特別支援校長会が道教委へ提言 バランスよい教員配置を 広域に連携しCS導入(関係団体 2019-08-07付)
道特別支援学校長会(木村浩紀会長)が道教委に提出した『令和2年度道文教委施策に関する提言書』の内容が明らかになった。提言1「教員の採用・配置・育成の在り方」、提言2「学校と地域の連携・協働の在り方」の大きく2つを提言。提言1では、教員の採用・配置・育成に向け、バランスよく教職員が配置されるような人事異動を進めることなど3点、提言2では、実効性のあるコミュニティ・スクール(CS)導入に向け、より広域な地域連携が強固となる制度とすることなど3点を示した。
同会は平成26年度から、調査研究をもとに考察した内容を提言としてまとめ、道教委に提出している。
提言1「教員の採用・配置・育成の在り方」では、教員の採用・配置・育成に向け、都市部・地方部等の実情や障がい種の課題等を十分に把握し、バランスよく教職員が配置されるような人事異動を進めることを明記。教員の資質の維持・向上のため、採用段階における人事評価等の新たな仕組みの導入なども求めた。
提言2「学校と地域の連携・協働の在り方」では、実効性のあるCS導入に向けて特別支援学校における地域の考え方を整理し、CS導入校の実践を参考にしながらより広域な地域連携が強固となる制度とするほか、より効果的で、各学校が取り組みやすい制度とすることなどを求めた。
日本全体の自殺者数が減少傾向にある一方で、児童生徒の自殺者数は減少していない状況にある。厚生労働省・警察庁の「平成30年中における自殺の状況」によると、30年の国公私立学校の児童生徒の自殺者数は2年連続の増となり、調査開始以来最多の369人を記録。特に中学生は124人と大きく増加した。
自殺予防に関する経緯をみると、国は28年に自殺対策基本法を一部改正・施行。29年に自殺総合対策大綱を閣議決定し、文部科学省関連項目として「SOSの出し方に関する教育」「医療等に関する専門家などを養成する大学や専修学校等と連携して自殺対策教育の推進」などを示した。
道教委は、28年度から文科省の自殺予防に対する効果的な取組に関する調査研究の指定を受け、自殺予防教育を推進している。「援助希求的態度の育成」「早期の問題認識(心の健康)」「ストレス対処能力の育成」を目指す自殺予防教育プログラムを作成し、30年度は研究指定校を増やし、実施・検証を進めた。
厚労省・警察庁の「平成30年中における自殺の状況」によると、30年の自殺者数は2万840人で9年連続の減少。一方、児童生徒の自殺者数は369人と調査開始の14年以来最多となった。学校種別の内訳は小学生7人、中学生124人、高校生238人となり、特に中学生が増加している状況にある。
18歳以下の自殺は、長期休業明けの9月1日に急増する傾向があることを踏まえ、文科省は6月6日付で通知「児童生徒の自殺予防にかかる取組について」を発出。悩みを抱える児童生徒の早期発見、保護者に対する家庭の見守りの促進、集中的な見守り活動やネットパトロールの強化など、学校が保護者、地域住民、関係機関などと連携して実施するよう周知している。
道特別支援学校長会が道教委に提出した『令和2年度道文教施策に関する提言書』の内容はつぎのとおり。
【提言1】教員の採用・配置・育成の在り方に関する提言
今回の調査研究では、地域によって期限付教員の割合が高く、年齢構成のアンバランスによって学校経営に大きな支障を来していること、視覚、聴覚障がい学校においては、障がい者手帳を有する教職員への合理的配慮や専門性維持・継承などの課題があること、教科などの指導に必要な免許所有者を配置できないため、免許外申請によって対応している学校が多数あることなどが明らかになっている。
また、期限付教諭がみつからず、欠員を生じたまま学校を運営せざるを得ない学校も慢性的に多数存在する。
道内の特別支援学校がそれぞれ課せられた責務を十分に果たし、地域の特別支援教育のセンター的役割を十分に担うためには、上記の課題解決に向け、教員の採用・配置・育成について早急な対応が必要であることから、以下3点の事項を提言する。
北海道の特別支援教育を中心的に担う特別支援学校が質の高い専門的な教育を持続的に行うために、都市部・地方部等の実情や障がい種の課題などを十分に把握し、教職員の年齢、教職経験などの視点から、バランスよく教職員が配置されるような人事異動を進めることが重要である。
慢性的な人材不足や、教科等の免許の所有者などのアンバランスを解消するため、道教委が期限付教員候補者のデータバンクを整備するとともに、退職教員も期限付教諭として採用できるよう、早急に制度化をお願いする。
教員の資質の維持・向上のためには、採用段階で行う人事評価等の新たな仕組みが必要。例えば、教員採用時に社会性や常識を問う検査を取り入れる、インターンシップを取り入れ、長時間で人事評価を行う、配属校で採用前実習を行うなどの検討が必要。また、現職教員に対しては、現行の学校人事評価制度がより人材育成に直結する評価になるよう改善を求める。
【提言2】学校と地域の連携・協働の在り方に関する提言
平成29年4月に「地方教育行政の組織および運営に関する法律」が改正され、コミュニティ・スクール(=CS)の導入が努力義務となった。また、「北海道教育推進計画」の目標4「学びを支える家庭・地域」に施策項目19「学校と地域の連携・協働の推進」が示され、今後さらに、学校と地域が連携・協働した組織的・継続的な取組が求められ、CSの導入を積極的に進める必要がある。
道内の各市町村教委でもCS導入の動きが年々確実に進んでいる状況を踏まえ、特別支援学校における実効性のあるCS導入に向けて、以下3点の事項を提言する。
特別支援学校の通学域内は広範囲であり、多くの市町村とのつながりをもつ必要がある。そのため、CSを導入するに当たり、特別支援学校における「地域」の考え方を整理し、CS導入校の実践を参考にしながら、より広域な地域連携が強固となる制度とするよう提言する。
CS導入に当たって、地域の課題、地域住民の理解、施設・設備、予算の確保など様々な課題がある。これらの課題の整理と分析、課題解決のための方策を公表し、より効果的で各学校が取り組みやすい制度となるよう提言する。
CSを導入することで、地域との連携強化、教職員の意識改革、障がい者に対する理解促進など、多くのことが期待される。CS導入校が日々の実践を積み重ねた成果を成果報告会や紙面、ホームページなどの形で積極的に情報発信するよう提言する。
(関係団体 2019-08-07付)
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