教職員の協力を高める学校づくり〈No.41〉 共感し受け止める 場面ごとの不登校対応(教職員の協力を高める学校づくり 2020-04-27付)
今回と次回は、状況別の不登校対応を説明します。
(1)急に学校を欠席しはじめた場合
学習成績もよく、学級役員を自ら引き受けるなど物事に前向きな児童生徒が、突然学校に足が向かず不登校になる場合があります。35回、36回で説明した急性型の不登校ですが、何かきっかけがあると理解します。
家庭に起因した急性型は家族間のトラブルや死別、リストラなど児童生徒だけでは解決できない問題がみられ、一方的に再登校を促し「頑張れ」「大丈夫だよ」では心の傷は癒やされません。児童生徒の辛さを「そんな気持ちだったんだ」「その中でよく頑張っていたね」など相談内容の事実にコメントするのではなく、共感し丁寧に受け止めるようにします。
学校生活に起因した急性型は友人関係のトラブル、定期テストの結果、部活動、学校行事での出来事などが考えられます。特に、友人から無視をされたり、学級の仲間から疎外されたりして登校できなくなる事例がみられます。
対応のため、情報収集をしますが、まずは児童生徒ではなく、教科担当や養護教諭、部活動の顧問から情報を得ます。本人に会うことができたのなら、学校に来なくなったきっかけ、辛かったこと、これからどうしてほしいかを可能な範囲で聴くようにします。
しかし、人に知られたくないことがあったり、プライドが許さず口をつぐんでしまったりする児童生徒もいます。無理に聞き出そうとはせず、「心配しているよ」「いつでも相談にのるよ」などと伝えます。
きっかけが理解できれば、必要な対応を図らなければなりません。特に友人関係の問題は、相手の児童生徒の非を一方的に決めつけ「謝らせる」のではなく、口を挟まず言い分を聞くようにし、不登校となった児童生徒や相手の気持ちに相互に寄り添い、伝えるようにします。
不安や混乱が強い場合は間を置き安定するのを待ちますが、自分の気持ちを冷静に話せるようになると、別室登校など段階的に進めます。また、本人の様子を間近に見ている保護者に安心感を与えるため、きっかけと対応の見通しを伝え理解を得るようにします。
(2)休みがちな児童生徒が不登校になった場合
休みがちな児童生徒が不登校に陥る場合は慢性型に分類でき、どのような時期から、どのような理由で休みが多くなってきたかを把握します。学力が振るわず友人も限られ、学級での存在感が満たされず、学校に登校する意味そのものを見いだせなく不登校になる場合があります。対応の基本は積極的にコミュニケーションを図りながら登校を促し、教職員や周りの児童生徒の協力を得て人間関係の輪を広げられるようにします。
家庭に起因する慢性型には、保護者の教育力に課題があり、経済的に困窮している要因がみられます。保護者の願いを丁寧に聞き取り、本人や保護者にできることをお願いし、連絡を取り合うようにします。ゲームやテレビを見て毎日を過ごしているようであれば、時差登校、別室登校、放課後学習など選択肢を提示し、迎えに行くなど登校刺激を試みても大きな抵抗は生じません。また、パソコンやゲームで過している児童生徒に、パソコンクラブへの入部を勧め放課後登校から次第に登校する楽しさを取り戻し、再登校に至った事例もあります。
(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)
引用・参考文献
「上手な登校刺激の与え方」 小澤美代子著 2003 ほんの森出版
(教職員の協力を高める学校づくり 2020-04-27付)
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