釧路市教委　道徳科授業づくり講座　求められる授業とは　管内小・中教諭４１人が研鑚

（市町村 2019-10-04付）

子どもたちに命の大切さを問う五十嵐教諭

　【釧路発】釧路市教委は９月３０日、釧路市立昭和小学校で研修講座「道徳科の授業づくり」を開いた。釧路管内の小・中学校から教員４１人が受講。外部講師を招き、けがをした鳥の命を考える公開授業や研究協議などを通して、今求められている授業について理解を深めた。

　はじめに、昭和小の五十嵐寛幸教諭が６年生道徳科の「今、生きている命、生かされている命」の授業を公開。保護されている動物たちの生きる姿やそれを支える人々の思いについて考えることで、生命を尊重する心情や態度を育んだ。

　児童は、前時までに行った猛禽類医学研究所見学を振り返り、猛禽類たちは生きているのか、生かされているのかという命題について、考えをめぐらせた。ゲストティーチャーとして招かれた同研究所の渡邊有希子獣医師は「けがをした鳥たちの命を救いたい一心で取り組んでいるが、羽や足を奪われ、二度と飛ぶことができなくなった姿に、本当にこれで幸せなのかといまだに迷っている」と苦しい胸の内を告白。「それでも命を見捨てることはできない」と語る渡邊獣医師の葛藤に児童も複雑な思いと命の重さを感じ取り、様々な意見を出し合った。

　研究協議では、ゲストティーチャーの効果的な活用について、「特にモラルジレンマ教材のような場合、直接現場に携わっている人の声が聞けるのは、子どもの心情に直接響くので考えが深まる」といった意見が出るなど、関係機関との連携の大切さを確認した。

　釧路市立大楽毛小学校の安斉悟教諭は「野生動物保護に携わるゲストティーチャーから話を聞くことで主体的に命の大切さについて考えることにつながっていた」と話した。

　助言者の道教育大学附属釧路小学校の遠藤直人主幹教諭は「教材・体験の工夫、内容項目の関連的・発展的な扱いがみられる授業だった。今後は発問構成や考え、議論するための工夫、立場・立ち位置を明確にした展開などがポイントとなる」とこれからの授業改善に期待を寄せた。

　授業を公開した五十嵐教諭は「生きるというテーマと真剣に向き合うことができた。外部人材活用も含め、教材開発ではよいチャレンジができた」と話した。

(市町村 2019-10-04付)