札幌市教委が幼稚園の在り方検討会議　遊び通し総合的に指導　国研・渡邊幼児センター長講話

（市町村 2019-07-04付）

講話を踏まえて意見を交換した

　札幌市教委は２日、市内のＳＴＶ北２条ビルで第２回市立幼稚園の在り方検討会議を開いた。国立教育政策研究所の渡邊恵子幼児教育研究センター長が講話し、遊びを通し総合的に指導する重要性を強調。出席者は、講話を通し幼稚園教育への見識を深め、市立幼稚園の効果的な在り方などについて議論した。

　はじめに、渡邊幼児教育研究センター長が「幼児教育の意義について」と題して講話。５月の通常国会で、幼児教育・保育を無償化する改正子ども・子育て支援法が可決、成立したことにふれ、幼児教育を「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」と強調した。

　海外では、長期間にわたって特定の子どもの追跡調査を行い、結果を分析する研究が行われていることを伝え、その中から、イギリスとアメリカの研究について紹介。イギリスの研究では、家庭での学習環境と適切な幼児教育の両方が学力向上に影響することが判明したことを説明した。

　アメリカの研究で、質の高い幼児教育プログラムへの参加は、将来の所得の向上や生活保護受給率の低下などにつながる結果が出たことを伝えた。

　また、幼児教育における「遊び」を通して総合的な指導を行うことの重要性を強調。

　このほか、前年度から全面実施となった幼稚園教育要領において３歳以上の幼児に関し、見直しとなったポイントを解説した。

　続く協議では、５月の第１回会議で示した市立幼稚園の在り方にかかる検討の視点、①時代に即した幼児教育の展開②幼児教育の質の向上③特別支援教育の充実④幼・保・小連携の推進および家庭教育支援の充実―の４点のうち、①、②について事務局が説明。①では、多様化する教育・保育ニーズへの対応が求められていることを伝えた。

　②では、幼児教育施設の教職員の資質向上が求められている現状を示した。

　このあと、講話の内容や事務局の説明を踏まえて意見を交換した。

(市町村 2019-07-04付)