歴史総合への対応等協議 高大連携歴史教育研札幌大会開く 全国から170人参加(関係団体 2019-08-26付)
科目や校種の枠を越えた連携強化を図った
高大連携歴史教育研究会第5回札幌大会が7月下旬の2日間、北海学園大学で開かれた。講演やパネルディスカッションを通し、高校で新たに必履修科目となる「歴史総合」への対応などについて考え、科目や高大の枠を越え歴史教育にかかわる教員の連携強化を図った。
札幌大会は、全国組織である高大連携歴史教育研究会(桃木史朗会長)と、全道組織の道高校世界史研究会(橋本達也会長)、道高校日本史教育研究会(阿部孝則会長)の共催。
全国各地から、大学や中高校の教員、教科書出版社職員、予備校関係者など約170人が参加した。
初日のテーマは「ボーダーヒストリーと歴史教育―周辺地域から考える」。
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの岩下昭裕教授が講演し、「歴史を時間軸だけではなく、空間と境界の変化に着目することでみえてくるものがある」と指摘した。
続いて、「北海道と沖縄から歴史教育を考える」と題してパネルディスカッションを行い、色丹島へのビザなし渡航を経験した根室高校卒業生の小島竜さんが「ホームビジットを通じて共存についてポジティブな印象を受けた」と発表。北陵高校の本間靖章教諭が小島さんの取組について、「渡航後に多面的な考察に基づいて自分の考えをまとめるようになった」と評価した。
2日目のテーマは「歴史総合・探究科目の実施に向けて―探究型の授業例・歴史総合担当教員の養成」。3つのパネルディスカッションを行った。
「“歴史総合”“探究科目”の実際の実施に向けて」と題したパネルディスカッションでは、“植民地の記憶”を授業にどのように活用するか、道内高校の担当教員が事例を紹介。有朋高校は「高齢の女子高生」が若い生徒たちに満州引き上げの経験を語り、植民地の記憶を追体験した事例、市立札幌大通高校は、様々なルーツをもつ渡日・帰国生徒の支援と指導を通じて多様性を育み、日本人生徒と一緒に学び活動する事例、函館ラ・サール高校は北海道と樺太の華僑社会の研究から、いわゆる「不平等条約期」「条約改正後」の実態の再検討の取組を報告した。
「新しい歴史教育と教員養成」と題したパネルディスカッションでは、学習指導要領改訂など新たな教育課題に対応した教員をどのように育成するかについて協議。教員養成・採用・研修の一体的改革、大学における「歴史総合」の実践成果と課題、世界の大学における歴史教育の比較研究について意見を交わした。
「歴史教育の高大連携から考える大学入学者選抜の改革」と題したパネルディスカッションでは、変わる高校歴史教育と大学入学者選抜について、新センター試験を見据えた試行テストの分析などについて協議した。
最後の全体総会で、桃木会長は「人に教えることが一番よい学び。充実した大会の経験をぜひ全国の仲間に伝えてほしい」と呼びかけた。
(関係団体 2019-08-26付)
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