道中 教育課程の調査研究報告〈下〉 9年間連続の学び意識 CS導入で意識改革期待(関係団体 2019-12-20付)
道中学校長会(新沼潔会長)の令和元年度教育課程に関する調査研究報告書における、小中連携・小中一貫教育とコミュニティ・スクールの2点に関する現状と課題はつぎのとおり。
◆小中連携・一貫教育
▼小中連携、小中一貫教育の実施状況
昨今、小中連携から小中一貫した教育への転換がうたわれており、義務教育学校の設置も増えてきている。これらは、義務教育9年間を通じて育成を目指す資質・能力を明確にし、その後の学びへ円滑につないでいくことを目指しているものである。今後は、約7割の連携を実施している学校が、小中の接続に視点を当てるだけでなく、9年間の連続した学びを意識していくことが大切である。
▼小中連携、小中一貫教育を進めるねらい(複数回答)
連携や一貫を進めていくと、学習指導や生活指導上の効果が表れていくことはすでに全国各地で実証されている。そこから、一貫性のある子どもの理解や教育活動につながり、個に応じた指導が推進され、ひいては、教職員の指導力の向上にもつながっていくことが期待されている。道内の各学校でも、同様のことを期待されていることがうかがえる。
▼小中連携、小中一貫教育の効果(複数回答)
教育的効果については、まずは「生徒理解」について実感している学校が多い。次いで、「きめ細かな指導」「教職員の意識の高まり」「生徒指導上の諸問題の減少」と続いている。これらは、小中連携、小中一貫教育を進めるねらいの期待されている順に似た部分があり、期待どおりに効果が表れていることがうかがえる。
今後は、これらの実感がさらに上昇していくことを期待したい。また、小中連携、小中一貫教育を進めるねらいの学習指導上の成果については、指導者の生徒理解やきめ細かな指導が全国学力・学習状況調査の正答率だけでなく、広い意味での学習の理解につながっていくことも期待されるだろう。
▼小中連携、小中一貫教育の課題(複数回答)
課題は山積しており、「打ち合わせ時間の確保」が突出している。ただし、時間が確保できれば一気に解決するものではないことは、「担当教諭の育成」「指導の一貫性」「推進組織づくり」が課題に挙げられていることからもうかがえる。
このことが、継続的な交流への課題に結び付いているのではないだろうか。今後の推移を見ていきたい。
◆CSに関して
▼平成30年4月1日現在での導入状況
道内全体で「導入」が3割強、「導入していない」が7割弱といった状態である。しかし、地域ごとにみると、札幌市、小樽市、帯広市では実施率ゼロだった。
このほか、旭川市が3・7%、後志地区が8・3%、オホーツク地区が19%、釧路市が20%と低い実施率となっている。実施率が高かった地区は、函館市の95%、渡島地区の84%、留萌地区の70%となっており、上川地区、胆振地区、日高地区も50%を超えている。
▼導入における成果(複数回答)
「地域との情報交流」や「組織的な地域連携」について成果を実感している学校が多い。同様に、「地域が協力的になった」「効果的な学校関係者評価」という項目への成果にも40%前後の回答が挙がっている。
今後CSの導入が進んでいくと、「地域との協力」「特色ある学校づくり」「継続的な学校運営」「教職員の意識改革や組織力の向上」といったことに成果が表れてくることが期待される。
▼導入における課題(複数回答)
「業務負担の増加」を挙げている学校が半数近くある。これは新たな業務が加わったということや、そこにかける時間確保の難しさが課題であると思われるが、運営協議会のもち方や在り方も大きな課題と言えるだろう。
「運営協議会の成果が不明瞭」という回答が37%あり、記述内容も、「何をしたらいいのか」「目的を明確にしないと苦情や要望の場になりかねない」といった声が寄せられている。
働き方改革の流れの中で、いかに教職員の負担増にならずに進めていけるかが今後の大きな課題だろう。
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(関係団体 2019-12-20付)
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