積極的実施呼びかけ 校内放送活用し非行防止教室 道教委(道・道教委 2019-08-29付)
道教委は21日付で各教育局長、道立学校長、市町村教委教育長に通知「校内放送を活用した非行防止教室の積極的な実施について」を発出した。非行、犯罪被害防止に向けた全26種類の教材一覧、小・中学校における実践事例を紹介。年間カリキュラムに組み込む必要がなく、短時間で実践できるなど学校側のメリットも多いことも示し、積極的な実施を呼び掛けている。
道警が平成29年度から実践している「校内放送を活用した非行防止教室」は、放送委員などの児童生徒と警察官が、非行、犯罪被害防止、ネットトラブルなどをテーマにインタビューや意見交換などを行うもの。児童生徒自ら番組づくりに参加し、校内放送で全教室に配信することで、防犯に対する意識の向上を図っている。
30年度における実施校数は小・中学校320校で、対象小・中学校における実施率は19・5%。実施回数は447回。
1回10分程度の短時間で実施できるため、従来の非行防止教室と異なり、年間カリキュラムに組み込む必要がないことも特徴となっている。
通知では、不審者対応訓練と組み合わせて校内放送を実施した中学校や、昼休み中の約5分間で音声放送を実施した小学校の事例を紹介。
インターネット上のトラブル、児童ポルノ・児童売春などの性的搾取被害の未然防止、不審者からの犯罪被害防止、非行の未然防止など、全26種類の教材一覧も添付。学校の状況やニーズに応じ、柔軟にシナリオを選択できることも示し、活用を呼びかけている。
学校を管轄する警察署の少年担当係が受付窓口となり、実施を希望する学校から電話で申請を受け付けている。
警察と学校の間で日程や放送内容、実施回数などを打ち合わせ、警察官、児童生徒によるリハーサルを実施。校内で放送する流れとなる。
道警「校内放送を活用した非行防止教室」における教材のキーワードと内容はつぎのとおり。
【インターネット空間に潜むトラブルや危険からの被害防止】
▼「セクストーション」=男子生徒がインターネット上で女子生徒になりすました犯人から金銭を請求された事例(セクストーション)を説明し、「ネットで知り合った人を信用しない」など、インターネットを利用する際の3つの注意点について指導することで、児童生徒にインターネット空間に潜む危険から被害を防止するための意識の醸成を図る。
▼「ワンクリック詐欺」=男子生徒が、インターネット上の架空請求にだまされて、お金を支払ってしまった事例を説明し、ワンクリック詐欺に遭ってしまったときの2つの注意点について指導することで、児童生徒にインターネット空間に潜む危険から被害を防止するための意識の醸成を図る。
▼「スマートフォンの危険性」=スマートフォンなどの使用にかかわって、友達などとのトラブルを未然に防止するために、「知らない人とやりとりをしない」「個人情報を掲載しない」「悪口を書き込まない」などの注意点について周知を図る。また、悪口の書き込みによってトラブルとなった事例を説明する。
▼「個人情報の投稿に注意」「不適切な画像の投稿」=SNSなどに個人情報を投稿することは大変危険な行為であること、ツイッターなどに悪ふざけで不適切な画像を投稿することは、一生の後悔につながることについて説明する。
▼「無料オンラインゲームの落とし穴」=無料のオンラインゲームでもお金がかかる仕組みになっているものがあることや、名前や電話番号などの個人情報を安易に伝えるとトラブルになることについて説明する。
【インターネット空間でのいじめの防止】
▼「インターネットいじめ」=女子生徒が、無料通話アプリのグループトークで誹謗中傷などのいじめを受けた事例を説明し、「メールですぐに返信がないときには、イライラせず、相手の状況を考える」など、無料通話アプリを利用する際の3つの注意点について指導することで、児童生徒にインターネットを使ったいじめの防止についての意識の醸成を図る。
【インターネットへの依存の防止】
▼「インターネット依存」=男子生徒が、深夜までインターネットなどを使用したことで寝不足になり登校することができなくなった事例を説明し、「食事中や会話中にスマートフォン等を使用しない」など、スマートフォン等を利用する際の3つの注意点について指導することで、インターネットの依存防止についての意識の醸成を図る。
【児童ポルノ、児童買春などの児童の性被害防止】
▼「自画撮り被害」「ありのおしらせ」=女子中学生が裸の画像を繰り返し送信させられた事例などを説明し、サイバー安全標語「ありのおしらせ」に基づき指導することで、児童生徒にインターネット空間に潜む危険から自らの身を守るための意識の醸成を図る。
▼「性犯罪被害」=家出をした女子中学生が性犯罪の被害に遭った事例などを説明し、「ネットで知り合った人を信用しない」など、インターネットを利用する際の3つの注意点について指導することで、児童生徒にインターネット空間に潜む危険から自らの身を守るための意識の醸成を図る。
▼「自画撮り被害」=女子中学生が成人男性にだまされて裸の画像を送信した事例を説明し、「安易な気持ちで知らない人とメールなどをしない」など、インターネットを利用する際の3つの注意点について指導することで、児童生徒にインターネット空間に潜む危険から自らの身を守るための意識の醸成を図る。
▼「児童ポルノ被害」=女子高生がホテルに誘われ、裸の姿を撮影された事例を説明し、「ネットで知り合った人を信用しない」などの3つの注意点について指導することで、児童生徒にインターネット空間に潜む危険から自らの身を守るための意識の醸成を図る。
▼「性犯罪被害」=性犯罪被害の未然防止、性犯罪被害に遭ってしまった際の対応など、児童生徒が自らの心や体を守るための意識の醸成を図る。
▼「自画撮り被害の防止」=自画撮り被害に遭わないための意識の醸成を図るとともに、裸の写真などを要求することは犯罪であることを説明する。
【児童生徒に対する声かけ、前兆事案など不審者からの犯罪被害防止】
▼「いかのおすし」=子どもを守る防犯標語「いかのおすし」に基づき指導することで、児童生徒に不審者などからの被害防止について意識の醸成を図る。
▼「不審者の声かけの3つのパターン」=不審者の声かけのパターンについて児童生徒が事前に学ぶことで、不審者からの被害の未然防止を図る。
▼「一人の時が狙われる」=一人で留守番をしているときに気を付けること、もし一人でいるときに不審者に声を掛けられたら注意することなどについて学ぶことで、不審者からの被害の未然防止を図る。
▼「エレベーターにも危険が潜んでいる」=何気なく利用しているエレベーターも、不審者からの被害に遭う場となることがあり、その未然防止を図る。
▼「いかのおすしの一層の効果」=従来の「いかのおすし」の内容に、子ども自身が犯罪などから身を守るためにさらに必要とする要点を加えた。キーワード「いかのおすし」の教材を実施してから活用する。
【非行の未然防止】
▼「万引きの未然防止」=「万引きはどのような罪になるのか」「万引きをしてしまったらどうなるのか」について指導することで、万引きの未然防止を図る。
▼「万引きの未然防止」=万引きの事例を説明し「店から物を盗む」「逃げるため店員に暴行する」などの行為が犯罪であることを認識させることで、万引きの未然防止を図る。
▼「いじめの未然防止」=いじめの事例を説明し、いじめは犯罪になる可能性があることを認識させることで、いじめの未然防止を図る。
▼「飲酒・喫煙の防止」=飲酒や喫煙の事例を説明し、成長期における飲酒・喫煙の害を認識させることで、未然防止を図る。
▼「薬物乱用の防止」=薬物乱用の事例を説明し、依存性や耐性などの特徴や犯罪行為であることを認識させることで、薬物乱用の防止を図る。
▼「特殊詐欺への関与の防止」=特殊詐欺の仕組みを説明し、特殊詐欺にかかわることは犯罪になることを認識させることで、特殊詐欺への関与の防止を図る。
▼「大切な心とからだの守り方」=暴力や性的被害の事例を説明し、SNSなどの利用の仕方を認識させることで、犯罪被害の未然防止を図る。
【性的問題行動の未然防止】
▼「性的問題行動の未然防止」=援助交際の事例を説明し、知らない人と会って援助を受けることは犯罪に巻き込まれる場合があることを認識させることで、犯罪被害の防止を図る。
(道・道教委 2019-08-29付)
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