文科省委託「学校図書館利活用」　学校司書の役割を考察　指定校・南丘小が公開研　紋別市教委

（市町村 2019-10-02付）

　【網走発】文部科学省「学校図書館ガイドラインを踏まえた学校図書館の利活用にかかる調査研究」の研究指定校・紋別市立南丘小学校（橋本雄一郎校長）の公開研究会が９月２６日、同校で開かれた。「学校司書配置で変わる学校図書館、変わる授業」をテーマに、司書教諭と巡回司書によるチーム・ティーチング（ＴＴ）の授業や学校司書の講演などを通して、これからの学校図書館や学校司書が果たすべき役割について考えた。

　紋別市教委は本年度、文科省から学校図書館ガイドラインを踏まえた学校図書館の利活用にかかる調査研究の委託を前年度に引き続き受け、南丘小と紋別中学校を研究指定校に、従前からの取組をさらに強化する「取組拡充型」で研究を進めている。

　特に、学校司書の配置については各学校での常駐化を見据え、現在、市立図書館から週に１～２回来校する巡回司書と学校図書館の整備や授業での連携を強化するなど、その在り方について検討を進めている。

　今回の公開研究会も“学校司書”にスポットを当て、授業や講演を通してその役割について考える機会とした。

　司書教諭の森下和樹教諭と市立図書館の下村巌美巡回司書のＴＴによる授業を公開。４年１組（児童数１８人）国語「ぶんたんして図かんを作ろう～”不思議図かん”を作ろう」を指導した。本時の目標として、「複数の情報を比較する必要性を理解し、必要な情報を効果的に入手できる」「目的を意識し必要な情報を選択し、情報シートにまとめることができる」と設定した。

　児童は、それぞれ興味をもったテーマについて調べて図鑑にまとめる活動を行うため、前時までに本を使った調べ方や奥付の見方について学習してきた。

　森下教諭は、導入で前時までの内容を振り返った上で、「必要なことを本で調べて情報シートにまとめよう」と本時のめあてを提示。「必要なこと」については、「答え」「参考資料」「答えにつながる説明」が挙げられることを確認し、見通しをもたせた。

　つぎに、調べ学習の進め方について、「テーマに関する本は１冊あれば十分」と話す森下教諭に対し、「２冊以上必要」と下村司書が答えるやりとりを示し、課題意識をもたせた。その上で、「図鑑をつくるために調べる本は１冊がよいか、２冊以上がよいか」と課題を提示した。

　課題の全体交流では、児童から「１冊目で答えが見つかればそれでよい」「２冊目にもっとよい答えが書いてあるかもしれない」「１冊だけでは答えが真実かどうか分からない」などの意見が挙がった。

　それらを踏まえ、下村司書が調べ学習の方法について取り上げた書籍を紹介。複数の情報を比較して裏付けを取る必要性を説明した。

　このあと、本時で学んだ内容をもとに児童は調べ学習を開始。下村司書は、児童のテーマに合った資料の提供など支援した。

　森下教諭は、問いと答えを整合させることを意識しながら児童の調べ学習を指導した。

　授業後は、研究協議を行ったほか、札幌市内の中学校で学校司書を務める浅村麻姫子氏が「学校司書配置で変わる図書館～読書の力・調べ学習の力を育てる学校司書の役割」と題して講演した。

(市町村 2019-10-02付)