【解説】読解力に課題　ＰＩＳＡ結果

（解説 2019-12-05付）

　経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）は、２０１８年に実施した生徒の学習到達度調査（ＰＩＳＡ）の結果を公表した。全参加国・地域における日本の順位は、数学的リテラシーで６位、科学的リテラシーで５位となった一方、読解力は１５位となり、判断の根拠や理由を明確にして自分の考えを述べるなど、読解力の課題が明らかになった。

　調査は、義務教育修了段階の１５歳児を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの３分野で調査。２０００年から３年ごとに実施しており、今回は読解力が中心分野となっている。

　ＯＥＣＤ加盟国・地域（７９ヵ国・地域）における平均得点の日本の順位をみると、数学的リテラシーは前回調査の５位から６位、科学的リテラシーは２位から５位、読解力は８位から１５位となった。加盟国別（３７ヵ国）では、数学的リテラシーは前回に続き１位、科学的リテラシーは１位から２位、読解力は６位から１１位となっている。

　国立教育政策研究所は、テキストから情報を探す問題、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題の正答率が比較的低いとし、「自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに引き続き課題がある」と分析。生徒質問調査では「読書は大好きな趣味の一つ」と回答する生徒の割合が平均より高く、こうした生徒ほど読解力の得点が高い傾向にあるとしている。

　今回の調査結果を受け、萩生田光一文部科学大臣はコメントを発表。調査で明らかになった課題を踏まえ、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善、言語能力・情報活用能力育成のための指導の充実、ＩＣＴ環境の整備と効果的な活用など、学校、教育委員会の関係者と連携・協力して推進する意向を示した。

(解説 2019-12-05付)