札幌市子どもの権利条例３０年度取組　「自分が好き」６７・４％　無料通信アプリ相談を試行

（市町村 2019-10-03付）

　札幌市子どもの権利総合推進本部は、札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例に基づく平成３０年度取組状況をまとめた。「自分のことが好きだと思う子どもの割合」が６７・４％と調査を開始した２１年度と比べて１４・２ポイント上昇した。子どもにとって新たな相談方法の構築を目的に、無料通信アプリ「ＬＩＮＥ」による相談を試行実施したことを報告した。

　札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例（子どもの権利条例）は、２１年４月１日から施行された。日本国憲法や平成元年に国連で採択された子どもの権利条約が保障する子どもの権利を、より具体的に分かりやすく定めるとともに、それを保障するための大人の役割や市の取組について定めている。

　毎年度、取組の状況をまとめて市議会に報告している。

　子どもの権利に関する取組の概要を報告書にまとめた。学校の授業で活用できる子どもの権利パンフレットを市教委と連携して配布したことなどを紹介している。

　子どもの権利に関する推進計画の成果指標の状況として、「自分のことが好きだと思う子どもの割合」が６７・４％と目標値には達していないものの調査を開始した２１年度と比べて１４・２ポイント上昇したことを記載。

　本年度は、権利条例施行１０周年を機により効果的な広報に努めるとともに、今後の子どもの権利に関する施策の方向性や取組について検討することとしている。

　また、子どもの権利に関する推進計画の基本目標として掲げた、①子どもの権利を大切にする意識の向上②子どもの意見表明・参加の促進③子どもを受け止め、育む環境づくり④子どもの権利の侵害からの救済―の４点ごとに主な取組状況をまとめている。

　このうち、①では、パンフレットや広報紙など広報活動のほか、出前講座の実施状況を記載。学校教育における理解促進に向けた取組として、教育センターなどでの教員研修の実施のほか、人権教育推進事業による研究の概要も紹介している。

　④では、子どもの権利救済機関の運営状況を報告。３０年度は、子どもにとって新たな相談方法の構築を目的に、無料通信アプリ「ＬＩＮＥ」による相談を、市内高校生を対象に試行実施したことを紹介している。

　このほか、子どもの権利委員会の運営や第２次子どもの権利に関する推進計画など、子どもの権利に関する施策の推進体制を記している。

(市町村 2019-10-03付)