教職員の協力を高める学校づくり〈No.47〉 認め合う機会と場構築 そして子どもたちはきずつく 3(教職員の協力を高める学校づくり 2020-08-12付)
【エピソードで考える学校づくり】
ある中学校のエピソードを紹介します。
その学校は、校舎内外に子どもたちが捨てたごみが日常的に散乱していました。当然、ごみの散乱だけではなく授業中も落ち着きに欠け、様々な問題行動がみられました。
当初、学校として生徒会の保健委員会にローテーションでごみ拾いの役割を充てますが、理由をつけ参加する子どもたちも少なくなり、活動も休止状態となりました。
職員会議では、授業が成立しない窮状、現状の改善をそれぞれが訴えますが、一向に解決策にたどり着きません。着任早々の教師は、その都度、授業中の態度を指摘し指導しますが、子どもたちからの非難を浴び続けた結果、黙認し学習内容を理解しようがしまいが淡々と授業を進めざるを得ませんでした。
(後日談)そのような中、年配の教師が一人、朝と放課後、毎日手袋をし火ばさみとごみ袋を持ってごみ拾いを繰り返しました。その教師は「職員会議を何時間続けても、何も変わらない。そうであれば、自分ができることをしようと思っていた」と行動に移しました。
ごみ拾いの当初は、校舎から奇声を上げながらごみを投げつけられることもあり、ほかの教師からも「先生、一人で格好つけないでください。どうせ本校の子どもたちは無理ですよ」との言葉を浴びせられたそうです。
それでもごみ拾いを続けた1ヵ月後、部活動を終えた一部の子どもたちが手伝うようになり、活動の一貫として参加する部も現れてきました。やがて冷ややかな態度や忙しいことを理由に見向きもしなかった教師も、ごみ拾いの様子に感化され次第に加わり、半年後、ごみの投げ捨てはほぼ見られなくなりました。
【職員室の協同】
上記のエピソード例で、もしも当初から教職員全員でごみ拾いができる学校であれば、どのような結果をもたらすことができたのでしょうか。お分かりになると思います。
状況に見合う教育方法は多様にありますが、ねらいは子どもたちのためです。行動しなければ現状は何も変わりません。
職員会議はどう行動するかを連絡・調整・確認する場ですが、集団の中で自分の存在を際立たせる極端な意見が飛び交い決まるものも決まらない。場合によっては正論が押し切られる。このような子ども不在ともいえる学校を目にしました。
人の自信や満足は、人から承認を受けることで高まります。そのような職場は、日常より互いの承認欲求(他者から認められたい、自分を価値ある存在と認められたい尊敬、自尊の感情)が満たされていないように感じます。
改善策として、互いを認め合う機会と場を構成することが必要ですと説明しています。
しかし、もっと大きな問題は、内集団バイアス(仲間か仲間でないかを判断し、仲間に好意的で過大評価をする反面、以外の人には警戒心を抱く心理)によって、教師間の人間関係がいびつになり、子どもたちに望ましくない影響を与えることです。
皆さんの学校は、「連絡・報告・相談」がしやすい職場の関係性が築かれているでしょうか。子どもたちに起因する問題行動の二次的、三次的問題は教師間や教師と保護者間に起因する問題が多くみられます。
(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2020-08-12付)
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