新たに体力向上の調査委託研究―札幌市教委 運動習慣二極化改善など 道教育大札幌校と連携(市町村 2019-11-07付)
札幌市教委は、本年度から新たに子どもの体力向上にかかる調査委託研究を実施する。委託先の道教育大学札幌校保健体育教育分野研究室が「運動習慣の二極化傾向の改善を図るための方策検討」「なわ跳び運動の効果検証」などについて研究。研究報告書をもとに子どもの体力・運動能力の向上を図る新たな方策を立てる。
これまでの全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果では、市の子どもたちは「運動が好き」「体育の授業は楽しい」など、運動やスポーツを肯定的にとらえる意識に高まりがみられている。
しかし、実技調査の結果は依然として多くの種目で全国平均を下回っているほか、持久力と敏しょう性については全国との差が大きい。また、運動・スポーツの習慣については、積極的に運動する子どもとそうではない子どもの二極化傾向がみられるなど継続的な課題がある。
市教委は、課題解決に向けて体育・保健体育の授業の充実やなわ跳び運動の推奨、中学校文化系部活動等スポーツ大会の開催などの取組を推進。
これまでの全国調査の結果や各校の取組の成果・課題について詳細を科学的・専門的に分析・検証した上で、子どもたちが健康の大切さへの理解を一層深め、自ら運動に親しむことを通じて体力・運動能力を高めていけるような新たな方策を検討することが必要と判断。子どもの体力向上にかかる調査委託研究に取り組むこととした。
道教育大札幌校の保健体育教育分野研究室と委託契約を締結。
調査研究課題①運動習慣の二極化傾向の改善を図るための方策検討②全身持久力、敏しょう性の向上への取組③なわ跳び運動の効果検証④子どもの体力にかかる詳細な現状分析、課題の把握と解決策の構築および体力と学力の関連についての調査研究―の4点について研究する。
①では、平成30年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」を活用して運動の二極化傾向の改善を図るための具体的な方策を検討。また、運動習慣の形成を目的とした新しいイベントの企画を提案する。
③では、26年度から推奨しているなわ跳び運動の取組の効果を検証するほか、調査研究を踏まえた啓発パンフレットを作成することとしている。
来年3月末までに研究報告書を市教委に提出することとしている。市教委は研究報告書をもとに、子どもの体力・運動能力の向上を図る新たな方策を立てるなど、取組を推進していく。
調査研究課題と概要はつぎのとおり(①研究内容②研究方法③対象)。
▽運動習慣の二極化傾向の改善を図るための方策検討=①30年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査において、体育の時間を除く1週間の総運動時間が60分未満の生徒の割合が高い中学生の女子(約25%)における運動の促進要因と阻害要因を調査研究することで、運動の二極化傾向の改善を図るための具体的な方策を検討する。また、調査研究にかかるパンフレット等を作成するとともに、運動習慣の形成を目的とした新しいイベントの企画を提案する②中学校2年生を対象とした質問紙調査を実施③中学校10校程度
▽全身持久力、敏しょう性の向上への取組=①体育の学習等において、全身持久力や敏しょう性の向上に効果があり、楽しく継続して取り組める「Heat―up体操」を考案して実施するとともに、効果を検証する②先行研究によって全身持久力と無酸素能力を向上させることが明らかになっている「TABATA method」に基づいて、「Heat―up体操」を考案するとともに、小学校5年生を対象として、予備調査を経た上で介入効果を検証③小学校5校程度
▽なわ跳び運動の効果検証=①26年度から推奨しているなわ跳び運動の取組の効果を検証し、調査研究を踏まえた啓発パンフレット等を作成する②小学校3~5年生を対象とした実技調査および質問紙調査と、学校への実施状況調査を行い、なわ跳びの実施状況と体力との相関分析およびクロス表作成を実施③小学校5校程度
▽子どもの体力にかかる詳細な現状分析、課題の把握と解決策の構築および、体力と学力の関連についての調査研究=①市の子どもの体力と学力との関連について検証する。また、体力・運動能力、運動習慣等にかかる詳細な現状分析を行い課題を整理するとともに、解決策の構築に向けた調査研究を実施する②小学校3~5年生を対象とし、予備調査(体力テスト、認知テスト、質問紙調査)を行った上で、「Heat―up体操」による運動を継続的に一定期間実施し、事後の調査(体力テスト、認知テスト、質問紙調査)によって検証③小学校5校程度
(市町村 2019-11-07付)
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