【解説】児童相談所の虐待相談件数

（解説 2019-08-06付）

　厚生労働省は１日、平成３０年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数速報値を公表した。３０年度中に全国２１２ヵ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、１５万９８５０件で、過去最多を更新。心理的虐待にかかる相談対応件数と警察等からの通告の増加が主な要因として挙がった。

　全国２１２ヵ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、前年度比２万６０７２件増の１５万９８５０件。平成２年度の集計以来、２８年連続で過去最多を更新した。

　うち、北海道の件数は３７８０件で、５６０件増加した。

　自治体からの聞き取り調査によると、児童虐待相談対応件数が大幅に増加した要因として、心理的虐待にかかわる相談対応件数と警察等からの通告が増えていることなどが挙げられる。心理的虐待が増加した背景には、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力がある事案（面前ＤＶ）について、警察からの通告が増えたことなどがある。

　虐待相談の内容別では、「心理的虐待」が１万６１９２件増の８万８３８９件で最も多く、全体の半数以上を占める。次いで、「身体的虐待」４万２５６件、「ネグレクト」２万９４７４件、「性的虐待」１７３１件などとなった。

　児童相談所に寄せられた虐待相談の相談経路は、警察等、近隣知人、家族、学校等からの通告が多い。

　２９年４月１日から３０年３月３１日までの期間に発生または表面化した子どもの虐待死事例のうち、心中以外の虐待死は５０例５２人。子どもの年齢では「ゼロ歳児」が２８人と最も多く、うち、「月齢ゼロヵ月」が半数を占めた。

　虐待の類型では「身体的虐待」が２０例２２人、「ネグレクト」が２０例２０人で多かった。

(解説 2019-08-06付)