【解説】児童生徒の自殺は過去最多に
(解説 2019-08-07付)

 日本全体の自殺者数が減少傾向にある一方で、児童生徒の自殺者数は減少していない状況にある。厚生労働省・警察庁の「平成30年中における自殺の状況」によると、30年の国公私立学校の児童生徒の自殺者数は2年連続の増となり、調査開始以来最多の369人を記録。特に中学生は124人と大きく増加した。

 自殺予防に関する経緯をみると、国は28年に自殺対策基本法を一部改正・施行。29年に自殺総合対策大綱を閣議決定し、文部科学省関連項目として「SOSの出し方に関する教育」「医療等に関する専門家などを養成する大学や専修学校等と連携して自殺対策教育の推進」などを示した。

 道教委は、28年度から文科省の自殺予防に対する効果的な取組に関する調査研究の指定を受け、自殺予防教育を推進している。「援助希求的態度の育成」「早期の問題認識(心の健康)」「ストレス対処能力の育成」を目指す自殺予防教育プログラムを作成し、30年度は研究指定校を増やし、実施・検証を進めた。

 厚労省・警察庁の「平成30年中における自殺の状況」によると、30年の自殺者数は2万840人で9年連続の減少。一方、児童生徒の自殺者数は369人と調査開始の14年以来最多となった。学校種別の内訳は小学生7人、中学生124人、高校生238人となり、特に中学生が増加している状況にある。

 18歳以下の自殺は、長期休業明けの9月1日に急増する傾向があることを踏まえ、文科省は6月6日付で通知「児童生徒の自殺予防にかかる取組について」を発出。悩みを抱える児童生徒の早期発見、保護者に対する家庭の見守りの促進、集中的な見守り活動やネットパトロールの強化など、学校が保護者、地域住民、関係機関などと連携して実施するよう周知している。

(解説 2019-08-07付)

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