実社会とのかかわり意識 帯広で全国新聞教育研究大会
(関係団体 2019-08-08付)

新聞教育研究大会開会式
開会式の様子

 【帯広発】全国新聞教育研究協議会(菅野茂男会長)・道十勝新聞教育研究会(野上泰宏会長)は7月30日から2日間、帯広市内とかちプラザほかで第62回全国新聞教育研究大会・全国学校新聞指導者講習会北海道十勝・帯広大会兼第30回道十勝新聞教育研究大会兼第5回NIE北海道セミナーを開催した。道NIE推進協議会共催。大会主題「実社会とのかかわりを意識した新聞教育~新聞のよさを生かした授業づくり」のもと、講演会のほか、研究分科会、体験講座、授業公開を実施。今後の新聞教育の在り方や新聞を使ったよりよい授業などについて研鑚を深めた。

 大会主題を「実社会とのかかわりを意識した新聞教育~新聞のよさを生かした授業づくり」と設定。新聞は社会の様々な出来事を伝える大切な手段との認識のもと、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」などを実現できる担い手育成に向け、自律心、判断力、責任感を兼ね備えた人間を育て、他人とのかかわりやつながりを尊重できる子どもの育成を目指した。

 開会式で菅野会長が登壇。大会を主管する道十勝新聞教育研究会の尽力をねぎらうとともに、「世界規模の問題を解決していく広い視野が得られる大会となることを祈る」と期待した。

 つぎに、大会実行委員長を務める野上会長があいさつ。新聞の特性として、複雑になり、変化が早い社会において網羅的・俯瞰的な機能が社会を理解する上で有用性があると強調。「大会の成果を道内・全国に普及させ、新聞教育がますます活発に行われることにつながれば」と述べた。

 続いて、来賓あいさつ。中で、十勝教育局の大橋則之局長は、情報化社会が学習や家庭生活に与える影響について「子どもたちが主体的に社会とかかわり、実生活の問題を解決する力を養うことが大切」と述べ、新聞教育の充実・発展に期待を寄せた。

 引き続き、全国新聞教育研究協議会の取組を報告し、斉藤義一賞や功労者の表彰などを行った。

 このあと、講演のほか、小・中学校、高校の新聞づくりや、NIEの取組について研究分科会を行った。また、体験講座としてはがき新聞づくり講習会、まわしよみ新聞講習会などを実施した。

 2日目は、帯広市立緑丘小学校、帯広市立つつじが丘小学校、音更町立緑南中学校で授業公開を行った。

◆元高校教諭・宮本氏講演 勉強は周りの支援重要

全国新聞教育研究大会・全国学校新聞指導者講習会道十勝・帯広大会の初日、エッセイスト・作家で元高校教諭・元教育再生会議委員の宮本延春氏が「オール1の落ちこぼれ、教師になる~子供に笑顔を」と題し講演した。宮本氏は勉強ができなくなってしまう子どもの心理を分析し、保護者や周りの大人たちからの支援の重要性を説いた。

 宮本氏は、自身が小学校時代に身体が弱く背も小さかったため、背の大きな女子児童を中心にいじめられていたエピソードを紹介。いじめられた子どもの心理として、恐怖心の方が、勉強ができなくなるという不安感より重要なこととしてとらえられると指摘。子どもの勉強への態度として、「質問や発表をせずに、できるだけ授業中に目立たないことを中心に考えるようになる」と述べた。

 つぎに、いじめに遭っている児童生徒にとって頼れるのは、学校・地域・家庭と強調。周りの大人たちの対応方法として、子どもに対し共感的理解に努める重要性を説いた。

 共感的理解のポイントとして、①子どもとの会話を肯定から始める②子どもの価値観を尊重する③子どもの気持ちに寄り添う―の3点を挙げた。大人が子どもに対して共感的理解を示した場合の効果として「いじめ自体を解決できなくても、子どもに理解者がいることで勇気をもって学校に行くことができる」と訴えた。

 また、学習につまづきのある子どもに必要な手立てとして、家庭や学校で正しい学習環境を整えることの必要性を強調。自身が高卒で就職し、23歳で大学進学を果たしたエピソードや、当時の気持ちなどを語った。

(関係団体 2019-08-08付)

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