教職員の協力を高める学校づくり〈No.38〉 見守り環境整え勇気づけ 不登校 後期の状況と対応(教職員の協力を高める学校づくり 2020-03-13付)
不登校の要因やきっかけは様々ですが、初期から中期、後期(回復)まで同じような経過をたどります。今回は、前回に引き続き不登校の後期(回復)の様子と主な対応、さらに留意すべき内容を記述します(「続 上手な登校刺激の与え方」小澤美代子著の分類を一部改変)。
▼後期(試行・回復)
後期は否定したりせず、信頼して回復を見守ることを目的として対応します。
▽後期にみられる様子
①「~をやってみよう」など前向きな発言が聞かれる
②「私は○○についてこう思う」という自分の考え方を述べるようになる
③自分から勉強し、学校からの教科のプリント問題に取り組もうとする
④別室登校など学校へ足が向くようなる
⑤不登校の自分を振り返ることができる
▽主な対応
①本人がやることを安心して見守るようにする
②学級の様子や学習の状況、これからの学校行事などを具体的に説明する
③再登校に向け、本人の希望を理解し復帰しやすい環境づくりを行う
④保護者を含め不登校の振り返りを聞き、自分に自信がもてるよう勇気づける
不登校の後期では、「あしたから学校に行く」など前向きな発言をしますが、実際には行けないことが多くみられます。教師や保護者は本人の言葉を期待するあまり、「どうして来なかったの」と聞いてしまい、結果的に再登校を遅らせてしまいます。本人が学校に行くと言っても、「無理しなくていいよ、来るなら1時間位でいいよ」と値踏みをします。
研修会では「保健室に来ても、一向に教室に入ろうとしない」など保健室登校の是非が話題となります。子どもと登校の仕方を話し合い、活動的な子は自分をみつめじっくり課題に取り組ませるため個室登校、対人関係に課題のある子は、対人に慣れるため保健室登校が望ましいと思います。
個室登校では、担任が中心に対応しますが、本人の了解を得るならば、他の先生に対応してもらい可能な範囲で他の先生の協力を得るようにします。
対応の内容は学習指導を中心に本人の話を傾聴し、励ましを送るようにします。
保健室には様々な子どもが出入りします。対人関係に課題にある子どもは、他の子どもの声を聞いただけで緊張し登校が苦痛になる場合があります。
このような状況がみられたら個室登校へ変えるようにします。
また、再登校の際は帰り際に「あした来れるかな、無理することなく自分のペースでいいんだよ」と告げ安心感をもたせてください。
さらに、学級の友人に「○○君が登校できましたので、会いに行って下さい」と話した結果、翌日から学校に来られなくなる場合もあります。学校での活動は本人の了解を得ること、口では了解しても顔の様子などで対応を判断します。
「教職員の協力を高める学校づくり」でこれまで掲載した不登校の6つのタイプと段階的状況と対応によって、不登校を見立てながらかかわりをもつようにします。
次回は、登校刺激について記載します。
(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)
引用・参考文献
「続 上手な登校刺激の与え方」 小澤美代子著 2006 本の森出版
「傷つきへの心理的援助」 前川あさ美著 2004 ぎょうせい
「子どもの認知行動療法」 児童心理増刊 2010 金子書房
(教職員の協力を高める学校づくり 2020-03-13付)
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