札幌市内本年度試行SNSアプリ相談 成立件数は過去最多319件 対象等拡大で大幅に増加
(市町村 2019-09-10付)

 札幌市子どもの権利救済機関(=子どもアシストセンター)は、7月22日から8月30日まで29日間試行実施したSNSアプリ「LINE」での相談に関する報告をまとめた。市内の18歳未満の子どもを対象に実施したもので、相談成立件数は過去最多の319件。相談内容は友人関係が最多で、男女交際、親子兄弟関係、学校生活と続いた。今回から対象年齢を高校生から18歳以下と広げたことで、学校種別では中学生の相談が最も多い177件。冬期の相談を行った上で、来年度の本格実施を検討していく。

 センターは権利侵害に悩む子どもに対し、迅速かつ適切な救済を目的に幅広く相談に対応している。

 近年、SNSの急速な浸透などを背景に、メールでの相談件数が減少傾向だった。このため、平成30年度からSNSアプリ「LINE」での相談を試行的に開始。新たな手段としてLINEを導入するに当たり、体制や経費、技術的な課題などを把握し解決策を検討する。

 今回の試行対象は、市内に住む18歳以下の子ども。高校生向けとしていた前回より対象を大幅に拡大した。

 実施期間は7月22日から8月30日までの土日祝祭日を除く29日間。前回は午後4時から7時までの3時間としていたが、今回は午前10時から午後8時に延長した。また、相談員を7人に増員し、電話・メール・面談による相談と併せて対応した。

 LINE相談では、センターのアカウントを“友達”に登録し、受付時間内に相談内容をトーク画面に投稿することで相談が可能となる。

 試行の結果、相談アクセス数は427件で、このうち319件で対応が成立。相談者は男性が16・9%、女性が73・1%、不明が10・0%だった。学校種別では、小学生が1・6%、中学生が55・5%、高校生が27・6%、不明が15・3%だった。

 センターは成果として、過去最多の319件の相談が成立したことのほか、Eメール相談件数が大きく減少している中学生からの相談件数が最も多かったことから、LINEによる相談は子どもにとって相談しやすい体制づくりのために継続が必要としている。

 一方、件数が増えたことで相談期間開始時や一斉メッセージ送信時などに相談が殺到し、対応できなくなった事案も発生。相談件数を平準化する工夫が必要との課題を挙げているほか、相談員の勤務体制を見直し、土曜日のLINE相談の実施なども含む相談実施期間・相談時間の検討も必要としている。

 今後の方向性として、冬期試行実施を行った上で、次年度以降の本格実施について検討する。

 相談の実施結果はつぎのとおり。

【友達登録数】

▽529人

【受付時間内アクセス数】

▽427件(うち相談輻輳によって相談不可能となった件数13件)

【相談対応成立件数】

▽319件

【相談対応成立件数の内訳】

▼男女別

▽男性=54件(16・9%)

▽女性=233件(73・1%)

▽不明=32件(10・0%)

▼学校種別

▽小学生=5件(1・6%)

▽中学生=177件(55・5%)

▽高校生=88件(27・6%)

▽不明=49件(15・3%)

▼相談対応の所要時間

▽30分未満=152件(47・6%)

▽30分以上60分未満=118件(37・0%)

▽60分以上90分未満=41件(12・9%)

▽90分以上=8件(2・5%)

▼相談内容

▽友人関係=56件(17・6%)

▽男女交際=35件(11・0%)

▽学校生活=23件(7・2%)

▽親子・兄弟関係=23件(7・2%)

▽いじめ=22件(6・9%)

▽学習進路=22件(6・9%)

▽精神不安=17件(5・3%)

▽その他=121件(37・9%)

(市町村 2019-09-10付)

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