな意識がある。それに乗じて“遅くまで”も“どんなことも”際限なく膨らんできた。ビルド・ビルドでスクラップなどあり得ないという状態。さすがにもう限界である。

 そんな過酷な労働実態に、教員が悲鳴を上げ、多くの人たちが関心をもち応援してくれるようになってきた。その力が「教員の働き方の改善を!」という大きなうねりをつくり出してきている。その声に押されて、国も文部科学省も道教委も動き出した。大きな一歩である。

 しかし、その中には「五日の有給休暇を時期指定して強制的に取得させる」「学校閉庁日は設けるが、その間は有給休暇を行使せよ」というような労働者の権利をないがしろにするような対応も見受けられる。ごまかされない注意深さが必要である。

 教員の労働が際限なく拡大していく元凶は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)にある。「過労死ラインを超える時間外勤務は、残業ではない。それぞれが好きでやっていること」「だから、いくら超過勤務をしても残業手当は支払う必要がない」というのが給特法によって定められている。

 いつ終わるとも知れない仕事でも、命を削るほどのストレスを感じながらこなしていく。そこに歯止めをかける仕組みが教員の労働にはないのである。「働かせホーダイ」を野放しにしてしまったのは、給特法の規定。しかし、「残業代も出ず、いつまでも働く」ことが何ら罰則もなく平気で済ませられるのが法のもとで決められていることを、当事者の教員のどれだけが理解しているだろうか。「当たり前の労働の在りさま」と「教員だからこそ、そこから疎外されていること」を広く知らせること。そこが労働組合としての我々の出番である。

 給特法のもと、長年にわたって膨らんできた「教職員の仕事」。それを「当たり前の働き方」に戻すのは、並大抵のことではない。でも、「知らせる」ことで仲間を大きく増やすことができる。その仲間たちが声を上げることで、大きなうねりとなる。そして、「教員の働き方の改善」につながる。ここからが正念場。労働組合として、「人間らしい働き方」を目指す取組を全力で進めよう。

(関係団体 2018-10-19付)

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