公立高・特校長会議の道教委所管事項説明① 勤務時間意識し働き方改革 会計処理等の監督徹底を
(道・道教委 2019-05-13付)

?高特校長会議土井寿彦
土井寿彦局長

 道教委の令和元年度公立高校長・特別支援学校長会議(8日、ホテルライフォート札幌)では、土井寿彦総務政策局長、大川祐規夫生涯学習推進局長、宇田賢治教育職員局長、山本明敏学校教育局高校配置担当局長、赤間幸人学校教育局長が各所管事項を説明した。概要を連載で掲載する。

◆総務政策局

▼予算の効率的な執行

 道財政は、これまで行財政改革に取り組んできた結果、収支不足額が縮小するなど、着実に改善が図られているものの、引き続き見込まれる収支不足への対応など、財務体質の改善に向けた取組を着実に進めていく必要がある。

 道教委としては、児童生徒に直接かかわる経費や、教育行政上の諸課題に対する必要な予算を確保したが、各学校においては、予算の執行に当たり、限られた予算の中で最大の効果を上げるよう、不断の見直しを行うとともに、執行方法を見直すなどして、厳正かつ効果的・効率的な執行に努めてほしい。

▼財務会計事務の適正執行

 これまで、適正な執行に向けて 不断の取組を行うよう伝えてきたが、前年度の道立学校を対象とした監査において、授業料の徴収関係で1件、支出の決定行為関係で2件、物品の亡失関係で2件、合計で5件の指摘を受けた。

 各校長においては、学校の財務会計の責任者として、指摘を受けることのないよう、会計処理や物品管理等について、指導・監督を徹底してほしい。

 また、前年度は、私費会計に関し、一部の学校で不適切な会計処理の実態が判明し、それを受けて行った全校対象の総点検において、78校・355会計で、決算の未報告等の実態があることが判明した。

 道立学校における私費会計は、保護者などから金銭を徴収する会計であり、使途や出納状況等について、透明性の確保や説明責任が求められるほか、適切な処理が行われない場合、生徒や保護者、地域の信頼を失うこととなる。

 各学校においては、あらためて、事務処理手順を確認するとともに、日常業務における内部けん制・相互けん制を徹底するなどして、私費会計の取扱いに厳正を期すようお願いする。

▼道立学校の施設整備等

 校舎や体育施設の大規模改造工事については、高校延べ22校、特別支援学校延べ13校の計延べ35校の工事を行う予定である。

 本年度は知事の改選時期に当たり、当初予算は、骨格予算となっているため、来年度の工事のために行う設計業務の実施予定校については、高校延べ8校、特別支援学校延べ5校の計延べ13校において実施すべく、現在、予算要求を行っている。

 また、昨年9月の台風21号および北海道胆振東部地震被害にかかる復旧工事については、高校14校について実施する予定であり、現在、関係教育局において、契約事務を進めている。

 特別支援学校については、熱中症対策として普通教室に空調設備を設置することとし、本年度、設計・工事を行う予定としているが、スケジュールなど具体的には、今後建設部と協議していく。

 前年は、台風21号や北海道胆振東部地震など大規模な自然災害が立て続けに発生した。

 学校は、災害時には避難場所ともなる。日常点検のほか、気象情報などにも十分注意し、施設の安全確保に万全を期してほしい。

▼道立学校におけるアスベスト含有建材

 平成17年度から毎年調査してきたが、昨年9月の地震の影響によって被災した施設の災害復旧工事にかかる設計委託を行ったところ、これまで把握していなかったアスベスト含有建材の使用が判明し、過去の調査結果を追認してしまっていたということが明らかになった。

 教育指導監と教育局による学校訪問などにおいて本年3月に全道立学校で行ったアスベスト含有建材の再調査の報告に当たっての、確認方法などについて、全学校長に伺うこととしている。

▼道幼児教育振興基本方針

 道教委では、本道の広域性を踏まえて、幼稚園、保育所、認定こども園、特別支援学校幼稚部といったすべての幼児教育施設が質の高い教育を提供できるよう、保育者の資質向上のための研修機会の確保や幼児教育施設への助言体制をはじめ、家庭や地域等多様な場における幼児教育の充実のための基本的な方向を示し、オール北海道で教育の振興に取り組むため、昨年11月に、知事部局との連携によって道幼児教育振興基本方針を策定した。

 本方針では、全道の幼児教育の質の向上のため、3つの目指す方向性と12の施策項目を掲げ、北海道、市町村、幼児教育施設、小学校、特別支援学校、家庭・地域における、それぞれの役割や取組を示している。

 各学校においては、本方針の趣旨に理解いただくとともに、特別支援学校においては、幼児教育施設との連携および接続の一層の充実に努めてほしい。

▼教職員の人材育成

 道教委では、これまでも意欲ある若手や女性の管理職登用に努めており、女性の管理職登用については、平成28年3月に女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画を策定し、女性の職業生活における活躍を推進するため、28年度からの5年間で、管理職員に占める女性の割合を15%とすることなどを目標に掲げた。

 また、主幹教諭については、27年度から順次配置を進め、31年度には、高校に38人、特別支援学校に13人を配置している。

 なお、近年、教頭昇任候補者選考の受検者数が減少しており、候補者の確保が喫緊の課題となっている。管理職の育成・登用への意識の醸成のため、意欲のある若手や女性職員を早い段階から学校目標の達成や課題解決に向けた実践に参画させ、学校の中核となって実践できる力量を身に付けさせることが重要である。つぎの世代を担う管理職候補者の人材確保にこれまで以上に尽力いただきたい。

▼指導力不足教員への対応

 指導に課題のみられる教員については、日常的な指導と教育指導監や教育局との情報共有に努めていただくとともに、教員個々の課題の態様に応じ、校内支援マニュアルの活用のほか、道立教育研究所および道立特別支援教育センターが実施する指導力向上にかかる助言業務を活用するとともに、指導改善研修および教員の指導力向上に関する調査研究事業へ申請するなど、改善に向けた取組の実施をお願いする。

▼学校における働き方改革

 学校閉庁日の設定については、職員が休養を取りやすい環境を整備し、心身の健康を保持するために行うことを目的としている。

 前年度は、すべての道立学校で年間9日以上設定できていたが、その一方で、学校閉庁日の出勤者は延べ人数で、夏休みに1570人、冬休みに256人となっており、教員の出勤理由では「部活動指導」「分掌業務」が多くみられた。

 各学校においては、学校閉庁日を設定する際には、学校行事等を設定しないことはもとより、学校閉庁日は部活動休養日であり、部活動の計画作成時に練習試合や合宿などの予定を入れないこと、その直後に大会等がある場合でも、学校閉庁日は休養することを前提として計画的に活動することなど、児童生徒が登校しないよう調整し、可能な限り全職員が休暇を取りやすい環境の整備に努めていただきたい。

 やむを得ず勤務せざるを得ない職員がいる場合は、必ず別の日に休暇を取得することができるよう配慮をお願いする。

 学校閉庁日は夏休みと冬休みを合わせて9日間設定することを基本としているが、さらに設定する日数を増やしたり、長期休業期間以外の日に設定するなど、学校の実情に応じて積極的に取り組んでほしい。

 勤務時間の上限に関するガイドラインについて。本年1月に文部科学省から示されたガイドラインでは、上限の目安時間について1ヵ月の時間外勤務が45時間を、1年間の時間外勤務が360時間を超えないことを原則とし、特別な事情があっても年間720時間を超えないようにすることとされており、各学校においても、勤務時間を意識した働き方を進めてほしい。

 道教委では、ガイドラインや中教審の答申を踏まえた文科省通知を受けて、アクション・プランの見直しや勤務時間の上限に関する方針の策定を検討し、教員の時間外勤務縮減に向けた環境整備を進めていく。各学校においては、主体性をもって、働き方改革に着実に取り組んでほしい。

▼教職員の不祥事防止の取組

 職員の服務規律の確保については、これまでも再三にわたり、所属職員への指導を徹底するよう伝えてきたが、依然として不祥事の発生があとを絶たない状況である。

 教職員による不祥事を根絶するためには、各校長が研修資料を活用したり、過去の不祥事の事例を示したりするなどしながら、不祥事の発生は決して他人事ではないことや、起こしてしまったら取り返しがつかず、家族にも大きな負担や影響を及ぼしてしまうことを伝えるなど、心に響く取組を行うことが重要である。

 加えて、常日ごろから職員に対し「児童生徒への指導や話し方が乱暴ではないか」「児童生徒との関係が緊密すぎないか」「職場の人間関係や私生活でトラブルがないか」「飲酒をする宴会などにおいてトラブルにつながる言動・行動などがないか」「過度な飲酒になっていないか」など、様々な観点から目配りしてほしい。

 また、職員に対して、報告・連絡・相談の徹底を指導するとともに、迅速な情報伝達等に努めていただき、道教委と学校が一丸となって不祥事防止に取り組むことができるよう、情報共有の徹底をお願いする。

 5月と6月は「コンプライアンス確立月間」であり、服務規律の徹底を確実に行う強化月間となっている。

 各学校では、服務規律にかかわる全体研修の実施はもとより、職員一人ひとりに対し、コンプライアンスの徹底を意識付けするための個人研修についても実施してほしい。

 各校長においては、校長の力強いリーダーシップのもと、職員の意識改革や自覚を促し、危機管理の確立や教職員の不祥事の根絶などに取り組み、地域や保護者から信頼される学校づくりを一層進めてほしい。

(道・道教委 2019-05-13付)

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