十勝国際理解教育研究会が帯広大会 世界にかかわる行動力を 授業公開や研究協議など
(関係団体 2018-11-27付)

十勝地区国際理解教研大会・山川会長
全体会であいさつに立つ山川会長

 【帯広発】十勝国際理解教育研究会(山川修会長)は十月下旬、帯広市立森の里小学校(池下栄里子校長)と帯広市立緑園中学校(花井豊校長)を会場に、第三十九回十勝地区国際理解教育研究大会帯広大会を開いた。会員約九十人が参加。研究主題「多様な世界に関わり続ける行動力を身に付けた児童生徒の育成~世界と関わる楽しさを行動化につなげる学びの創造」のもと、国際理解教育の充実に向けて、授業公開や研究協議などを通して研鑚を積んだ。

 同会は研究主題のもと、研究仮説として、①五感を使った体験的な学習(活動)を設定することによって、世界とかかわることを楽しみ、世界が抱える課題を“自分ごと”として感じる児童生徒を育成する②問題解決的な学習を行い、対話を通して想いを発信したり、表現したりする活動を行うことで、新たな価値との出会いと行動化につながる意欲と能力を身に付けた児童生徒を育成することができる―の二点を掲げ研究を進めている。

 授業公開のあと、全体会を行い、山川会長があいさつ。

 「子どもたちは、自分が生活している場所が中心となって、その視点から世界を理解しようとしている」と指摘し、「公開授業では、そうした視点を揺さぶっていただいた。私たちがするべきことは、子どもの視点を把握すること。それが国際理解教育の第一歩となる」と述べた。

 来賓あいさつでは、十勝教育局の瀬越義範義務教育指導班主査と帯広市教委の村松正仁学校指導担当部長が登壇。

 瀬越義務教育指導班主査は、大橋則之局長のあいさつを代読。

 国際理解教育について「豊かな自然や伝統文化を理解するとともに、諸外国の人々を理解し合い協調して生きていく態度や自らの考えを伝えるコミュニケーション能力が重要」と述べ、研究大会の成功を祈念した。

 村松学校指導担当部長は、二〇二〇年開催の東京オリンピックについて、「国際社会に対する認識を深め、豊かな感性や国際感覚を育てる絶好の機会」と指摘し、さらなる研究の充実と発展を期待した。

 小室彰人研究部長が基調提言を行ったあと、小学校部会と中学校部会に分かれて研究協議。

 このほか、実践交流では本別町教委で英語教員を務める佐々木美保さんが「本別中高生のチャレンジ~オーストラリア・ミッチェルへ」と題して発表。

 また、JICA北海道(帯広)の晋川眞所長が講話などを行った。

自然保護の考えまとめる

◆各国の取組もとに―公開授業 帯広市森の里小5年2組国語科

 第三十九回十勝地区国際理解教育研究大会帯広大会では、森の里小学校の太田桜教諭、緑園中学校の山崎慶太教諭が授業を公開した。

 うち、太田教諭は、五年二組(児童数二四人)の国語「多様な情報を読み取り、自分の考えを深めよう~世界遺産 白神山地からの提言―意見文を書こう」を指導。ゲストティーチャーから各国の自然遺産保護の取組について説明を受け、環境保護に対する意見をまとめさせた。

 本時は十一時間扱いの十一時間目。目標は「世界の自然遺産を知る」「自然遺産保護活動の実際を知る」「自然保護に関する自分の考えを再考し、これから自分ができることを意識することができる」。

 前時までに児童は、青森県から秋田県にまたがる白神山地について書かれた二つの資料を通して自然保護の方法を学び、自分の立場を決めて意見文を書き、交流してきた。

 授業で太田教諭は、児童の自然保護に対する立場として、①人間が近づかないようにして自然を守る②人間がかかわりながら守る―のうち、どちらかを確認。本時の課題「様々な環境の世界の自然(遺産)は、どのように守られているのだろうか」を示した。

 引き続き、ゲストティーチャーとして招いた市内学校の教諭四人を紹介。写真や動画を用いて、メキシコ・シアンカーン生物圏保護区、フィリピン・トゥバタハ岩礁自然公園など四ヵ所の自然遺産保護の考えと取組について説明を受けた。

 児童は、自分の立場を再び考え、根拠となる資料をもとに交流。

 自然とのかかわりについて、①人間を近づけない②人間がかかわる③決めかねている―の三つに分かれた。

 つぎに、新たに考えた意見をワークシートに記入させ、発表させた。

 児童からは「国によって方法は違うが、自然を守ろうという気持ちは同じ」「人間も地球上の生き物の一つなので守っていきたい」などの意見が出た。

 太田教諭はまとめとして、自然を再生しようとしている取組を取り上げ「自然にかかわりながら、一緒に再生していく方法」を示し、児童に意識付けた。

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十勝地区国際理解教研大会・公開授業
自然と人間がともに生きていく方法を意識した

(関係団体 2018-11-27付)

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