動向踏まえ役割自覚を 高・特校長会議 佐藤教育長あいさつ(道・道教委 2019-05-10付)
佐藤嘉大教育長
道教委主催の公立高校長・特別支援学校長会議(8日、ホテルライフォート札幌)における佐藤嘉大教育長のあいさつ概要はつぎのとおり。
▼児童生徒の資質・能力の育成
昨年3月に公示された新しい高校学習指導要領への円滑な移行のため、総則や各教科などにおいて、「知識および技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」をバランスよく育成することが求められている。
このことを踏まえ、各学校においては、教科等横断的な視点から教育課程の編成・実施や、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の充実を図り、本道の将来を担う生徒が高校を卒業するまでに身に付けるべき資質・能力を確実に育成するため、カリキュラム・マネジメントを確立して、組織的な取組を推進するとともに、本道の地域資源を活用し、特色ある事業を推進して、生徒がふるさとへの誇りと愛着をもち、多様な人々と協働しながら、持続可能な社会の創り手となることができるよう、必要な力を育んでいただきたい。
▼特別支援教育の充実
「特殊教育」から「特別支援教育」への転換が図られてから10年以上経過し、この間、特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童生徒が大幅に増加し、加えて、前年度からは高校においても通級による指導が制度化されるなど、特別支援教育に対する理解の深まりを背景に、障がいの状態などに応じた専門性の高い教育に対するニーズがますます高まっている。
こうした中、道教委は昨年3月、平成30年度からの5年間を期間とする特別支援教育に関する基本方針を策定し、切れ目のない一貫した指導と支援の充実や地域における障がい者理解・相互理解の推進など本道における特別支援教育の一層の充実に努めている。
障がいのある子どもたちが、そのもてる力を高め、生活や学習上の困難を改善・克服していくためには、学校だけではなく、家庭や関係機関が連携しながら、地域全体で、子どもたちの学びを支えていくことが重要である。
各学校においては、家庭や福祉・医療などとの連携を十分に図りながら、一人ひとりの児童生徒の障がい等の状態や本人・保護者の教育的ニーズを踏まえた切れ目のない指導や支援の充実に努めていただきたい。
▼いじめや不登校等への対応
本年2月、道のいじめ防止基本方針に示された基本的な方向や具体的な取組を計画的かつ着実に実行するため、平成34年(令和4年)度までの期間に、道教委が重点的に取り組むべき内容をまとめた北海道いじめの防止等に向けた取組プランを策定した。
各学校においては、本プランに基づき、いじめ防止等に向けた取組の一層の充実に努めていただきたい。
また、不登校への対応については、すべての児童生徒が相談を受けることができるよう、各学校において、相談窓口の周知やスクールカウンセラー等による相談の促進など、着実な改善を図っていただいているが、今後とも、不登校が生じないような魅力ある学校づくりに努めていただくとともに、保護者や地域住民、関係機関などと連携した組織的・計画的な支援を推進していただきたい。
▼学校における働き方改革
道教委では、北海道アクション・プランを昨年3月に策定し、スクールカウンセラーや部活動指導員などの専門スタッフの配置促進や学校閉庁日の設定の取組のほか、本年1月には北海道の部活動の在り方に関する方針を策定するなど、教員の時間外勤務縮減に向けた環境整備に努めてきた。
今回の働き方改革は、これまでの働き方を見直し、教員自らが生活の質を豊かにして人間性や創造性を高め、質の高い教育活動を行うことを目的としている。
各学校においては、部活動休養日の完全実施や学校閉庁日の設定などのアクション・プランに掲げる取組を着実に実行するとともに、勤務時間や健康管理を意識した働き方を進めるほか、保護者や地域住民に丁寧に説明し、理解と協力を得ながら、家庭・地域と適切に役割分担を進めるなど、校長の皆さんのリーダーシップのもと、主体性をもって学校における働き方改革に取り組んでいただきたい。
また、部活動においても、教員の負担が過度にならないよう配慮し、部活動が持続可能なものとなるよう、合理的でかつ効率的・効果的に行われる必要がある。
各学校においては、生徒や教員の負担軽減に配慮しながら、部活動の充実が図られるよう、適切な運営のための体制整備や、方針に掲げる休養日および活動時間の順守などに努めていただきたい。
▼信頼される学校づくり
不祥事の防止については、これまでも、教職員への指導を徹底していただいてきたが、本道の公立学校においては、依然として、わいせつ行為など不祥事の発生があとを絶たず、1年間の懲戒処分件数が100件を超えており、学校教育に対する道民の信頼を損なう極めて憂慮すべき事態となっている。
校長の皆さんには、これまでの不祥事防止に向けた取組が、職員一人ひとりの意識改革に確実に結び付いているか、今一度確認し、教職員への指導方策について、必要な見直しを早急に行うなど、危機感をもって実効性ある取組を進めていただきたい。
以上、教育を取り巻く課題は数多くあるが、その解決には、教育行政と学校が一体となって取り組む必要がある。
道教委としては、本年度も、次代を担う生徒たちが、様々な社会変化にも果敢に挑戦し、本道の輝く未来を築いていくことができるよう、学校・家庭・地域・行政の緊密な連携のもと、一丸となって本道教育の充実・発展に取り組んでいきたい。
校長の皆さんには、国や道における教育改革の動向を踏まえつつ、自らの学校が担うべき使命と役割を自覚し、校長としての責任と権限のもと、リーダーシップを存分に発揮し、本道の持続的発展に寄与する人材の育成に一層の尽力をいただくことを期待申し上げる。
(道・道教委 2019-05-10付)
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