全国学力調査の実施報告書―札幌市教委 知識・技能活用が課題 課題探究的学習を小中協働で
(市町村 2019-09-11付)

札幌市立学校の各教科の平均正答率
札幌市立学校の各教科の平均正答率(クリックすると拡大表示されます)

 札幌市教委は9日、令和元年度全国学力・学習状況調査の実施報告書を公表した。教科に関する調査結果について、7月に文部科学省が発表した整数値のほか、新たに小数値を独自に算出し併記したもの。平均正答率は全国平均と比べ小学校は下回り、中学校は上回る傾向に。教科に関する調査では、国語は自分の考えをまとめたり表現したりすることなど「身に付けた知識・技能を活用することについて小・中学校ともに課題」と分析。今後の取組として、「小学校と中学校の教職員が、教育内容や教育方法を共有するとともに、課題探究的な学習を協働的に推進すること」などを挙げた。

 文科省は、平成29年度から都道府県および指定都市の各教科の平均正答率について、小数点以下を四捨五入した整数値を用いて結果の提供・公表を行っている。

 市教委は、報告書の公表を始めた27年度以降は小数点第1位まで示していたことや、道も整数値と独自に計算した小数第1位までの数値を併記していることを踏まえ、市全体の平均正答率を整数値のみで示すことは、保護者や市民から結果をあいまいにしているという印象や誤解を招く恐れがあることなどから、各教科の平均正答率を整数値とともに、独自に算出した小数第1位までの数値も併記することとした。

 本年度の調査では、従来の主に知識に関するA問題と主に活用に関するB問題を一体的に問う問題に変更。新たに中学校英語を加えた。

 調査実施校および児童生徒数は、市内小学校200校の6年生1万4485人(実施率92・7%)、中学校99校の1万3243人(同92・1%)となっている。

 実施報告書をみると、教科に関する調査で、市が独自に算出した小数第1位までの平均正答率は、小学校が国語61・8%、算数65・5%。中学校が国語73・5%、数学60・7%、英語56・9%となった。

 全国平均と比較すると、小学校は国語が2・0ポイント、算数は1・1ポイント下回った一方、中学校は国語が0・7ポイント、数学が0・9ポイント、英語が0・9ポイント上回った。

 小学校国語では、情報を相手に分かりやすく伝えるための記述の工夫を捉えたり、目的や意図に応じて自分の考えの理由を明確にし、まとめて書いたりするなど「書くこと」の領域が全国平均を下回った。

 英語では、「聞くこと」「読むこと」「書くこと」の領域において全国平均をやや上回った。

 一方、児童生徒質問紙調査をみると、読書は好きと肯定的に回答した児童は全国平均と比べ2・4ポイント、生徒は4・7ポイントそれぞれ上回った。

 本年度新たに設定された質問「1・2年生のときに受けた授業では、スピーチやプレゼンテーションなど、まとまった内容を英語で発表する活動が行われていたと思うか」では、肯定的な回答をした生徒の割合が79・0%と全国平均を1・8ポイント上回った。

 市教委は、課題として小・中学校ともに、国語では「自分の考えをまとめたり、表現したりすること」、算数・数学では「判断の理由や解決の方法を考察し、数学的に表現すること」、英語では「聞いたり読んだりして把握した内容に、適切に応じること」など、身に付けた知識・技能を活用する点を挙げている。

 また、児童生徒質問紙調査を分析し、「自分で計画を立てて勉強すること」「将来の夢や目標をもつこと」について、小学校に比べて中学校の肯定的な回答の割合が低いことを課題としている。

 今後の取組として、「小学校と中学校の教職員が教育内容や教育方法を共有するとともに、課題探究的な学習を協働的に推進する」「さっぽろっ子“学ぶ力”の育成プランに基づいて各学校が推進している“学ぶ力”育成プログラムやさっぽろっ子“学び”のススメなどを、小・中学校が9年間の見通しをもって活用することで、学ぶ力を一層育む」ことを挙げている。

(市町村 2019-09-11付)

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