道小 元年度広域人事調査 「学校に貢献」9割実感 優遇措置の明確化など課題
(関係団体 2019-08-21付)

 道小学校長会(大石幸志会長)は、令和元年度「広域人事に関する調査の集計と考察」をまとめた。広域人事制度に参加して良かった点(複数回答)として、3年目終了者の67%が「学力向上への関与」「自身の授業力の向上」と回答。対象教諭が3年間勤務していた学校の校長の9割が、学校への貢献を実感していることが分かった。課題・改善点として「異動者への精神的・経済的なサポートの一層の充実」「元の管内に戻る際の優遇措置の明確化」などを挙げている。

 広域人事制度は平成23年度にスタート。教員の適正配置を促進し、各地域における教育課題の改善に資することで、全道的な教育水準を高めることが目的。

 平均年齢の高い管内の中堅層の教諭が、平均年齢の低い管内の学校に異動し、原則として3年間勤務。異動先で教育実践の中核を担ったあと、異動元の管内に戻り、その経験を生かしていく。また、若年層の教諭は、平均年齢の高い管内の学校で力量を高めたのち、異動元の管内に戻りその知見を還元する。

 調査の対象は、①異動3年目終了者本人と異動先校長、異動元校長②異動1年目対象者本人と異動先校長、異動元校長③異動元への戻り人事2年終了者本人とその学校の校長。対象者116人のうち、112人から回答を得た。

 集計、考察の概要はつぎのとおり。

▼3年目終了者

 制度に参加して良かった点(複数回答)として、67%が「学力向上への関与」「(自分自身の)授業力の向上」、60%が「職場の仲間とのかかわり」「保護者・地域とのかかわり」と回答。

 一方、大変だった点(複数回答)として、半数近くが「保護者・地域とのかかわり」を挙げている。対象者に対するサポート体制に関し道小では「(教育局・市町村教委等の)実務担当者の訪問面談や電話によるサポートが精神的な支えとなっている」と分析する。

 3年間勤務していた学校の校長に対する調査では、対象教諭の3年間の様子について、学校に「大いに貢献した」「貢献した」「貢献した部分がある」が合わせて9割となっている。貢献内容は「授業力向上」「職場の仲間とのかかわり」「学力向上」が特に多い。

▼1年目対象者

 対象者の9割が本人の意志で異動を希望。対象者が困った点(複数回答)では、「異動までの準備」で約4割、「着任後」で約7割が「困ったことはない」と回答している。また、他管内への異動のため「地域の様子や生活に関することを異動前に教えてほしい」と求める声があった。

 各校長会への説明会や意見交換については、異動元校長の38%、異動先校長の90%が「行っていた」と回答。地域によって対応の差があることが分かった。

 異動希望者の決定や受け入れに関しては、すべての学校が困難に感じることがなかったと回答。制度の課題と改善点では「道立学校と市町村立学校との間の広域人事も、もっと積極的に実施すると良い」との声もあった。

▼2年終了者

 全員が「良い変化があった」と回答。変化したこと(複数回答)として、「自分自身の授業力向上」「授業力向上への関与」「学力向上への関与」が多く挙がった。異動元の多くの校長は、授業力・学力の向上、豊かな人間性育成の関与を挙げている。

▼成果

 他管内の教育や文化にふれ、新たな気付きや意欲の向上、教育者としての実践の幅や視野の広がりにつながるなどの成果を指摘。教員の適正配置と人事交流を推進することで、学力向上や教育課程の改善を図ることができるとしている。

▼課題・改善点

 異動者への精神的・経済的なサポートの一層の充実、元の管内に戻る際の優遇措置(赴任先・役割)の明確化などを指摘。

 また、異動者や受け入れ校の希望に配慮し、年限(延長・短縮)などの柔軟な運用、異動者と受け入れ学校が目的を共有して日々の実践を進めるよう、3年間を見通した研修計画の必要性を挙げている。

(関係団体 2019-08-21付)

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