リポート 岩見沢東高と道医療大が連携 生徒自らストレス分析 対処法まとめ『岩東メソッド集』(学校 2020-03-03付)
【岩見沢発】岩見沢東高校(若林利行校長)で、生徒自らが日常生活のストレス要因を分析し、解決への行動を模索する試みを行っている。道医療大学心理科学部の冨家直明教授の協力のもと、「学業成績」「自己肯定感」など8分野53項目でストレス要因を分析し対処法を整理。3月には『岩東メソッド集』としてまとめる。冨家教授は「高校生の視点を学校改善にもち込んでおり、旧来の生徒指導の方法論を見つめ直す契機」と話している。
進学校である同校では「中学生時にトップクラスの成績だったが、入学後のテストで成績が下がり、ショックを受けた」などの悩みを抱え、不登校となるケースもある。若林校長は着任した平成29年度、生徒の精神面での脆弱性を課題とし、道医療大の協力のもと、生徒が抱えるストレスに関する共同研究を開始した。
冨家教授は、校内研修で生徒に行うべき支援策などを教職員に助言し、ストレスへの対処方法に関する講演を実施。これらの取組によって、教職員の生徒を見る目や対処法が変わってきたという。
本年度は新たな取組として、同大ゼミ生と有志生徒による「GTMC」(GANTOU Method Conference)を設立。メンタルヘルスなどに興味をもつ1年生4人、2年生5人が研究員として参加している。
昨年10月、GTMCは「試験勉強と結果が結び付かない」「欲しいものがあるが、お金がなくて買えない」「登下校時間とバス・電車の時刻表が合っていない」など、生徒が抱えるストレス要因を洗い出し、KJ法(グループ化した上で論理的に整序して問題解決の道筋を明らかにする手法)で対処法を整理。
様々なストレスの要因を①学業成績②自己肯定感③経済的理由④学習環境⑤部活動⑥通学環境⑦進路選択⑧人間関係―の8つに分類し、53の質問項目からなる独自の心理検査方法を作成した。
12月には、各項目のストレス要因への対処方法を考案。①では「隙間時間の使い方を考え直す」、②では「友達の良いところを褒めて、相手にも自分を褒めてもらう」、③では「節約の工夫を楽しむ」など、研究員一人ひとりが意見を書き出した。
3月末までに、これら解決への行動(ストレス・コーピング)をまとめた『岩東メソッド集』を作成する予定。
冨家教授は、大学の研究段階でも進学校のストレス要因の研究が進まない中、生徒主体で初めて科学的な分析を行っているとし、「高校生の視点を学校改善にもち込んでおり、旧来の生徒指導の方法論を見つめ直す契機となる」と評価。また、高校生の主体的な探究活動の成果を学会で発表することで、AO入試や推薦入試の得点にもつながるとみている。「意欲的に取り組んだ高校生の進路決定にも材料を与えるはず。発表が今後の教育政策に反映できれば素晴らしい」と話している。
若林校長は「強い心をもった生徒が将来、リーダーになり、指導する立場となってほしい。そうなったとき、学んだことが力になると思う」と期待。
空知教育局の竹林亨局長は、同校の取組は珍しいとし「道医療大と連携し、今後も生徒のために取組を推進してほしい」と話している。
(学校 2020-03-03付)
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