教職員の協力を高める学校づくり〈No.48〉 満足度高める授業の工夫を そして子どもたちはきずつく 4(教職員の協力を高める学校づくり 2020-08-26付)
【生徒指導の機能とは】
研修会の折、授業と生徒指導は別問題であると発言した先生がいました。
別問題とする考えをお話しくださいと問うと、生徒指導とは問題行動に対応することであり、授業は学習する場である。あえて言うならば授業中、集中していない子どもを注意するのが生徒指導と答えてくれました。
本コラムにて生徒指導の概念について何度かふれましたが、授業、学校行事、部活動、子どもたちの休み時間など、学校の活動すべてにわたって発揮されるべきなのが生徒指導です。
生徒指導とは本来、すべての児童生徒の人格のよりよき発達を目指し、学校生活がすべての児童生徒にとって有意義で興味深く、充実したものになることを目指しています。
また、そのとき、その場で、自分で考え決め、他人のためにもなり、自分のためにもなる行動を取ることができる自己指導力の育成を目指すため、①児童生徒に自己決定の場を与える②児童生徒一人ひとりに自己存在感を与える③人間的ふれあい(共感)の場を与える―の3つを生徒指導の機能と言います(平成22年文部科学省生徒指導提要)。
このように、生徒指導とは問題行動への対応、対処ばかりではありません。
特に、授業は学校生活の7割を占めています。端的に説明すれば授業中、教師と子どもたち、子どもたち同士の人間的なふれあいの中で、互いに考えを述べ合い、認められる場が保障されていることが、生徒指導の機能が発揮されている授業と言えます。
子どもたちの心配な行動の根本には勉強が理解できない、自分の存在が認められていないなどに端を発することが多くみられます。子どもたちの理解、不理解にかかわらず一方的に授業を進める、成績優位者を中心に授業を進め、そうではない子どもたちは蚊帳の外では、生徒指導の本来の意味を発揮している授業と言えるでしょうか。
研修会のたびに話していることの一つに、何を教えるかは当然大切ですが、どう進めるのかを教材研究の段階で検討し授業に臨んでくださいと説明しています。学習のねらいや進め方を子どもたちが理解しやすいようにするため、どのような伝え方(言い方)がいいのかなどを事前検討し、図で示した学習満足度を高める授業の進め方の工夫が必要です。
そうは言っても授業中、問題ができたのかと聞いても返答がない、そもそもやる気がないなどと聞かされますが、だからどうにもならないと考えるのではなく、この状況をどう改善していくことが望ましいのだろうかを検討する機会が、教材研究であり研修の機会です。
(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2020-08-26付)
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