道町村教委連文教要望に対する道教委回答〈中〉
(道・道教委 2019-08-26付)

 道町村教育委員会連合会の令和2年度文教施策要望に対する道教委の回答はつぎのとおり。

▼特別支援教育の充実

▽特別支援学級および通級による指導を担当する教員の研修機会の一層の拡充や教職員定数の改善を図っていただきたい。

〈回答〉

 道教委では、特別支援学級および通級指導教室を担当する教員の専門性向上を図るため、全14管内において、特別支援教育基本セミナーや特別支援教育充実セミナーを開催している。

 このほか、道立特別支援教育センターにおいて、自立活動研修講座、教科等指導力向上研修講座を実施している。

 また、教員向けの指導資料として、これまで作成した『“特別支援学級を支えるために”特別支援学級に関するQ&A』『“特別支援学級を支えるために”実践事例編』『特別支援学級を支えるために~教材活用事例集』のほか、個別の教育支援計画の活用に関するリーフレットの活用について、あらためてすべての小・中学校などに周知することによって、特別支援学級を担当する教員の指導力向上に努めていきたい。

 特別支援学級の教員配置については、標準法に準拠し、学級数に応じた配置となっているが、肢体不自由、自閉症・情緒障がい、知的障がい学級で児童生徒数7人以上の場合などに道独自の措置として1人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。

 今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたい。

▽公立小・中学校に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒への支援の充実に向け、特別支援教育支援員の配置に当たり、特別支援学校教諭免許状の所有者も確保できるよう交付税措置の増額を図るとともに、特別支援教育支援員の人数に応じた算定基準に改めるよう国に要望していただきたい。

〈回答〉

 道教委では、特別支援教育支援員の配置の充実が図られるよう、全国都道府県教育委員会連合会と連携し、毎年度、国に対して地方財政措置の拡充を要望しており、一定程度増額が図られてきているが、市町村によっては、必要とする学校すべてに配置されていない状況もみられる。

 また、道教委が実施している通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査においては、支援を必要とする児童生徒等の割合は増加傾向にある。

 各市町村においては、財政事情や人材確保が困難な状況にある中、特別支援教育支援員を独自に配置するなど、支援を必要とする児童生徒等の教育的ニーズに応えるため、様々な取組を行っているものと承知している。

 道教委としては、各学校や地域の実情に応じて特別支援教育支援員の配置ができるよう支援員の配置にかかる財源措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたい。

▽現行の特別支援教育就学奨励費においては、重度重複障がいのある児童生徒にかかる修学旅行の付添経費などは、特別支援学校の在籍生徒は補助対象であるが、市町村立小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒は補助対象となっていない。

 今後、市町村立小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒についても補助対象となるよう特段の配慮を願いたい。

〈回答〉

 道教委では、障がいのある児童生徒等の就学に当たり、保護者の経済的負担の軽減を図る観点から、これまでも、特別支援教育就学奨励費負担金などにおける修学旅行の付添人経費の支給対象範囲拡大など、就学奨励にかかる施策の充実を国に要望してきており、引き続き要望していきたい。

▽障がい種別(特に病弱、肢体不自由児)で学級に複数の子どもたちが在籍の場合は、教員の複数配置となるよう国に要望していただきたい。

〈回答〉

 特別支援学級の教員配置については、標準法に準拠し、学級数に応じた配置となっているが、肢体不自由、自閉症・情緒障がい、知的障がい学級で児童生徒数が7人以上の場合などに道独自の措置として1人加算するほか、通級指導を行う学校への加配措置を行うなど、教職員配置の充実に努めている。

 今後とも、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導、支援を適切に行うことができるよう、定数措置の一層の拡充について、引き続き国に要望していきたい。

▽特別支援学級在籍の児童生徒が医療機関に入院(短期)し、併設する特別支援学校やいわゆる院内学級で教育を受ける場合の転校手続きの特例・簡素化を国に要望していただきたい。

〈回答〉

 道教委では、これまでも全国都道府県教育委員会連合会と連携し、国に対して、病気のため入院療養中の児童生徒に対しては、いわゆる院内学級などへの学籍異動事務を省略し、事務軽減および円滑な児童生徒の異動を行うことができるようにすること、いわゆる院内学級などで実施した教育指導を、学籍校の教育課程の一部とみなす制度に改正することを要望してきており、引き続き要望していきたい。

▼高校の配置

 全日制小規模高校および定時制高校の配置については、これからの高校づくりに関する指針によって基本的な考えが示されているが、地方(郡部)においては高校の地域振興に果たす役割が大きいので、都市部と郡部の違いを考慮し、小規模校を抱える地域の意見を聞いて、配置の見直しを慎重に検討いただきたい。

〈回答〉

 本道の中学校卒業者数はピーク時の半分を下回る状況となっており、こうした中、一定規模の生徒や教職員による活力ある教育活動を展開する観点から、高校の再編整備を進めている。配置計画の策定に当たっては、各学区ごとに開催している地域別検討協議会に加え、個別に市町村を訪問する機会や地元の検討の場などを通じて地域の人々の意見を伺うとともに、学校や地域の実情を十分に考慮しながら進めている。

 今後とも、高校における教育水準の維持向上や教育環境の充実を図ることを基本とし、広域な本道における都市部と郡部の違い、今後の中卒者数、地域の実情や学校・学科の特性などを考慮し、地域別検討協議会などにおける地元市町村の意見なども参考としながら、適切な高校配置について検討していきたい。

 なお、これからの高校づくりに関する指針では、地域連携特例校などにおいて、5月1日現在の第1学年の在籍者が20人を下回った場合にあっても、地域における高校の教育機能の維持向上に向けた具体的取組とその効果を勘案した上で、再編整備を留保することとしており、今後とも、地域との連携を一層深めながら魅力ある高校づくりに努めていきたい。

▽高校の総合学科設置に当たっては、地方における中等教育の振興、高校の活性化を果たす役割が大きいので、地域の実情を考慮して設置していただきたい。

〈回答〉

 道教委としては、総合学科については、新たな高校教育に関する指針に基づき、できるだけ多くの通学区域に設置しており、現在、町立を含め16校設置している。

 総合学科の設置に当たっては、地域の特性に応じた教育内容の設定や教育活動における地域との連携が重要であることから、これまでも、地域の人々や学校関係者の理解を得ながら進めており、今後とも、地域の人々の要望などを踏まえ、中学校卒業者数の状況や進路動向、都市部と郡部との違いなどを総合的に勘案しながら、これからの高校づくりに関する指針に基づき取り組んでいきたい。

▽つぎの事項について、特段の配慮願いたい。

①公立高校配置計画地域別検討協議会における意見や地元市町村の理解や要望を、高校の配置計画に対して大きく斟酌する材料とするよう願いたい。

②都市部と郡部の教育的環境に格差を生じることのないよう配慮願いたい。

③市町村立高校設置者を含め、圏域ごとに特色ある教育環境を道と市町村が共に保障していくような協議の場を設定するよう願いたい。

〈回答〉

 中学校卒業者数の減少が続く中、教育水準の維持向上を図り、活力ある教育活動を展開するためには、高校の再編整備は避けて通れない課題と考えている。再編整備の検討に当たっては、地域の実情や教育的観点からの望ましい学校規模の考え方などを丁寧に説明するとともに、地域の人々から意見を伺うことが何よりも大切と考えている。

 今後とも、高校が地域で果たしている役割や高校教育を取り巻く環境の変化を見極め、地域別検討協議会をはじめ様々な機会を通じて、保護者や地域の人々の意見などを伺いながら、魅力ある学校づくりを進めるとともに、適切な高校配置となるよう努めていきたい。

▼地域学校協働活動推進事業の充実

▽地域学校協働活動推進事業にかかる補助事業の継続と補助の増額を国に要望していただきたい。

〈回答〉

 地域学校協働活動推進事業については、これまでも国に対し財源措置の継続および拡充を要望しており、今後とも、全国都道府県教育委員会連合会などとも連携しながら、国に要望していきたい。

▼フッ化物洗口剤の支援

▽新規にフッ化物洗口を実施する公立の幼稚園や小・中学校に対して、平成24年度と同様にフッ化物洗口に必要な薬剤の支援をお願いしたい。

〈回答〉

 フッ化物洗口については、未実施市町村における円滑な導入の支援の一環として、平成25年度から町村教委連の要望を受け、知事部局と連携し、新規にフッ化物洗口を実施する公立の学校などに対して、初年度分の薬剤支援を行っている。

 道教委としては、引き続き知事部局と連携し、新規にフッ化物洗口を実施する学校などへの負担軽減措置について検討していきたい。

▼子どもたちのインターネット利用にかかる施策の推進

▽道教委によるネットパトロール業務の継続をお願いしたい。

〈回答〉

 道教委では、道教育推進計画に基づき、有害情報に対する指導の充実を図る観点から、児童生徒のネットの不適切な利用による、ネット上のいじめなどの問題行動の未然防止、早期発見・早期対応に向け、国のいじめ対策等総合推進事業(国庫補助事業)を活用し、民間業者にネットの監視を委託するなど、ネットトラブルの未然防止にかかる学校の取組の支援に取り組んできた。

 道教委としては、依然として憂慮すべき状況にある、コミュニティサイトなど(出会い系サイトとコミュニティサイト)による福祉犯被害やネット上のいじめなどの未然防止や早期発見・早期対応を図る上でネットパトロールは重要な事業と考えており、引き続き、国に対して支援事業の拡充について働きかけていきたい。

(道・道教委 2019-08-26付)

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