全道高校教育改善研 道教委所管事項説明・下
(道・道教委 2019-09-05付)

 道教委の全道高校教育改善研究協議会(8月27日、道庁本庁舎)における各課所管事項説明概要はつぎのとおり。

◆教育環境支援課

【遠隔授業の充実】

 子どもたちが住み慣れた地域の中で学び、進路希望をかなえることができる教育を実現するため、郡部の小規模校においても大学進学に必要な教科・科目を学ぶことができる教育課程の編成(ワイド・カリキュラムの実現)を可能とする方策が必要である。

 道教委は、遠隔授業をより効果的に展開することができるよう、仮称・遠隔教育拠点校を設置し、遠隔授業の配信体制の集中化を図る。

 仮称・遠隔教育拠点校から複数の学校に対し、生徒の興味・関心や、大学進学などの進路希望の実現に向けた多様な教科・科目を計画的・継続的に同時配信することによって、どの地域の子どもたちにも、質の高い教育を提供できる教育環境を実現する。

 今後、高校長協会などから意見をいただきながら検討を進めていくので、協力いただきたい。

◆健康・体育課

【授業改善セミナー(保健体育)】

道央、道南、道北、道東の各ブロックで開催する予定。

 今後、授業実践スペシャリストおよび会場校の選定を進める。関係学校には理解と協力をいただきたい。

 授業改善セミナーについては、参加者の旅費は措置されないが、例年、参加者の満足度が非常に高い実践的な研修であり、保健体育科の教員の指導力の向上を図る貴重な機会となっていることから、教員の参加について配慮いただきたい。

【学校保健委員会の活性化】

 生徒の多様化・複雑化する健康課題に対応するためには、校内に設置している学校保健委員会の活動を充実させることによって、健康課題に関する教職員間の共通理解を図ったり、生徒や保護者はもとより、地域の専門家なども巻き込んだ健康課題の解決に向けた体制づくりを行ったりすることなどが重要である。

 各学校においては、学校医などの学校三師を委員に含め、専門的見地から指導助言を受けるとともに、委員会を年に複数回開催し、自校の生徒の健康課題の解決に向けた取組の改善・充実を図るなど、学校保健委員会の活性化を図っていただきたい。

◆生徒指導・学校安全課

【生徒指導】

▼児童虐待への対応

 児童虐待の対応は、個々の教職員だけで対処することは極めて困難であり、一人で抱え込まず、ただちに管理職に相談・報告し、組織的に対応することが重要である。

 各学校においては、管理職がリーダーシップを発揮し、組織的な対応ができる体制を構築するとともに、令和元年7月26日付教生学第421号通知によって、学校へ送付した資料を活用するなどして、校内研修の充実を図っていただきたい。

▼いじめの防止等

▽道いじめの防止等に向けた取組プラン

 いじめの積極的な認知に向けた取組のため、教職員リーフレット『いじめの正確な認知に向けて』(令和元年6月11日付教生学第271号通知)を作成し、学校へ送付した。各学校においては、本リーフレットを活用した校内研修を計画的に実施するとともに、いじめアンケートや面談等で把握した事案にいじめの認知漏れがないかを確認するなど、いじめの正確な認知に向けた取組を実施していただきたい。

 また、いじめに対する理解を深めるための取組として、教職員や保護者のいじめに対する認識を把握するための意識調査を予定しているので、協力いただきたい。

▽いじめの問題にかかる調査(いじめの把握のためのアンケート調査第1回集計結果)

 「4月からきょうまで、嫌な思いをしたことがある」と回答した児童生徒数は全体の9・7%を占める3万43人。内訳は、小学校が2万6626人(18・2%)、中学校が2377人(3・2%)、高校が931人(1・1%)、特別支援学校が109人(2・4%)。

 「傷つく内容がメールで送られてきたり、インターネットに書き込まれたりする」と回答した児童生徒数は、723人(「嫌な思いをしたことがある」と回答した児童生徒数に対する割合2・9%)。内訳は、小学校が398人(同1・8%)、中学校が165人(同6・9%)、高校が152人(同16・3%)、特別支援学校が8人(同7・3%)。

 「嫌な思いをしたことがある」と回答したうち、「傷つく内容がメールで送られてきたり、インターネットに書き込まれたりする」と回答した割合は高校が最も多い。各学校においては、インターネット上のトラブルの未然防止に向けて、コミュニティーサイトやSNS等の利用を含めたインターネットの適切な利用などについて、あらためて指導していただきたい。

▼自殺予防教育

 道自殺対策行動計画(平成30年3月)では、SOSの出し方に関する教育の推進が求められている。

 本道においても、自殺が疑われる事案が発生しており、各学校にはあらためて、つぎの取組を実践していただきたい。

①自殺予防教育の組織的・体系的な推進

②教員研修用動画シリーズ「教育相談の資質向上に向けて」(平成31年3月7日付教生学第957号)を活用するなど、生徒の心の危機への対応力を向上させる教職員研修の充実

▼どさんこ☆子ども全道サミット

 8月8日から9日の1泊2日の日程で、ネイパル砂川を会場に開催した。

 全道各地から代表児童生徒48人が参加し、テーマ「一人一人の良さを生かすために、他者とのかかわり合いを大切にしよう!」を決定した。

 今後は、各管内で開催される地区会議への参加を勧めるとともに、各学校においても、生徒が主体的にいじめ根絶に参画する取組を進めていただきたい。

【学校安全】

▼交通安全

 本年5月、自転車で登校中の高校生が自動車と衝突し、一時、意識不明の重体となる事故が発生した。

 本年7月には、小学生が自転車で走行中に自動車と衝突し、死亡する事故が発生しており、毎年のように本道の児童生徒が自転車乗車中の事故で死亡する事故が発生している。

 各学校においては、あらためて、自転車の安全利用について、生徒に対する指導を徹底し、交通事故の防止に万全を期していただきたい。

▼水難事故の防止

 平成28年度から3年連続で、遊泳中の高校生が死亡する事故が発生している。

 令和元年7月5日付教生学第351号通知「海水浴等に伴う事故防止について」に基づき、海岸や河川付近等の野外におけるレジャーなどにおいて、危険な場所に絶対に立ち入らないことや、天候の急変に十分に注意することなどについて、あらためて指導し、水難事故の防止に万全を期していただきたい。

▼登下校時における児童生徒等の安全確保

 本年5月、神奈川県川崎市において、登校中の児童等が殺傷される事件が発生した。

 各学校の学校安全計画および危機管理マニュアルをもとに、生徒の命を脅かす事件・事故の発生防止に努めるとともに、教職員に対し事件・事故発生における対応の周知徹底を行っていただきたい。

 警察との連携による不審者情報等の共有にも努めていただきたい。

▼「学んDE防災」の活用

 前年度、学んDE防災の内容を改訂したが、このたび、地震編に北海道胆振東部地震について追記した。積極的に活用していただきたい。

【道内公立高校(札幌市立を除く)における非行事故(速報)の状況】

 令和元年度の非行事故(8月15日現在報告分)は、前年度比3件増の30件。家出、暴行、建造物侵入などによる逮捕事案などが発生した。

 各学校においては、生徒指導・教育相談体制の工夫改善に取り組んでいただきたい。

◆教職員課

【教員の適正な勤務管理の徹底】

 令和元年2月28日付で「教員の適正な勤務管理の徹底について」通知を発出し、教員の正規の勤務時間を超える勤務や休憩時間、勤務時間の適切な割振りなど基本的な考え方について、あらためて知らせた。

 また、元年3月6日付で「勤務時間の適正化にかかる管理職チェックリスト」を送付しているので、これらを参考に、勤務時間制度を順守した勤務管理の徹底に努めていただきたい。

【教職員の不祥事防止】

 各学校において、不祥事等の防止に向けた実効性ある取組を実施していただいている。

 本年度はすでに、わいせつ行為による懲戒免職処分が5件、酒気帯び運転による懲戒処分が1件となっており、さらに、わいせつ行為による事故速報が複数件報告されているなど、極めて憂慮すべき状況となっている。

 学校教育は、児童生徒や保護者、地域住民との信頼関係の上に成り立っている。児童生徒の教育に直接従事する教職員には、一般の公務員に比べてより高い倫理観が求められており、全体の奉仕者として公共の利益のために職務を遂行すべき責務を負っていることから、より一層危機感をもって所属職員への指導を徹底し、不祥事の未然防止と服務規律の保持に万全を期していただきたい。

 また、飲酒運転根絶に向けた取組については、7月11日から9月30日までを飲酒運転根絶取組強化期間として設定し、本年度は、飲酒運転根絶メッセージを職場内の回付文書等に掲載するよう促すなど、取組を強化しているので、飲酒運転の根絶に向けて指導を徹底していただきたい。

 さらに、わいせつ行為等の防止については、元年6月12日付教職第501号通知で、携帯電話・電子メール・SNSなど、生徒との連絡手段の適切な取扱いについて指導している。

 各学校においては当該通知などを参考とし、職員の普段の様子に目配りするなどして、生徒との距離が近すぎることがないかなどの把握に努め、注意喚起するなど、事故防止に向けて適切に対応いただきたい。

◆教育政策課

【道立学校ふるさと応援事業】

 7月17日に道立学校ふるさと応援事業実施要領を定め、各教育局を通して各道立学校へ、実施を希望する場合、事業実施計画書を提出するように通知した。

 7月末現在、46校(高校40校、特別支援学校6校)から実施計画書の提出があった。

 本事業は、北海道(母校)を応援したいという方々の力を生かしながら特色ある学校づくりを進めていくという、鈴木知事の重点政策(公約)に位置付けられた事業であり、道立学校における教育活動の充実のため、いわゆるふるさと納税である寄付を募集するもの。

 最初の実施計画書の取りまとめは7月末としているが、その後も順次受け付けているので、積極的に応募していただきたい。

 計画書の作成に当たっては、各道立学校が特色ある教育活動の一層の促進を図るため、各学校や地域が抱える課題を踏まえるとともに、生徒会(生徒)、PTA(保護者)、教職員、地域、同窓会などの関係者から幅広く意見を得て作成する必要があると考えているので、留意いただきたい。

【国際交流関係事業】

▼北海道・ハワイ州高校生交換留学促進事業

 派遣生徒および引率教員の募集・選考を各教育局で実施中。9月中旬目途に決定し、関係高校に通知する。関係高校では、生徒や引率教員の派遣について配慮いただきたい。

▼高大連携による「Hokkaido Study Abroad Program」

北海道大学留学生の道立高校への派遣と、道立高校生の北海道大への派遣を実施。北大留学生の派遣は9月中・下旬に実施する方向で、受入校と参加留学生の募集・決定や連絡調整などを進めている。

 受入校では、生徒の参加および留学生の受入について配慮いただきたい。

 道立高校生の北海道大への派遣は、10月下旬の3日間の予定で調整中。詳細が確定次第、通知するので、生徒の積極的な参加を促していただきたい。

▼青少年国際交流加速化事業

 第2回定例道議会で成立した本年度からの新規事業。本道におけるグローバル人材育成のさらなる強化を図るため、姉妹友好提携地域等との青少年交流を積極的に展開しようとするもの。

 道立高校と海外の高校の姉妹校提携を拡大することとし

①姉妹校との現地訪問やICTの活用による生徒交流のほか、各国総領事館との連携によるセミナーの実施②海外留学規模の拡大に向け、姉妹友好提携地域等との青少年の教育交流協定の締結や交換留学プログラムの策定に向けた調整―などを行う予定。

 関係機関と調整中。順次、姉妹校提携校の募集などを進めるので、協力いただきたい。

◆道立教育研究所

【研修事業】

▼カリキュラム・マネジメント実践研修

 本研修講座は、本年度から実施される道高校「未来を切り拓く資質・能力を育む高校教育推進事業」におけるカリキュラム・マネジメント推進プロジェクトに位置付けられた研修であり、本年度から令和3年度までの3年間に、全14管内で実施する予定である。

 本年度は8月22日の宗谷管内をはじまりとし、留萌、オホーツク、十勝、後志と、9月までに5管内で実施する。

▼総合的な探究の時間充実研修

 9月13日に高校の副校長および教頭を対象に、探究活動や教科等横断的な取組のねらいや進め方についての理解を深め、自校の取組の改善・充実に資する研修として実施する。

 定員に若干の余裕があり、研修は1日日程であるため参加しやすいことから、受講について特段の配慮をお願いする。

▼学校経営・学校経営参画研修

 11月13日から3日間の日程で、兵庫教育大学大学院と連携して、教職経験の異なる教職員をまとめ、組織力を高めるリーダーシップの在り方について理解を深めるとともに、校長としての資質・能力の一層の向上を図ることを目的とした校長の学校経営力向上研修を実施する。

 12月12日から2日間の日程で、校内協働体制を強化する副校長・教頭の業務の在り方について理解を深めるとともに、業務力を一層高めることを目的とした副校長・教頭の業務力向上研修を実施する。

 いずれの研修講座も各支部1人の定員となっている。研修のねらいに応じてふさわしい方の推薦をお願いする。

(道・道教委 2019-09-05付)

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