遠隔授業の機能集中化拠点 複数高校へ同時配信 3月までに方向性固め体制整備 道教委
(道・道教委 2020-01-01付)

道における遠隔教育の将来構想
遠隔教育の将来構想(クリックすると拡大表示されます)

 道教委は、遠隔授業の配信機能を集中化した拠点の設置に向けた準備を進めている。従来の2校間での遠隔授業から、道内の複数の高校へ遠隔授業を同時配信するもの。専門性の高い授業や芸術の選択授業などの教科・科目を開設する計画で、子どもたちが住み慣れた地域で学び、進路希望を叶えることができる教育環境を整備する。3月末までに、拠点や配信形態など今後の方向性を決定し、早期の体制の整備に取り組んでいく方針だ。

 新学習指導要領では、初めて「情報活用能力」を学習の基盤となる資質・能力と位置付け、必要となる学校のICT環境整備と、ICTを活用した学習活動の充実を明記した。

 文部科学省は2年度から3ヵ年で全小・中・高・特別支援等における校内LANや1人1台のパソコン端末を整備する「GIGAスクール構想」を計画。無線LANについては2年度、全小・中学校の8割、全高校での整備を目指している。

 大学や研究機関などで運用されている高速の情報通信ネットワーク「SINET(サイネット)」を4年度までに小・中学校、高校に開放する予定だ。

 配信校と受信校の間で遠隔システム(映像や音声を双方向でライブ通信するシステム)を利用して行う遠隔授業は、高校においては平成27年度から国公立の全日制・定時制課程での正規の授業として制度化。昨年12月、病気療養中の生徒の病室に授業を配信する場合における教員配置の要件が緩和されるなど、実践活動は広がりつつある。

 本道は都市部を除き、地方には望ましい規模を下回る高校が多数存在。教員数などの制約などによって生徒の興味・関心や大学進学などの進路希望に対応した教科・科目を開設することが困難な学校もあり、大学進学を目指すため、都市部に進学する中学校卒業者が多い現状がある。

 こうした課題に対し、道教委は20年度から国の委託を受け、全国に先駆けて遠隔授業を実践。数学、英語、政治・経済など多教科にわたり、授業時数を緩和した単位認定の在り方や指導方法の研究を進めている。

 道教委の佐藤嘉大教育長は、昨年7月の第1回道総合教育会議で本道における遠隔授業の将来構想を提唱。配信機能を集中化した拠点を設置し、小規模校などに遠隔授業を同時配信する計画を示した。

 生徒の興味・関心や進路などに対応した教科・科目として、①国語・数学・外国語における習熟度別授業②地歴・公民・理科における専門性の高い授業③芸術の選択授業(音楽・美術・書道)―の開設を想定。

 継続的・計画的に授業を同時配信し、多様な教科・科目の学びを提供。生徒たちが住み慣れた地域で学び、進路希望を叶えられる高校教育の実現を目指す。

 対象高校は、地域連携特例校、配信を希望する他の小規模校、日高・檜山・宗谷・根室管内の中心校などを想定している。

 構想実現に向けて道教委は、外部有識者からの意見を聞いて検討。3月末をめどに、授業を配信する機能を集中化した拠点の設置、配信形態や教育内容に関する方向性を固める。

(道・道教委 2020-01-01付)

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