道教委・英語力向上事業指定校の実践 海外生活を想定 札幌国際情報高 伝え、議論する態度育成 コミュニケーション能力も
(学校 2020-03-31付)

 道教委の高校英語力向上事業の指定校である札幌国際情報高校(阿部穣校長)は、英語で考えを伝え、議論する態度と技能を育てる教育実践を進めている。2人1組で議論するMock Debate、地域の魅力を伝えるプレゼンテーションなど、海外で学ぶ・生活することを想定したコミュニケーションスキルを育成。質問する力、発信する態度、議論する力の定着を図った。取組を通して、英検準2級以上の英語力を有する1年生の割合は2倍以上に増加するなど成果が上がっている。

 事業は、学科の特性などに応じて英語の活用場面を想定した3タイプの学習プログラムを開発し、道立高校、中等教育学校の英語授業における改善・充実、生徒の英語力向上を図ることが目的。

 同校は、道内指定校で唯一のタイプⅢ「海外で学ぶ・生活する」場面を想定した英語の活用を図る研究を推進。

 海外での学校生活のルールを知るため、「日常生活に関する適切な疑問文をつくり、相手に質問すること」、海外の学校での授業に参加するために「教師の話すまとまった内容を理解し、メモすること」「聞き取り、理解した内容を他の生徒に発信し、共有すること」を到達目標として定めた。

 議論する力の育成に向け、生徒が2人1組のペアとなって、指示されたトピックについて賛成・反対それぞれの立場から議論するMock Debateに取り組んだ。

 生徒が協力して議論の流れを考えることで対話による学びが進むこと、事前の準備によって心理的なプレッシャーがかからないことが特徴。身近な話題で活動に習熟させたあと、教科書の題材と関連した素材を活用し、内容の理解の深化を図った。

 授業で断続的に実施し、応用編では準備なしで議論を。定期考査にスクリプトを作成する問題を出題し、評価した。

◆外国人向けに地域の魅力紹介

 発信力育成に向けた取組として、ことしの目標や興味のある事柄を英語でスピーチする授業を実施。

 昨年4月、生徒たちは「My Goal for 2019」をテーマに1分間で発表。生徒による相互評価を導入することで、パフォーマンス向上に必要な要素を体験的に学んだ。

 8月には「What I really want to know」をテーマに、身の回りの興味のある事柄を2分程度で発表。調査学習を基盤としつつ、数値データを示して考えや意見を伝える手法を学習した。

 10月には、外国人向けに地域の魅力をPRするプレゼンテーションを実施。発表に備え生徒たちは、モデルとなる動画を鑑賞して効率的な紹介方法を学習したほか、現地を取材して内容の充実を図った。中には、校内発表の様子を撮影した動画を取材地に持ち込み、観光用に使用できないか交渉するグループの姿もあった。

 ことし2月には「北海道が直面する課題」をテーマに、道内の市町村が抱える課題と解決策を発表する授業を実践。発表内容作成の過程で教員やALTとやりとりをする機会を多く設定し、多くの生徒が対話的・協働的に取り組んだ。

◆生徒の71%が英検準2級以上

 同校はこれら様々な取組の成果として、質問する力、積極的に自分の意見を発信する態度、論理的に議論する力などが身に付いていると分析。協働的・対話的な学びの機会をより多く提供し、主体的に学ぶ態度を育成することができたと成果を伝えている。

 ことし2月時点における英検準2級以上の英語力を有する生徒の割合は、昨年4月と比べ12ポイント増の71%に増加。特に、1年生は51%と2倍以上の伸びをみせた。

 同校は、事業終了後もシラバスやCan―Doリストに位置付けるなど校内で共通理解を図り、これらの取組を継続する工夫が必要としている。

(学校 2020-03-31付)

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