全国学力・学習状況調査結果報告書―旭川市教委 小学校10領域で全国以上 組織的な検証改善サイクルを
(市町村 2019-02-08付)

旭川市教委全国学力・学習状況調査の資料概要をまとめた表作成(改)
平成30年度全国学力・学習状況調査 調査結果報告書・指導の改善策・旭川市学力向上学習プリント集(クリックすると拡大表示されます)

 【旭川発】旭川市教委は、三十年度全国学力・学習状況調査結果を分析し報告書にまとめた。教科に関する調査で、小学校は十九領域すべてで全道平均を上回り、十領域で全国平均と比べ同等または上回る結果となった。中学校は二十領域のうち六領域で全国平均と比べ同等または上回る結果となった。市教委は、自校の結果を分析し改善策を明らかにして、学力向上に向け組織的な検証改善サイクルを確立するよう呼びかけている。

 小学校国語A・B、算数A・B、理科、中学校国語A・B、数学A・B、理科の教科に関する調査、児童生徒と学校に対する質問紙調査の結果を分析したもの。

 小学校の教科に関する調査結果をみると、全教科の十九領域すべてで全道平均を上回った。うち、十領域については、全国と同等または上回る結果となった。

 国語Aでは、伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項で、「日常生活で使われている慣用句の意味を理解し使う」が正答率九〇・六%と高い割合を示した。

 一方、「文の中における主語と述語の関係などに注意して、文を正しく書く」は四一・七%にとどまった。

 算数Bでは、数と計算・量と測定・数量関係の項目で「全体で使える時間の中で“ルールの説明”に使える時間は何分か書く」で正答率七二・〇%となった。

 課題として挙げたのは、数量関係の項目で、「メモ1とメモ2はそれぞれ、グラフについてどのようなことに着目して書かれているかを書く」こと。正答率は一八・四%だった。

 理科は、物質の項目で「海水と水道水を区別するために、二つの実験方法から得られた結果をもとに判断した内容を選ぶ」が八八・二%だったものの、「食塩を水に溶かしたときの全体の重さを選ぶ」が三五・九%と低い割合を示した。

 中学校は、全教科二十領域のうち、七領域が全道平均と比べ同等または上回る結果に。うち、六領域は、全国平均と比べ同等または上回る結果となった。

 国語Bでは、話すこと・聞くことの項目で「話の展開に注意して聞き、必要に応じて質問する」が正答率八五・五%。最も低かったのが書くことと読むことの項目で「目的に応じて文章を読み、内容を整理して書く」の一六・〇%だった。

 数学Aに関しては、図形の項目で「与えられた円柱の見取り図から、その円柱の投影図を選ぶ」が八〇・五%。一方、関数の項目で「反比例のグラフから表を選ぶ」が五〇・四%だった。

 理科では、物理・地学の項目で「地震を太鼓をたたく行為に例えると、S波が届くことは太鼓の何が届くことかを書く」で正答率九四・四%。課題がみられたものとして、物理の項目で「テレプロンプター(半透明の板)に文字を正しく映すためのタブレットを選ぶ」五五・六%を挙げた。

 質問紙調査については、肯定的な回答をした児童生徒の割合が八〇%以上のものを「肯定的な回答が高い割合を示した質問事項」とし、肯定的な回答が六〇%未満のものを「肯定的な回答が低い割合を示した質問事項」として整理し、クロス集計でも分析した。

 小・中学校ともに「算数の授業で問題の解き方や考え方が分かるようにノートに書いているか」「理科の授業では、自分の予測をもとに観察や実験の計画を立てているか」の質問項目に肯定的な回答をしている児童生徒の割合が全道や全国と比べて高い傾向にあることが分かった。

 市教委は、自校の結果を分析し、児童生徒の学力向上に向け、組織的な検証改善サイクルを確立するよう呼びかけている。

◆学力向上の改善案 授業プランなど提案 学習プリントや全体構造図も

 旭川市教委は、三十年度全国学力・学習状況調査結果の分析をもとにした資料「指導の改善策」を取りまとめた。国語編、算数・数学編、理科編、学習習慣・生活習慣編の四編。調査で課題がみられた項目を取り上げ、具体的な授業プラン案や指導のポイントなどを示した。改善策の内容を踏まえ、国語、算数・数学、理科の「旭川市学力向上学習プリント集」も作成。さらに、学校関係者や市民などが全国調査にかかる資料の概要を一目で理解できるよう、全体構成図を作成した。

 国語編、算数・数学編、理科編は、教科に関する調査で市内の児童生徒に課題のみられた設問を取り上げ、具体的な授業プランを提案したほか、授業改善に向けた指導のポイントを示した。

 学習習慣・生活習慣編は、質問紙調査で課題のみられた質問項目を取り上げ、「授業改善」「落ち着いた学習環境づくり」「望ましい習慣づくり」のカテゴリー別に、具体的な指導の改善策を掲載した。

 こうした改善策の内容と関連付けて、国語、算数・数学、理科の「旭川市学力向上学習プリント集」も作成した。

 国語は二十九年度、漢字学習プリントとして作成していたが、三十年度は文の定義、主語と述語、ローマ字など、記述式の問題を多く取り入れた。

 算数・数学は、二十九年度よりも多くの単元を取り上げ、設問数も増やした。

 理科については、「かげと太陽」「もののあたたまり方」「電流のはたらき」などの単元を取り上げ、カラーイラストや図などを盛り込んだ。

 また、それぞれの学習プリントは、「指導の改善策」と併せて読むことで、改善策として示した指導のポイントとの関連が分かりやすいよう構成されている。

 さらに、学校関係者や市民などが「結果報告書」と「改善策」「学習プリント集」の概要を一目で理解できるよう、全体構成図を作成した。

 これらの資料は、旭川市のホームページからダウンロードできる。

 市教委は、子どもたちの状況などに応じ、学力向上に向けた取組に活用するよう求めている。

(市町村 2019-02-08付)

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