教職員の協力を高める学校づくり〈No.40〉 目標区切り段階的に 登校刺激の進め方(教職員の協力を高める学校づくり 2020-04-20付)
今回は、登校刺激の進め方を説明します。
登校刺激を与えなければ不登校は改善しません。しかし、与える内容と時期が本人に見合うかどうかが再登校のきっかけになる反面、かえって不登校を長引かせてしまうことがあります。
登校刺激はつぎの3つによって進めます。
(1)スモールステップで登校刺激を与える
登校刺激は目標を区切り段階的に与えます。
不登校の初期(混乱期)の段階で担任に会うことができても、次回会うのを拒むことがあります。再登校した児童生徒に聞いてみると、「嫌だったけれど先生に悪いので会った」「親が先生に会うように言うので会った」と答えました。
最初の家庭訪問で会え、意外と明るいので登校するよう話しましたとよく聞きますが、本人にとってはそっとしてほしい時期かもしれません。
また、会うなりすぐさま「テストが近いので」「行事があるので」「ほかの人も心配している」と話す先生がいます。分かっているけれど学校に足が向かない自分にイライラを募らせ、気持ちが不安定になるときもあります。寝床から出ない、暴言があるなど不安定な情報がある場合は、保護者との連絡にとどめるようにします。
安定の兆しがみえた段階で、玄関先で保護者にプリント類を渡し短時間に本人の近況を尋ねる。つぎは、茶の間で保護者と話をする。さらに、本人が望む場所で会う(保護者の許可を得てもいきなり部屋に入ることは、自分の居場所に侵入されたと感じ、以降、拒否的な態度を取ることがあります。どこで何分くらい会えるのか、本人に尋ね了承を得てください)。
本人に会えたら、「先生は君の味方だよ」「先生が君にできることは何でも言ってね」など、大切に思っているというメッセージを伝えます。
つぎの段階の登校刺激例は、自分で翌日の時間割を調べる。学校に行く服装を整える。玄関から数歩出てみる。家の周りを歩いてみる。校門まで来て先生とハイタッチと、スモールステップで目標を細分化し段階的に対応しますが、あくまでも登校刺激は本人の反応を重視し個別対応が原則です。
(2)反応を大切に見取る
本人への働きかけが有効であるかどうかは、その反応によって判断します。
「学校でこんな活動するよ」と説明したとき、「そうなの」と明るく反応すれば、「グループ分けが必要だけれど、グループのメンバーに入れておくね。どうする」と話します(参加するよう説得するのではなく、本人の意思を確かめるようにします)。
参加すると言っても実際には参加できないときがあります。その場合は「いいよ、いいよ、無理しなくても大丈夫だよ」とフォローします。
しかし、困惑し暗い表情になったときは「その話はやめようね」と切り上げると、不安や混乱を最小限にできます。また、反応によって今どのような状況にあるかを理解し、スモールステッププランの見直しに役立てるようにします。
(3)登校刺激の効果を把握する
担任が帰ったあと、保護者からみて意欲的な様子がみられるのであれば、登校刺激は本人に受け入れられたと言えます。しかし、その場で期待できる反応をしても担任の先生が帰ったあと、「本当は嫌だった」「友達に会いたくない」と言ったり、言葉を荒げ不機嫌になったり自室に引きこもることもあります。
翌日、保護者に電話し様子を聞いてください。登校刺激が強すぎた場合は、保護者と連絡を取り合い、数日間様子をみるようにしますが、2週間も3週間も接しないのは望ましくありません。
(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)
引用・参考文献
「上手な登校刺激の与え方」 小澤美代子著 2003 ほんの森出版
(教職員の協力を高める学校づくり 2020-04-20付)
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