道教委・英語力向上事業指定校の実践 地元在住外国人招く 本別高 地域の魅力・課題考える 困り感把握へ調査など
(学校 2020-03-31付)

 【帯広発】本別高校(近藤浩文校長)は本年度、道教委の道高校英語力向上事業のタイプIの指定校として学習プログラムの開発研究を進めた。1年生特別単元「地域在住外国人と地域の魅力や課題を考える」を設定して英語の授業を展開。地域在住の外国人実習生を招いて地域への困り感を把握するインタビュー調査や、JICA研修生に向けた課題解決のプレゼンテーションやディスカッションなどを行った。

 事業は、平成29年度から3ヵ年計画で実施しているもの。

 学科の特性などに応じて英語の活用場面を想定した3タイプの学習プログラムを開発し、道立高校、中等教育学校の英語授業における改善・充実や生徒の英語力向上を図ることが目的。タイプIでは外国人旅行者に対応する場面を想定し、外国人と英語で交流することによって英語力向上を目指している。

◆即興性を取り入れ十勝の魅力発表

 事業にかかわって昨年10月中旬、1年生特別単元「地域在住外国人と地域の魅力や課題を考える」の一環で、JICA研修員へのプレゼンテーションとディスカッションに向けた授業を実施。久松大樹教諭が指導に当たった。

 生徒たちは事前に外国人技能実習生にインタビューし、日本在住者の困り感や十勝ならではの魅力などを認識し、プレゼンテーションを作成してきた。

 16時間扱いの12時間目に当たる本時では、外国人とのディスカッションに向けて、即興性を取り入れたコミュニケーション能力を高める授業を展開し、交流学習への意欲を高めた。

 久松教諭は、デモンストレーションのあと、発表練習とディスカッションのシミュレーションを実施。生徒たちに「目線を聞く人に向ける」など、プレゼンテーションの方法のヒントを与え「聞いてくれてありがとうございました」「質問ありがとうございます」などと発表で使える英語の定型表現を伝えた。

 生徒たちはグループに分かれ、B級グルメや冬のスポーツなど、自分たちの感じる十勝の魅力を英語で発表。「価格はいくらか」「冬の十勝の気温は何度くらいか」などの質問に対して、身振り手ぶりなどを加え答えた。

 授業後の研究協議では、「冒頭のデモンストレーションによって発表の形が伝わっていた」「スモールステップで発表に向かう授業となっていた」などの意見が挙がった。

 昨年11月中旬、生徒たちは同校に招いたJICA研修員に対して、十勝の魅力について発表した。1年生36人が参加。生徒たちは研修員に対して、地域の課題や魅力を発表・交流した。

 生徒たちは、アフリカや中南米、東南アジアから来日したJICA研修員約10人と交流学習を行った。

 4人程度の班に分かれ、JICA研修員と交流しながら十勝の魅力についての発表とディスカッションを実施。十勝ならではの食の魅力や、盛んに行われている冬季スポーツの魅力、十勝に湧き出るモール温泉など、様々な地域の魅力について発表した。

 続く、ディスカッションでは、生徒たちの発表を受けて、JICA研修員が質問。外国の言語に苦戦しながらも、班員同士で相談し、自分たちの知っている情報を相手に伝えようと取り組んだ。

 JICA研修員は、自国の紹介や食文化などについてパソコンやスマートフォンなどを使って説明した。

 参加した生徒の一人は「英語のコミュニケーションスキルをもっと磨いて、海外の人ともっと話してみたいと思った」などと感想を話していた。

◆抵抗感なく会話 学習意欲も喚起

 ことし2月下旬に開かれた令和元年度高校英語力向上事業十勝管内第3回プロジェクト会議では、久松教諭がこれまでの取組の成果・課題を発表。

 授業実践と活用場面を設定し、“話すこと”の能力を育成した取組を説明したことや、成果としてアンケート調査から「外国人と話す経験を経て、話すことに抵抗感がなくなったこと」などの感想が挙がったことを伝えた。

 また、事業を通じて「英語学習に対する目標と見通しをもち、学習意欲が喚起された」と報告。英検IBAの結果から、6月と12月を比較し、1年生の平均点が819点から862点まで伸びたことなどを紹介した。

(学校 2020-03-31付)

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