全国学力・学習状況調査 改善の方向性―道教委
(道・道教委 2019-11-07付)

 道教委は『令和元年度全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書』において、北海道の学力向上の取組に関する改善の方向性を示した。①授業改善②検証改善サイクルの確立③小学校と中学校が連携した取組の充実④望ましい学習習慣の確立―の4つの視点ごとに結果を分析。小学校国語「書くこと」においては、特に改善が必要な学習内容として、目的や意図に応じて自分の考えの理由を明確にし、まとめて書く指導の工夫を行う必要性を挙げている。概要はつぎのとおり。

◆授業改善

【特に改善が必要な学習内容】

▼小学校国語

〈書くこと〉

▽目的や意図に応じて、自分の考えの理由を明確にし、まとめて書く指導の工夫

 より説得力をもって自分の考えを伝えるために、調査したことを報告する文章では、調べて分かった事実をもとに自分の考えをまとめて書くことができるようにする。

 その際、報告する目的に応じて、どのような理由や事例を挙げて自分の考えをまとめることが適切かを十分考えて書くことができるようにする。

〈伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〉

▽同音異義語に注意して、漢字を文の中で正しく使う指導の工夫

 漢字による熟語などの語句の使用が増加する高学年では、漢字辞典を使って意味を調べたり、同音異義語を使い分けた短文づくりをしたりする学習などを取り入れ、文や文章の中で正しく使うことができるようにする。

▼中学校国語

〈話すこと・聞くこと〉

▽目的や場面に応じて話し合い、自分の考えをまとめる指導の工夫

 各学年における話し合うことに関する指導を意図的・計画的に行うとともに、話すことに関する指導事項および聞くことに関する指導事項との密接な関係を図って指導する。

〈書くこと〉

▽目的や意図に応じて相手に分かりやすく書く指導の工夫

 各学年における記述に関する指導を意図的・計画的に行うとともに、小学校での学習を踏まえ、自分の考えの根拠として用いる情報が適切かどうかを検討したり、自分の考えとの関係が分かるように記述したりできるようにする。

▼小学校算数

〈数と計算〉

▽計算に関して成り立つ性質を見い出し、表現する指導の工夫 

 適用する数の範囲を広げていきながら統合的・発展的に考え、計算に関して成り立つ性質を見い出し、表現できるようにする。

〈図形〉

▽図形の性質や構成要素に着目して、図形を観察・構成する指導の工夫

 図形の性質や構成要素に着目し、観察や構成などの活動を通して図形についての実感的な理解を深めることができるようにする。

▼中学校数学

〈図形〉 

▽結論が成り立つための前提を考え、新たな事柄を見い出し、説明する活動の充実

 ある結論が成り立つ事柄について前提を変えたときに、同じ結論が成り立つかどうかを検討する場面を設定する。

〈関数〉

▽事象の数学的な解釈に基づき、問題解決の方法を数学的に説明する活動の充実

 問題解決の方法に焦点を当て、「用いるもの」と「用い方」を明確にして問題解決の方法を説明する活動を充実する。

▼中学校英語

▽新学習指導要領(平成30年度から移行期間開始)に示した取組の着実な実施

 一文一文を聞き取る・読み取るだけでなく、目的・場面・状況等に応じて聞く・読む言語活動を充実させる。

 文法事項等を言語活動の中で理解し定着させる(和文に対応した穴埋めや語順整序だけではなく)。

 即興のやりとりをはじめとして、話すこと・書くことの発信の言語活動を充実させる。

▽生徒の英語学習の意欲を高める指導の工夫

 授業を実際のコミュニケーションの場面とする。

 生徒の関心に応じた話題を取り上げる。

 学習成果を適切に評価することで学習意欲の向上を図る。―など

【主体的・対話的で深い学びの実現に向けた指導方法の工夫】

 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の取組の質の向上を図るため、児童生徒が課題解決に向けて主体的に取り組んだり、自分の考えが相手に伝わるように説明したりする学習活動を工夫するなど、取組を充実させることが大切。

 また、児童生徒に学習内容が身に付いたかを見取りながら授業改善を進めるなど、児童生徒の学習状況を踏まえた指導方法を工夫することが大切。

◆検証改善サイクルの確立

 検証改善サイクルの取組の質の向上を図るため、分析ツール北海道版やS―P表(学校や学級別の児童生徒の解答状況を表に整理したもの)等を効果的に活用し、児童生徒のつまづきや教育課程の改善点等をより明確にすることが大切。

 また、児童生徒のつまづきや教育課程改善点等を踏まえて必要な取組を焦点化し、全教職員の共通理解のもと、教育課程の改善を組織的に進めることが大切。

◆小学校と中学校が連携した取組の充実

 同一中学校区内の小学校と中学校が連携した取組の推進に向けて、地域で育成すべき子どもの資質・能力を検討しながら、各教科等や各学年の指導の在り方を考える合同の研修会を開催するなど、取組を工夫することが大切。

◆望ましい学習習慣の確立

 子どもの学習習慣の確立に向けて、学校と家庭が連携して取組を進めることが大切

 特に、各学校において、教職員の共通理解のもと、子どもの発達の段階に応じた家庭での学習計画の立て方や学習内容を示すなど、取組を充実させることが大切。

(道・道教委 2019-11-07付)

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