【解説】報告「障害者の生涯学習」

（解説 2019-04-08付）

　文部科学省総合教育政策局に設置している学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議は、報告「障害者の生涯学習の推進方策について―誰もが、障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会を目指して」をまとめた。

　会議は、30年2月に設置。約1年間にわたり、現状と課題の把握を行った上で障害者の生涯学習の推進に関する基本的な考え方などついて検討してきた。

　障害者の生涯学習については、29年4月に当時の文部科学大臣が「特別支援教育の生涯学習化に向けて」とのメッセージを発出。省内に障害者学習支援推進室を設置するなど、文科省として、障害者の一生涯にわたる学びの支援をスタートさせた。

　報告は、①背景「なぜ今、障害者の生涯学習について考えるか」②障害者の生涯学習推進の方向性③障害者の生涯学習を推進するための方策④障害者の生涯学習推進に向けて早急に実施すべき取組⑤今後の検討課題―の5章立てで構成。障害者の生涯学習の推進に関する基本的な考え方や具体的な方策を整理した。

　障害者の生涯学習を推進するための方策では、学校卒業後における障害者の学びの場づくりとして、学校教育段階から将来を見据えた教育活動の充実を図る必要性を指摘。また、特別支援学校等の教員、卒業後の学びを支える社会教育関係者の双方が、学校教育から卒業後における学びへの円滑な移行の重要性について理解を深めることの大切さを示している。

　有識者会議では、この報告をもとに、障害者の生涯学習について、国・地方公共団体・大学・特別支援学校、社会福祉法人や企業等の民間団体による基盤整備が進み、誰もが障害の有無にかかわらず、ともに学び生きる共生社会が実現することに期待している。

(解説 2019-04-08付)