北見大会計画案など協議 道小が第4回理事研修会(関係団体 2019-12-19付)
教科担任制の導入などについて情報を共有
道小学校長会(大石幸志会長)は16日、ホテルライフォート札幌で第4回理事研修会を開いた。あいさつで大石会長は、教科担任制の導入や学校のICT環境の整備などに向けた国の動向を説明。各部の報告では、次年度のオホーツク・北見大会に向けた計画案などについて協議した。
開会式で大石会長があいさつ。小学校高学年からの教科担任制の導入など中央教育審議会における検討状況、小・中学校における1人1台のパソコンの整備などを盛り込む国の本年度補正予算について説明。
給特法改正に伴い、1年間の変形労働時間制が自治体判断で導入可能となったことに関しては、校長に勤務時間の記録を公文書として管理することを求めるなどとする衆・参議院の附帯決議を示した。
続いて、佐藤裕三副会長が、10月に開かれた全国連合小学校長会第233回理事会について報告。神谷敦事務局長が昨今の教育情勢について説明した。
学習会では、道教委教育政策課の齊藤栄三主幹が指導方法工夫改善の加配、教職員課の本吉恵美主幹が教員採用の今後について講話した。
つぎに、会務・各部の活動について担当者が説明。
研修部は、第62回道小教育研究胆振・苫小牧大会に関し報告。また、次年度のオホーツク・北見大会に向けた計画案を示した。
対策部は、来年度実施する広域人事や退職校長の動向に関する調査などの実施予定を伝えた。
16日にホテルライフォート札幌で開かれた道小学
大石会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
▼第7回全連小常任理事会(11月19日)報告
中央教育審議会では、新しい時代の初等中等教育の在り方の諮問を受けて、特別部会が開催され論点整理の案が出されている。今後大きく変わっていく義務教育の方向性とそのために必要なことがまとめとして書かれている。
特に、ICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方については、「学校ICT環境は教育現場で必要不可欠なものであるが、現状の情報化の致命的な遅延や地域間格差は、学習環境・職場環境として大きな問題であり、抜本的な改善が必要である」と文部科学省が指摘している。
これは、地財が目的に合った仕方で使われていないために、格差がどんどん広がっているという実態を、文科省がかなり重く受け止めている表現である。
教科担任制の在り方については、小学校高学年から本格的に導入すべきとしている。しかし、小規模校においても実施可能な仕組みを構築することが課題である。今後は、そのあたりも考慮に入れながら条件整備を図っていくということになる。
著作権法の改正と学校教育について。他人の著作物を利用した教材を紙にコピーして児童生徒に配布するのは、著作権法35条で許可されているが、以前はインターネットを経由して提供するのは認められないこととなっていた。
将来的にICT環境を整え、遠隔授業や反転授業などで著作物を利用した教材を配信することが行われるため、2018年5月に著作権法が改正され、サートラス(授業目的公衆送信補償金等管理協会)へ授業目的公衆送信補償金を支払うことによって許可されることになった。小学校の場合、義務教育なので、その支払いを設置者(自治体等)が行うことになる。
ただ、この理解が浸透しておらず、手続きが進んでいない。今後2年以内に、自治体が児童生徒1人当たり数百円の補償金を支払い、ネットを介した授業ができるようにしていく必要がある。
▼第8回常任理事会の報告
2019年度の補正予算案が閣議決定され、小・中学校1人1台のパソコンを整備していくことが盛り込まれた。報道では、高速通信も含め国が無償配備とあり、地域間格差を国の主導で解消すると記事が出ていた。
一方、自治体が半額負担との内容が出ており、どのような内容になっていくのかは、詳しくつかめてはいない。
ただ、文科省は6月28日に学校教育の情報化の推進に関する法律を公布・施行しており、これを自治体が深く受け止めていないという実態があったり、地財措置をしているが、3人に1台配備という目標に比べ、5・4人に1台にとどまっていたりと、自治体任せでは地域間格差の解消には至らない現状がある。
中教審の特別部会の委員からは「ICTの環境整備は、国が一斉にやらないと世界からどんどん遅れる」との意見が出ているとのことである。方向性としては、国が主導してICT環境を整備していくとのことで前進していくと思われるので、今後は教員のスキルが求められてくる。
校長として、授業にタブレットを日常的に活用できる教員を育成することを、一つの目標に取り組む必要が出てくる。
▼給特法の改正
給特法の改正は12月4日の参議院で成立した。1年間の変形労働時間制ができるようになり、来年度、各自治体が条例改正をするのかどうかという段階になる。
1年間の変形労働時間制は令和3年度から適用される。また、業務量の適切な管理等に関する指針の策定は2年度からになる。大切なのは、衆議院・参議院ともに附帯決議がなされている。
その中で、学校に関係するのは「服務監督者である教育委員会・校長は、ICT等を活用し客観的に在校等時間を把握するとともに、勤務時間の記録が公務災害認定の重要な資料となることから、公文書としてその管理・保存に万全を期すこと」とある。
校長は、勤務時間の記録を公文書として、徹底した管理が求められ、保存できていない場合には不作為責任が問われる可能性も出てくる。
また、「服務監督者である教育委員会・校長は、教育職員の健康・福祉を確保する観点から、学校規模にかかわらず、労働安全衛生法によるストレスチェックの完全実施に努めるとともに、優先すべき教育活動を見定めた上で、適正な業務量の設定と校務分掌の分担等を実施することによって、教育職員の在校時間の縮減に取り組むこと」とある。
ここに書かれているように、業務量によって校務分掌を決めるとなれば、今まで能力も加味していた決め方がどうなっていくのか心配な点である。
▼PISA調査
高校1年生が対象であるが、今回読解力が下がったということで話題になっている。
この調査は今回から、パソコンを使った調査となった。下がった原因の一つは、パソコンに慣れていなかったということがあるのではと言われている。
また、この点で、世界の標準から日本はかなり遅れていると指摘された。学校の授業でのデジタル機器の利用時間が最下位となっている。
また、この調査対象の高校1年生は、現学習指導要領で小学校時代を育った子どもたちである。読解力の下がったもう一つの原因は、小学校教育において、伝え合い重視によって読解にかける時間が少なかったのではないか。
また、国語以外でも言葉にこだわる指導が減っていたのではないか、教科書を正確に読む機会が減ってきたのではないかと考えられる。
▼全連小・小学校教育の充実・改善に関する要望書
「小学校教育の質を維持し、わが国の将来を担う子どもたちの教育を推進するためには、教員定数の改善は不可欠」と訴え、人的・物的措置の一層の充実と教育諸条件の整備に向けて10項目について要望している。
この要望書は、12日午後、全連小役員とともに、私もブロック代表の常任理事として、衆議院議員会館および参議院議員会に届けてきた。
▼学校の教育環境整備にかかる地方財政措置
道教委の同通知が、市町村教委に発出されている。各市町村の教育環境整備にかかわる基準財政需要額の一覧表がある。この額は、地方交付税30%分を含んだ額となる。
首長部局に対する予算要求の資料として、積極的に活用すること、校長会と連携を図ることが記述されている。
文科省の平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査では、市町村別の教育用パソコン、無線LANの整備率が分かる。補正予算で、国主導で整備がなされる方向であるが、首長の考えが大きく影響してくる。
特に、北海道全体で深刻な状況は、統合型校務支援システムの整備状況である。札幌市のように100%の市町村とゼロの市町村に大きく分かれている。道の平均整備率は52・6%で、全国平均値の57・2%を下回っている。通知表を指導要録へ流し込んだりと、長時間勤務を縮減する上で、大切なアイテムの一つである。このような通知やデータを、予算要求の根拠として使っていただきたい。
▼全連小北海道大会
札幌開催の方向でお願いしていたが、先日の札幌市小学校長会の理事研修会において、佐藤会長から全連小の一員として札幌市が受けていきたいと提案があり、承認された。力添えいただいた札幌市小学校長会の皆さんに感謝申し上げる。
(関係団体 2019-12-19付)
その他の記事( 関係団体)
ゆきとどいた教育すすめる道連絡会 条件整備求め運動強化 署名集約集会で取組確認
ゆきとどいた教育をすすめる北海道連絡会は14日、札幌市内の道高校教職員センターで「教育全国署名」北海道集約集会を開いた。この日までに集めた4万838筆の署名をさらに上積みして来年、道議会に...(2019-12-25) 全て読む
ウポポイの整備状況初公開 来年4月開業へ着々と 博物館、体験交流ホールなど
【室蘭発】北海道開発局は19日、白老町で来年4月開業予定の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」の整備状況および開業準備状況を公開した。国立アイヌ民族博物館と体験交流ホールの内部を初めて公開。開...(2019-12-25) 全て読む
道中 教育課程の調査研究報告〈下〉 9年間連続の学び意識 CS導入で意識改革期待
道中学校長会(新沼潔会長)の令和元年度教育課程に関する調査研究報告書における、小中連携・小中一貫教育とコミュニティ・スクールの2点に関する現状と課題はつぎのとおり。 ◆小中連携・一貫教育...(2019-12-20) 全て読む
札特活が研究大会 共通点や違い問いかけ 中央小授業 合意形成図る
札幌市特別活動研究会(=札特活、小村淳会長)は13日、市立中央小学校(林貞年校長)で令和元年度研究大会を開いた。約30人が参加。公開授業や研究討議を通して特別活動の在り方について研究を深め...(2019-12-20) 全て読む
道中 教育課程の調査研究報告〈上〉
道中学校長会(新沼潔会長)の令和元年度『教育課程に関する調査研究報告書』(11月14日付1面既報)では、学習指導要領の実施に関する道内中学校の取組状況を調査。今回、教育課程、特別支援教育、...(2019-12-19) 全て読む
家庭教育支援チーム表彰 本道から釧路市の団体 来年2月18日に表彰式 文科省
文部科学省は、文部科学大臣表彰「家庭教育支援チームの活動」の被表彰活動を決定した。家庭教育支援チームの活動のうち、活動内容が他の活動と比較して顕著に優れ、地域全体への普及効果が高いと認めら...(2019-12-19) 全て読む
道教組・道高教組緊急シンポ 自分事ととらえ主張を 変形労働時間制の問題点
道教組(川村安浩執行委員長)と道高教組(尾張聡中央執行委員長)は14日、札幌市内の道高校教職員センターで緊急シンポジウム「1年単位の変形労働時間制の問題点を考える」を開いた。神奈川過労死等...(2019-12-18) 全て読む
オホーツク教委協が教育委員大会 ICTで魅力ある学校 業務改善の重要性学ぶ 新保氏講演
【網走発】オホーツク管内教育委員会協議会(河原英男会長)は9日、網走セントラルホテルで令和元年度管内市町村教育委員大会を開いた。管内18市町村教委の教育長や委員など約80人が参加。特定非営...(2019-12-18) 全て読む
札幌市学校保健会が研究大会 健康に過ごす方策発表 教職員など約80人参加
札幌市学校保健会(松家治道会長)は7日、ホテルライフォート札幌で第35回研究大会を開いた。幼稚園や小・中学校、高校の教職員、学校保健関係者など約80人が参加。児童生徒が健康に過ごすための方...(2019-12-18) 全て読む
十勝建設産業を考える会が説明会 建設産業への理解深め 帯広工業高生徒40人が参加
【帯広発】帯広工業高校(稲津誠校長)で12日、十勝建設産業の未来を考える会主催の建設産業の仕事・役割に関する説明会が開かれた。環境土木科2年生40人が参加。施工業者、建設コンサルタント、発...(2019-12-18) 全て読む