教育費2定補正予算案を発表―道教委 働き方改革促進など 69億円追加 新規9事業(道・道教委 2019-06-17付)
道教委は14日、第2回定例道議会に提出する教育費補正予算案を発表した。政策的経費を盛り込んだ2定補正で69憶9600万円を計上。当初予算を合わせた総額は前年度当初比0・5%減の4012憶6400万円となった。新規事業は9事業。新時代の教育を支える働き方改革促進事業には1000万円を計上し、民間コンサルタント会社と校長経験者のチームによる業務改善に取り組む。道立学校出退勤管理システム構築事業には1295万円を措置し、テスト校20校においてICカード、パソコンによる出退勤管理システムを試行する。
2定補正予算案では、一般事業費63億300万円、施設建設等事業費6億9200万円など政策的経費を追加計上。地域創生を支える北海道教育推進のため、学力・体力向上や北海道胆振東部地震への対応に加え、国際交流の拡大など道立学校における特色ある教育活動の展開、キャリア教育の充実、幼児教育の充実、学校における働き方改革の推進を重点に編成した。
主な新規事業をみると、新時代の教育を支える働き方改革促進事業に1000万円を措置。民間コンサルタント会社を公募型プロポーザルで決定し、行政経験を有する校長経験者を2人配置し、小学校、中学校、高校の3校で業務改善に取り組む予定。
道立学校出退勤管理システム構築事業に1295万円を措置。勤務時間を意識した働き方改革を進めるため、ICカードを基本にパソコンも併用できる出退勤管理システムを構築する。テスト校は高校14校、特別支援学校6校を予定。
プログラミング教育事業に451万円を計上。来年度から実施となるプログラミング教育への円滑な導入を図るため、モデル校20校を指定し、公開授業の実施や指導資料作成、指導的教員の育成を行う。
未来を切り拓く資質・能力を育む高校教育推進事業には661万円を充て、新学習指導要領の実施に向けて「主体的・対話的で深い学び」や大学入試改革などに対応するため、授業改善に関する研究を実施する。
道立学校ふるさと応援事業に200万円を計上。本道の次代を担う人材の育成に向け、ふるさと納税などを活用し、指定校における特色ある教育活動やグローバル人材育成などの充実を図る取組を支援する。
青少年国際交流加速化事業には1000万円を充て、指定校3校においてICTを活用し海外の高校と交流するなど、姉妹友好提携地域などとの青少年交流を拡大する。
障がい者就労促進地域連携事業には448万円を措置し、障がいのある生徒の職業的自立のため、関係部と連携して就労支援や就労継続に向けた体制を整備する。
幼児教育推進事業には1400万円を計上。研修体制、指導助言体制の整備や情報提供、実践研究など、本道の幼児教育の振興を支える体制づくりを進める。
教育費補正予算案における主要事業概要はつぎのとおり(金額単位・万円)。
◆一般事業関係
【社会で活きる力の育成】
▼道学力・体力向上対策推進事業費=2、951
◇ほっかいどう学力向上推進事業費(拡充)=1、896
本道の児童生徒の学力向上を図るため、学校全体の組織的な検証改善サイクルの確立促進や、授業改善などに取り組む。
▽授業改善等の支援
・中学校の英語力の向上に向け、英語が新たに追加された学力調査や公開授業などを通じた授業改善支援(推進校各管内1校)
▼未来を切り拓く資質・能力を育む高校教育推進事業費(新規)=661
新学習指導要領が令和4年度から年次進行によって実施されることに伴い、主体的・対話的で深い学びや大学入試改革などに対応するため、授業改善に関する研究などを実施する。
▽主体的・対話的で深い学びへの対応
・授業実践・改善の研究・カリキュラム・マネジメントの確立に向けた研究
▽高校生のための学びの基礎診断への対応
・国の趣旨に沿った道学力評価テストの実施とテスト結果を授業改善につなげる取組
▽高大接続への対応
・総合的な探究の時間に関する実践研究
・大学と連携した探究活動合宿(1会場)、学習合宿の実施(全道5会場)
▼障がい者就労促進地域連携事業費(新規)=448
障がいのある生徒の職業的自立のため、関係部と連携した就労促進や就労継続に向け体制を整備する。
▽地域と連携した就労促進(全道6地域)
・学校や障害者就業・生活支援センター、ハローワークなどで構成する就労支援サポートチームによる支援
・企業や卒業生による職業講話などを実施
・教員の能力向上などを図るため、小・中・高・特別支援学校キャリア教育連携推進会議を設置
▽管理職研修
・中学校と連携した進路指導・キャリア教育の充実を図るため、中学校・特別支援学校管理職を対象に実施
▽大学等と連携した情報通信技術の活用
・ICT活用能力育成プログラムを開発するための職域拡大WG会議を設置
・大学と連携したICT関係の資格取得に向けた講習会の実施
▼グローバル人材育成推進事業費=1、515
◇青少年国際交流加速化事業費(新規)=1、000
本道の国際交流をリードするグローバル人材の育成を加速するため、姉妹友好提携地域などとの間における青少年交流を拡大する。
▽姉妹校提携の拡大
・ICTなどを活用した海外高校との交流を実施(指定校3校)
・領事館職員の講演など各国領事館との連携や、実践事例・成果発表会の開催
▽交換留学制度の拡大
・交換留学のプログラム検討・策定や、相手国・地域との調整・折衝を実施
▼道立学校ふるさと応援事業費(新規)=200
北海道の次代を担う人材を育成するため、ふるさと納税などを活用し、道立学校の特色ある教育活動や、グローバル人材育成などの充実を図るための取組を支援する。
▽寄附の募集
・道総合政策部と協力した広報や基金管理
・寄附に対する礼状や報告書の作成
▽道立学校の取組
・事業費や設備費など、指定校の特色ある教育活動の充実に活用
▽道立学校全体の取組
・道立学校生徒の海外留学支援や姉妹校提携に関する費用などの取組充実に活用
▼プログラミング教育事業費(新規)=451
新学習指導要領の全面実施に向けて、プログラミング教育の円滑な導入を図るため、実践校による研究や指導的教員の育成を行う。
▽研究実践
・モデル校(20校)を指定し、公開授業の実施や指導資料を作成
▽指導的教員の育成
・指導的教員による他校への巡回指導
・指導的教員の育成方針や活用方策について検討
【学びを支える家庭・地域との連携・協働の推進】
▼幼児教育推進事業費(新規)=1、400
幼児教育施設に対して、公私・施設類型を超え、一体的に幼児教育の質の向上を図るため、道幼児教育振興基本方針に基づき本道の幼児教育振興を支える体制づくりを進める。
▽企画調整
・課題等の検証のため、関係団体の長などで構成する外部委員会および検討部会を設置
▽研修体制
・幼児教育施設の保有者や小学校の教員などを対象に、行政説明や意見交流、遠隔・園内研修を実施(14管内)
▽指導助言の体制
・大学教授などによるスーパーバイザーを配置し、指導助言、研修体制などの相談を実施
・エリアスーパーバイザーを7圏域に配置し、地域の幼児教育相談員に研修・助言などを実施
・幼児教育相談員を各管内に配置し、施設の要請に基づき園内研修などを支援
▽情報提供等
・園内研修や幼保小連携のための手引・実践事例集を作成・配布
・園内研修や自己啓発のための教材作成およびオンデマンドによる配信など
・幼児教育に関するサイトを開設し、研修や幼児教育相談員などの情報を提供
▽実践研究
幼小間の連携・引継ぎにおける課題検証のため、5地域でモデル事業を実施
【学びをつなぐ学校づくりの実現】
▼学校における働き方改革推進事業費=2、670
◇道立学校出退勤管理システム構築費(新規)=1、295
道立学校で勤務時間を意識した働き方改革を推進するため、教員の勤務時間を客観的に把握し集計するシステムの構築を行う。
▽システムの構築
・ICカードを基本とし、パソコンも併用できる出退勤管理システムを構築
・テスト校を指定して開発・試行(高校14校、特別支援6校)
▼新時代の教育を支える働き方改革促進費(新規)=1、000
教職員の意識改革や効果的な取組を推進するため、民間コンサルタント会社と校長経験者のチームによる学校の業務改善を行う。
▽校長経験者によるコンサルタント業務(2人配置)
・学校経営の経験を生かしつつ、民間手法を活用したコンサルタント業務の実施
・学校が受け入れやすい民間手法の提示
・全道への普及啓発・指導助言
▽民間によるコンサルタント業務
・しがらみや先入観のない立場でのコンサルタント業務の実施
・学校や教育委員会への対応策の提示
・元校長に対するアドバイスの実施
・全道で活用できる事例集の作成
【学びを活かす地域社会の実現】
▼道ふるさと民俗芸能伝承事業費(新規)=205
伝承活動の取組を充実させ、継続的な振興・伝承を図るため、市町村や保存団体に他県の先進的な取組にふれる機会などを提供する。
▽民俗芸能伝承フォーラム(2会場)
・保存団体の活性化や他団体との交流機会の拡大を図るため、他県の団体を交えたパネルディスカッションを実施
・伝承に関する講演や民俗芸能披露、他団体との交流を実施
【胆振東部地震などの大規模災害・東日本大震災関連】
▼被災児童生徒就学支援等交付金事業費(拡充)=1、179
北海道胆振東部地震などの大規模災害および東日本大震災の影響で被災し、就学などが困難となった世帯の幼児児童生徒に対する就学支援などを行う
▽幼稚園(保育料、入園料)
▽小・中学校、特別支援学校・学級(学用品費、医療費、給食費など)
◆学校建設関係
▼高校大規模改造費=18、829
高校の校舎等の安全性を確保し、教育環境を整備する。
▽設計=札幌西、札幌西陵、江別、札幌白陵、伊達、帯広工業、釧路東、体育施設1校、防災7校
▼グラウンド整備費=1、328
高校・特別支援学校のグラウンドの安全性を確保し、教育環境を整備する。
▽設計=拓北養護
▼学校体育施設整備費=98
高校・特別支援学校の体育施設を整備する。
▽設計=苫小牧工業
▼特別支援学校大規模改造費=10、561
特別支援学校の校舎などの安全性を確保し、教育環境を整備する。
▽設計=函館盲、旭川盲、中札内高等養護幕別分校、中標津支援、体育施設1校、防災3校
▼アスベスト対策工事費=2、044
道立学校および所管施設の煙突に含まれるアスベストの除去を行い、校舎などの安全性を確保する。
▽設計=道立高校30校、道立特別支援学校11校
(道・道教委 2019-06-17付)
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