教職員の協力を高める学校づくり〈No.46〉 子の側に立つ同調行動を そして子どもたちはきずつく2
(教職員の協力を高める学校づくり 2020-07-29付)

そして子どもたちはきずつく(2)図
【結果ばかりに目を向けない】人の行動図

【職場の同調行動】

 同調行動とは、職場や個人の期待に沿って同じような行動を取ることを言います。

 同調行動が子どもたちの側に立った職場であれば、どの教師も同じように適切な対応を図ろうとします。しかし、声高で高圧的な指導を盲信している教師へ、他の教師が同調行動を取り始めると、その指導に疑問を感じつつも、その集団でしか通用しない暗黙のルールが形成され、学校全体が同様の指導をよしとする風潮が芽生えます。その結果、行きすぎた指導を黙認し横行するようになります。

 そのような職場では、夢と志をもって教職の道を歩み始めた新任の教師にとって、大きな抵抗と違和感をもたざるを得ません。また、経験年数が少ない教師へ「指導が甘い」「厳しさが足りない」「経験が少ないので、言われたとおりに指導すべきだ」などの同調圧力(無理に自分の行動や考えを合わせる)によって、保身のため、強権的な指導を取らざるを得なくなり、指導観に混乱を来たしメンタルを損なう場合もあります。

 子どもの側に立った指導法の伝承は、先輩教師の役割です。どう対応するのが子どもたちにとって望ましいのか、その根拠を感情論や経験知ではなく、理論的に納得できる先輩教師であることを願っています。

【結果ばかりに目を向けない】

 「子どもが問題行動を起こした」「授業中の態度がよくない」「教師の指導を聞こうとしない」などの結果に教師は叱責、説諭します。結果に対する対応、対処は必要です。しかし、なぜ、そのような行動を取るに至ったのか。なぜ、そのような態度を取るのか。要因を理解しなければ適切な指導はできません。人の行動は図にあるように、ある刺激を受けたことによって、ある行動を取り、それが結果となって現れます。

 生徒指導困難校の事例ですが、その学校は結果に対する叱責が繰り返され、厳しく指導した一時は改善できたようにみえても、時間の経過とともに問題行動が再発し、教師間では予期したように「そろそろ締めないと…」と言葉が飛び交っていました。さらに「地域性に課題がある」「家庭に問題がある」と嘆いていました。しかし、地域に問題がある、家庭に問題があるといくら言い放っても心配な結果の解消には結び付きません。

 なぜ、子どもたちはそのような結果をもたらすのか考えてみると、学力が低迷し学校に居場所がない、学級や教師から認められていないなど、様々な負の刺激を受け続けているからであり、そのような子どもたちに、自尊感情を低下させるような刺激(指導)を加えると、よけい不適切な行動を取り残念な結果を繰り返すことになります。

 子どもたちへのかかわりは理解を前提に、欲している適切な刺激を与えることが必要です。また、結果で対処、対応するだけではなく、その前提となる子どもたちの背景を知った上で、「そうしなければならない状況にある」と理解できると、子どもたちの心を大切にするかかわりに変えることができます。

 職場全体でこのような同調行動を取れるならば、急激には変化はしないものの、なだらかに子どもたちの心配な結果は改善します。

(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)

(教職員の協力を高める学校づくり 2020-07-29付)

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