道教委 令和2年5月4日付 新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について(通知)(コロナウイルス関連 2020-05-08付)
道教委が5月4日付で発出した通知「新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について」の内容はつぎのとおり。
教義第142号
令和2年(2020年)5月4日
各教育局長、各道立学校長、各市町村教育委員会教育長(札幌市を除く)様
北海道教育庁学校教育局長 小松智子
新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について(通知)
このことについては、これまで、令和2年(2020年)3月24日付け教健体第1067号「令和2年度における小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等について」の別添1「Ⅰ.新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」及び令和2年(2020年)4月17日付け教健体第66号「『Ⅱ.新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドライン』の変更について」の別添「Ⅱ.新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドライン」により通知したところですが、この度、文部科学省初等中等教育局長から、別添写しのとおり通知がありましたので、お知らせします。市町村教育委員会においては、所管する学校に周知してください。
なお、本通知における分散登校の主な運用上のポイント及びQ&Aを別紙にてまとめたので参考としてください。
(学校教育局高校教育課、学校教育局義務教育課、学校教育局特別支援教育課、学校教育局健康・体育課、学校教育局生徒指導・学校安全課)
「新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドライン」等を補足するものとして,最終学年等を優先した休業中の登校日の設定など学校運営上の工夫についてまとめましたので通知します。
2文科初第222号
令和2年5月1日
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事、附属学校を置く各国公立大学長、小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長、厚生労働省社会・援護局長殿
文部科学省初等中等教育局長 丸山洋司
新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について(通知)
これまで,新型コロナウイルス感染症に対応した学校運営の在り方に関しては,「Ⅰ.新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」(令和2年3月24日付け文部科学事務次官通知別添1)及び「Ⅱ.新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドライン(令和2年4月17日改訂版)」(令和2年4月17日付け文部科学事務次官通知別添)(以下「ガイドライン」という。)において示してきましたが,この度,「新型コロナウイルス感染症対策の現状を踏まえた学校教育活動に関する提言」(令和2年5月1日学校における新型コロナウイルス感染症の対策に関する懇談会(以下「懇談会提言」という。)(別添参照))を踏まえ,ガイドラインを補足するものとして学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について下記のとおりまとめましたので,各学校設置者においては,これを参考に取組を進めてくださいますようお願いします。
各都道府県教育委員会におかれては,所管の学校(高等課程を置く専修学校を含む。以下同じ。)及び域内の市区町村教育委員会に対し,各指定都市教育委員会におかれては,所管の学校に対し,各都道府県知事及び小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長におかれては,所轄の学校及び学校法人等に対し,附属学校を置く各国公立大学長におかれては,その管下の学校に対し,厚生労働省社会・援護局におかれては,その所管の高等課程を置く専修学校に対し,周知くださいますようお願いします。
記
1.本通知の趣旨について
文部科学省が実施した調査によると,令和2年4月22日時点において,小学校及び中学校では95%,高等学校では97%について臨時休業が実施されている。一方で,懇談会提言によれば,地域によっては「徹底した行動変容の要請」が長期に渡ることも考えられ,臨時休業が長期化した場合,「新型コロナウイルス感染症対策のために小学校,中学校,高等学校等において臨時休業を行う場合の学習の保障等について」(令和2年4月21日付け文部科学省初等中等教育局長通知。以下「学習保障通知」という。)の1で示した児童生徒の学びの保障について懸念が生じることとなる。
この点は,懇談会提言においても「学校における感染リスクをゼロにするという前提に立つ限り,学校に子供が通うことは困難であり,このような状態が長期間続けば,子供の学びの保障や心身の健康などに関して深刻な問題が生じることとなる。」とされており,「社会全体が,長期間にわたりこの新たなウイルスとともに生きていかなければならないという認識に立ち,その上で,子供の健やかな学びを保障するということとの両立を図るため,学校における感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減しつつ段階的に実施可能な教育活動を開始し,その評価をしながら再開に向けての取組を進めていくという考えが重要である」とされている。
また,「例えば,緊急事態宣言の対象区域は都道府県単位で指定されるが,たとえ区域内であっても地域や生活圏によって感染の状況は異なることから,一律ではなく地域の状況を踏まえて,段階的に学校教育活動を開始していくことも可能である」とされている。
本通知は,学習保障通知で示した取組に加え,こうした提言を踏まえ,各設置者において可能な限り感染及びその拡大のリスクを低減させながら学校における教育活動を行うことに資するよう,ガイドラインを補足するものとして学校運営上の工夫の在り方を示すものである。
2.最終学年等を優先した休業中の登校日の設定について
(1)分散登校日の設定について
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく緊急事態宣言の対象区域とされるなどに伴い,学校の臨時休業を続けざるを得ない地域においても,ICTを最大限活用しながら,感染症対策を徹底した上で,分散登校(児童生徒を複数のグループに分けた上でそれぞれが限られた時間,日において登校する方法)を行う日を設けることにより,段階的に学校教育活動を再開し,全ての児童生徒が学校において教育を受けられるようにしていくことが重要である。
このような分散登校を行う際には,進路の指導の配慮が必要な小学校第6学年・中学校第3学年等の最終学年の児童生徒が優先的に学習活動を開始できるよう配慮すること。併せて,最終学年以外の指導においては,教師による対面での学習支援が特に求められる小学校第1学年の児童にも配慮すること。
登校日については,地域や児童生徒の生活圏の感染状況を踏まえ,学校の全部を休業とした上で任意の登校日を設ける方法や学校の一部を休業とした上で授業日としての登校日を設ける方法が考えられる。
いずれの場合でも,学校医・学校薬剤師などと連携した学校の保健管理体制を整え,学校関係者に感染者が確認された場合の対応について確認しておくこと。
なお,高等学校等においても,進学や就職を控えた高等学校第3学年の生徒等に配慮するなど,生徒の発達段階や多様な学校の実態を踏まえつつ,同等の対応を検討すること。
また,特別支援学校については,指導の際に接触が避けられないことや,重篤化する基礎疾患等を有する児童生徒が多いこと,多くの児童生徒がスクールバス等で一斉に登校すること等の課題を多くの学校が抱えているため,学校教育活動の再開については,児童生徒の障害の種類や程度等を踏まえた慎重な検討が必要であること。
①身体的距離の確保
登校の際は,「新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」に示した感染症対策を行うほか,必要に応じて学級を複数のグループに分けた上で使用していない教室を活用するなどして,児童生徒の席の間に可能な限り距離を確保し(おおむね1~2メートル),対面とならないような形で教育活動を行うことが望ましいこと。
図:身体的距離を確保した座席配置のイメージ(略)
※咳エチケットを行っていない場合,くしゃみや咳のしぶきは約2 mの距離まで届くため,咳エチケットを行った上で,児童生徒同士の距離を1~2 m以上保つように座席を配置する。
②分散登校の工夫
児童生徒数の多い学校にあっては,①に示す身体的距離の確保のため,
・時間帯又は日によって登校の対象とする学年又は学級を順次変える方法
・学級を複数のグループに分けた上で,登校の対象とするグループを順次変える方法
等により分散して登校するなどの工夫が考えられる。(参考資料参照)
③分散登校に伴う子供の居場所づくり
分散登校に伴い,登校する児童生徒の兄弟姉妹である幼児や低学年の児童が自宅で一人になる場合が生じることも考えられるところであり,担当部局と相談し,地域全体としての子供の居場所づくりに配慮すること。
(2)各教科等の指導における感染症対策について
各教科等の指導については,以下に掲げるものなど感染症対策を講じてもなお感染の可能性が高い学習活動については行わないこと。
・音楽科における狭い空間や密閉状態での歌唱指導や身体の接触を伴う活動
・家庭科,技術・家庭科における調理等の実習
・体育科,保健体育科における児童生徒が密集する運動や児童生徒が近距離で組み合ったり接触したりする場面が多い運動
・児童生徒が密集して長時間活動するグループ学習
・運動会や文化祭,学習発表会,修学旅行など児童生徒が密集して長時間活動する学校行事
なお,新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続している地域においては,当分の間,上記の学習活動ができない可能性が高いことを踏まえ,指導順序の変更や,教師による適切な事前・事後指導と家庭における学習の組合せによる指導計画の立案など,各教科等の指導計画の見直しを検討し,必要な措置を講じること。
(3)新型コロナウイルスに関する正しい知識の指導
児童生徒に対して,新型コロナウイルスに関する正しい知識を身に付けるとともに,これらの感染症対策について,児童生徒が感染のリスクを自ら判断し,これを避ける行動をとることができるよう,「新型コロナウイルス感染症の予防」資料等※を活用し,発達段階に応じた指導を行うこと。
※https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/08060506_00001.htm
(4)学校給食(昼食提供)の工夫について
学校給食を実施するに当たっては,「新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」に示したもののほか,配膳の過程での感染防止のため,可能な限り品数の少ない献立(例えば,主菜と具沢山の汁物等)で適切な栄養摂取ができるようにすることや,可能な場合には給食調理場において弁当容器等に盛り付けて提供することなどの工夫が考えられる。また,それらが困難な場合に,少なくとも配膳を伴わない簡易な給食(パン,牛乳等)を提供することも考えられる。
なお,学校給食は,衛生管理上の観点から持ち帰りは想定されていないが,児童生徒の食事支援の一つとして,保護者の希望及び衛生管理上の必要事項に係る同意がある場合に,例外的に持ち帰りを実施することも考えられる。
(5)学校図書館の活用について
学校図書館については,感染症対策を徹底した上で,貸出等を行うことが望ましいことのほか,特に時間帯により休業の対象となる児童生徒が変わる場合において,学校図書館を児童生徒の自習スペースとして活用することも考えられる。
(6)登下校の工夫について
登下校中については,校門や玄関口等での密集が起こらないよう登下校時間帯を分散させることや,集団登下校を行う場合には密接とならないよう指導することなどの工夫が考えられる。その際,特に通学に不慣れな小学校第1学年の安全に十分注意すること。
(7)出欠の取扱い等について
①学校の全部を休業とする場合
学校の全部を休業とする場合,任意の登校日は指導要録上の「授業日数」には含まないものとして取り扱うこと。
その際,任意の登校日における学習活動について,「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について」(令和2年4月10日付け文部科学省初等中等教育局長通知。以下「学習指導通知」という。)の2(2)と同様に,学習評価に反映することができること。なお,登校しなかった児童生徒に対しては,個別に学習指導や学習状況の把握を行うなど,不利益に取り扱われることのないよう配慮すること。
また,任意の登校日における学習活動について,学習指導通知の4と同様に,一定の要件を満たす場合には,学校の再開後に再度授業において取り扱わないこととすることができること。なお,一部の児童生徒への学習の定着が不十分である場合には,別途,個別に補習を実施する,追加の家庭学習を適切に課すなどの必要な措置を講じること。
②学校の一部を休業とする場合
学校の一部を休業とする場合,最終学年等の児童生徒を優先させて登校させ,その他の児童生徒は休業とすることなどが考えられるが,児童生徒の出欠の取扱いについては,「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(平成31年3月29日初等中等教育局長通知)別紙等における考え方を踏まえ,以下のとおりとなる。
・学年の全部を休業とした日数は授業日数には含めない
・学年の一部を休業とした日数は授業日数に含まれ,授業のある児童生徒については出欠を記録するとともに,授業のない児童生徒については「出席停止・忌引等の日数」として記録する
なお,出欠を記録する際には,学習指導通知の3(2)に示したとおり,やむを得ず学校に登校できない児童生徒への必要な配慮を行うこと。
(8)長期休業期間及び土曜日における登校日の設定等について
学習指導通知の4では,
・児童生徒が学校に登校できるようになった時点で,可能な限り,令和2年度の教育課程内での補充のための授業や教育課程に位置付けない補習を実施すること,家庭学習を適切に課すこと等の必要な措置を講じること
・その際,例えば,時間割編成の工夫,学校行事の精選,長期休業期間の短縮,土曜日に授業を行うことなどが考えられること
を示している。
登校日を設ける場合も,必要に応じ,長期休業期間及び土曜日に行うことなどが考えられる。その際,児童生徒の負担が過重とならないように配慮するとともに,各学校の指導体制に見合った日数・時数となっているかなど,教職員の負担が過重とならないように配慮すること。また,週休日である土曜日に登校日を設ける場合には,教職員の勤務日及び勤務時間について,各地方公共団体の条例等に則り,適切に振替を行うことが必要となる。
(9)教職員の出勤について
教職員の勤務についても基本的な感染症対策を徹底するとともに,体調の悪い教職員が休みやすいような環境づくりを行いつつ,可能な範囲内で,在宅勤務や時差出勤のほか,管理職を含む学校の教職員がローテーションで出勤するなどの勤務形態の工夫を行うこと。
3.人的体制の確保に関すること
土曜日に授業を行う場合や学級を複数グループに分けて指導を行う場合には,学校における対面指導の時間に加え,家庭学習の支援への対応や給食時の対応,登下校の安全管理など,通常時とは異なる業務の発生も考慮した人的体制を確保する必要がある。これらを踏まえ,教職員の役割等の校務分掌の見直し,勤務日や勤務時間の適切な割振り,外部人材の活用等を行うことにより,教職員の勤務負担が過重とならないよう十分に留意しつつ,指導体制の確保を図ること。
その際,公立学校においては,学校全体の指導体制も踏まえつつ,加配教員の活用や学習指導員の追加配置,「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」による事業の実施等を検討されたい。特に,学習指導員等の確保に当たっては,想定されている事業内容や今回の非常時・緊急時という特質も踏まえ,必要に応じて資格要件を緩和し,退職教員や学生等の外部人材を積極的に活用すること。教育職員免許状を保有する人材が必要な場合は,臨時免許状の活用等も検討すること。
なお,人材確保に当たっては,文部科学省の「学校・子供応援サポーター人材バンク」※も積極的に活用されたい。
※文部科学省ホームページ上で学校に御協力いただける方の登録を全国から募集し,登録者が希望する勤務地(市町村)がある都道府県教育委員会等に文部科学省から名簿を提供する仕組み。(令和2年4月24日開設)
https://www.mext.go.jp/content/20200424-mxt_kouhou01-000006800_1.pdf
また,私立学校においては,指導体制の確保のための外部人材の活用といった取組等について,私立高等学校等経常費助成費補助金(教育改革推進特別経費)「教育の質の向上を図る学校支援経費」による補助を文部科学省から都道府県に対し行っていることから,本補助金の活用も検討されたい。
<本件連絡先>
文部科学省:03-5253-4111(代表)
○臨時休業全般に関すること
初等中等教育局 健康教育・食育課(内3964)
○保健管理に関すること
初等中等教育局 健康教育・食育課(内2918)
○学習指導に関すること
初等中等教育局 教育課程課(内2367)
○学校給食に関すること
初等中等教育局 健康教育・食育課(内2694)
○学校図書館に関すること
総合教育政策局 地域学習推進課(内3030)
○教職員の勤務に関すること
・公立学校について 初等中等教育局初等中等教育企画課(内2588)
・私立学校について 高等教育局私学部私学行政課(内2532)
・国立学校について 総合教育政策局教育人材政策課(内3498)
○人的体制の確保に関すること
・公立学校について 初等中等教育局 財務課(内2587)
・私立学校について 高等教育局私学部 私学助成課(内2547)
・国立学校について 総合教育政策局教育人材政策課(内3498)
登校日の実施の工夫例(略)
学校における新型コロナウイルス感染症の対策に関する懇談会
「新型コロナウイルス感染症対策の現状を踏まえた学校教育活動に関する提言」(令和2年5月1日)
1.基本的な考え方
○各地域の分析や、学校における対応については、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下、「専門家会議」という。)の状況分析・提言や政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を踏まえ、文部科学省において、ガイドライン及び各種通知において対応を示してきたところ。…令和2年3月24日付け文部科学事務次官通知により示した「Ⅰ.新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」及び「Ⅱ.新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドライン」(令和2年4月17日改訂)等
○学校に関しては、国内での感染拡大の可能性があった初期である3月2日から政府の新型インフルエンザ対策本部長である内閣総理大臣の要請により全国の一斉臨時休業が行われ、その後春季休業を経て、4月7日に政府の緊急事態宣言が行われたことや4月16日の基本的対処方針の変更で全都道府県が緊急事態措置の対象となったこと等を受け、現在、再び全国的に臨時休業が広がっている。
○新型コロナウイルス感染症の学校における集団発生報告は国内外においても稀であり、小児年齢の発生割合、重症割合も少ない。一方で、海外ではロックダウンによる休校、国内では学校は感染拡大初期から断続的に一斉休業が続いており、学校での感染拡大にかかる科学的エビデンスが蓄積されていないこともある。なお、国内においては緊急事態宣言が全国に拡大(4月16日)される前から、多くの地方自治体が自主的に臨時休業の措置をとっている(4月10日時点で小中学校の67%が休校)。
○専門家会議の5月1日の分析・提言によれば、本感染症については、今後長期間にわたって、新規感染者が生ずることを念頭に置いて一定の行動変容が求められており、地域によっては「徹底した行動変容の要請」が長期にわたることも考えられる。
○このような状況を踏まえると、現在のように、学校における感染リスクをゼロにするという前提に立つ限り、学校に子供が通うことは困難であり、このような状態が長期間続けば、子供の学びの保障や心身の健康などに関して深刻な問題が生じることとなる。この感染症については持続的な対策が必要であることを踏まえれば、社会全体が、長期間にわたりこの新たなウイルスとともに生きていかなければならないという認識に立ち、その上で、子供の健やかな学びを保障するということとの両立を図るため、学校における感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減しつつ段階的に実施可能な教育活動を開始し、その評価をしながら再開に向けての取組を進めていくという考えが重要である。
○その際、例えば、緊急事態宣言の対象区域は都道府県単位で指定されるが、たとえ区域内であっても地域や生活圏によって感染の状況は異なることから、一律ではなく地域の状況を踏まえて、段階的に学校教育活動を開始していくことも可能である。
○なお、地域で、生活圏における流行状況によっては再び休校とするなどの判断ができるよう、市町村や都道府県においても体制を構築すべきである。
○また、進学を控える中学校第3学年、小学校第6学年、また、学校生活を開始することができていない小学校第1学年等から優先的に下記2.のような方法等により任意の分散登校を行い、感染症対策を行いながら学校生活を送るという状況について、学校・家庭・地域が理解を深め、徐々に受け入れていくという方法も考えられる。
○その際、感染症対策を徹底しつつも、感染リスクはゼロにすることはできないという事実を前提として、感染者が確認された場合には、迅速かつ的確に対処することができるよう、地方自治体内での衛生主管部局との連携や学校医・学校薬剤師等の専門家と連携した学校における保健衛生体制を築いていくことが重要である。なお、学校内で感染者が発生した際には、感染拡大防止の必要上、当該児童生徒が明らかになることもあるが、その場合においても当該児童生徒が差別・偏見・いじめなどの対象にならぬよう、十分な配慮・注意が必要であり、またそのための教育も重要である。
○高等学校等についても、学科の教育内容や生徒の通学等の状況を踏まえ、小・中学校等と同様の取組を進めていくことが考えられる。
○なお、特別支援学校については、指導の際に接触が避けられないことや、重篤化する基礎疾患等を有する児童生徒が多いこと、多くの児童生徒がスクールバス等で一斉に登校すること等の課題を多くの学校が抱えている。新型コロナウイルス感染症は、重症化すれば命に関わる危険性があることも踏まえ、特別支援学校における学校教育活動については、一層慎重に対応することが求められ、再開に向けては、児童生徒の障害の種類や程度等を踏まえた検討が必要である。
○また、学校教育活動を再開するにあたっては、地域の感染状況の違いを踏まえてもなお、児童生徒の通学方法(徒歩や自転車、公共交通機関)の違いや、ICTによる指導が確保できている学校とそうではない学校など、学校の状況により取組の方法は様々であり、どの方法により実施するかは、設置者及び学校が子供の学びをどのように保障するかという観点から選択する必要がある。
2.学校教育活動の再開の具体的な方策について
(1)学校教育活動の進め方について
○児童生徒の生活圏でのまん延状況も踏まえながら、臨時休業を行っている学校においても、基本的な感染症対策を徹底した上で、3つの密を避けるように工夫して学校教育活動を再開し、学校において児童生徒が学ぶことができる環境を作っていくことにより、全ての児童生徒が教育を受けることができるようにしていくことが必要である。地域の感染状況が今後も悪化することはどの地域でも考えられるため、登校方法の工夫やICTも最大限活用しながら、全ての児童生徒が、各学校の教育計画に基づく教育を受けられるようにしていく。
○まず、基本的な感染症対策に関しては、以下の点を徹底すること。教職員についても同様の対応を徹底し、特に、体調の悪い教職員が休みやすいような環境作りをする必要がある。
・家庭と連携した毎朝の検温及び風邪症状の確認を徹底する。その際、同居のご家族にも自身の検温や体調確認に取り組んでいただき、何か変わったことがあれば学校にも伝えていただく。
・学校での登校時、給食の前後、外から教室に入る時、トイレの後といった機会でのこまめな手洗いを徹底する。
・多くの児童生徒の触れる場所や共用の教材、教具、情報機器などを適切に消毒するとともに、触る前後で手洗いを徹底する。
・児童生徒や教職員がマスクを着用する。
○また、教室における3つの密を避けること。
・換気は、気候上可能な限り常時、可能であれば2方向の窓を同時に開けて行う(空調使用時においても換気は必要であることに留意)。
・座席の配置の工夫としては、当分の間、児童生徒の席の間に可能な限り距離を確保し(おおむね1~2メートル)、対面とならないような形とする。
このような形で学校教育活動を行うためには、学級の規模に応じ、学級を2又は3の小グループに分け、異なる教室や時間で指導を行う等の対応をとることも考えられる。
○学校や設置者においては、都道府県等の衛生主管部局との連携や、欠席状況のサーベイランスの仕組みの利用などにより、地域の感染状況を把握したり、周辺の学校の児童生徒の欠席状況などを把握し、また状況の比較を行い、地域の状況に応じた感染予防のための具体的方策を検討することが重要である。
○児童生徒に対して、新型コロナウイルスに関する正しい知識や、これらの感染症対策について、発達段階に応じた指導を行い、児童生徒が感染のリスクを自ら判断し、これを避ける行動をとることができるようにすることが重要である。
(2)感染のリスクが高いと考えられる活動の取扱いについて
(各教科活動等)
○各教科等に関する指導については、地域の感染状況に応じ、例えば、以下に示す活動を含め、感染拡大防止の観点からリスクの高い学習活動を行わないなどの感染拡大防止対策をとること。部活動を実施する場合にも,各教科等の指導に準じて感染症対策を講じてもなお感染の可能性が高い活動については行わないこと。
・音楽科における狭い空間や密閉状態での歌唱指導や身体の接触を伴う活動
・家庭科における調理などの実習
・体育科・保健体育科における児童生徒が密集する運動や児童生徒が近距離で組み合ったり接触したりする場面が多い運動
・児童生徒が密集して長時間活動するグループ学習
・運動会や文化祭、学習発表会など児童生徒が密集して長時間活動する学校行事
・他の都道府県等に移動する、校外学習や宿泊を伴う学校行事
(給食)
○給食(昼食)を提供する際には、特に手洗いの徹底を図るとともに、配膳の過程での感染防止のため、可能な限り品数の少ない献立で適切な栄養摂取ができるようにすることや、可能な場合には小分け済みの形(弁当方式)とすること、さらに食べる際に机を向かい合わせにしないことなどの工夫が考えられる。
(登下校)
○登下校中については、校門や玄関口等での密集が起こらないよう登下校時間帯を分散させることや、安全の観点から集団登下校を行う場合には密集とならないよう指導することなどの工夫が考えられる。
○公共交通機関を利用して通学する学校とは異なり、徒歩圏内(自転車通学圏内を含む)から通える小中学生等については、登下校時の感染リスクは低いと考えられる。また、公共交通機関をやむを得ず利用する場合には、できるだけ乗客が少ない時間帯に利用できるようにするなどの配慮をすることや、乗車後は速やかに手を洗う、顔をできるだけ触らない、触った場合は顔を洗うなどして、接触感染対策などの基本的対策を行うことなどにより、感染リスクを下げることができる。
分散登校の主な運用ポイント
令和2年5月1日付け文部科学省初等中等教育局長通知
「新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について」
【趣旨】学校の臨時休業を続けざるを得ない地域においても、感染症対策を徹底した上で、分散登校を行う日を設けることにより、段階的に学校教育活動を再開。
【1.段階的な登校日の設定】
・衛生部局と十分に相談の上、週ごとに回数を増やすなど、円滑な学校再開に備える。
(図①略)
【2.学年による配慮】
・進路指導が重要な小学6年生、中学3年生、高校3年生の最終学年の児童生徒の
優先的な学習活動開始に配慮。
・教師による対面での学習支援が特に求められる小学1年生にも配慮。
(図②略)
【3.身体的距離の確保】
・児童生徒の席の間に可能な限り距離を確保(おおむね1~2m)、対面とならないよう配席(図③略)。
・時間帯や日によって登校する学年や学級を変えたり(図①略)、学級を複数グループに分けて順次変える(図④略)など工夫。
令和2年5月4日付け教義第142号「新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について」における分散登校に関するQ&A
問1 5月15日(金)までの期間は、分散登校を行うことはできないのか。
5月15日(金)までの期間に、児童生徒の心身の健康状態や学習状況の把握等を行うことを目的として分散登校を実施することは可能です。
その際は、緊急事態措置を講じていることから、必要最小限にとどめてください。
問2 「段階的に学校教育活動を再開し」とは具体的にどのようなことか。
週ごとに回数を増やすなどして、学校再開を見据えた登校日の設定を行うことです。
問3 道教委通知に「衛生部局と十分相談する」とあるが、具体的にどのような内容
を相談するのか。
地域や児童生徒の生活圏における感染者の有無や地域における行動制限の状況、学校再開の見通しなどについて、各市町村対策本部会議において判断する、また、保健所の助言を得て、首長部局と連携し判断するなどしてください。
問4 分散登校の実施時期や実施回数は、市町村が判断してよいのか。
地域や児童生徒の生活圏の感染状況を踏まえ、衛生部局と十分相談の上、判断をしてください。
なお、道立学校において、分散登校を実施する場合は、市町村教育委員会と十分に連携の上、地域の状況を踏まえて、学校長が判断してください。
問5 「学校の全部を休業とした上で任意の登校日を設ける」とはどのようなことか。
これまでの「個別相談」と同様で、臨時休業中に1人または複数の児童生徒が登校し、学習指導や相談などを行うものです。
なお、この場合は、授業日数には含めません。
問6 最終学年等を優先するには具体的にどのようにすればよいか。
分散登校の回数を多くする、対象となる学年の1日の授業コマ数を多く設定する、家庭訪問を他学年よりも多くするなどの工夫が考えられます。
問7 マスクなどの咳エチケットを行った上で、児童生徒の席の間に可能な限り距離を確保(おおむね1~2メートル)した場合、1つの部屋に20名以上となってもよいか。
体育館や多目的教室等を使用するなどして、身体的距離を確保できる場合は、20名以上となっても可能です。
なお、こうした場合においても、今回示すように、児童生徒同士の身体的距離を確保できない場合は、一教室に入れる人数を減らして実施するなどの配慮をお願いします。
問8 分散登校時に部活動を行うことは可能か。
部活動については、原則、学校再開後に実施することとします。
問9 分散登校時の授業の教育課程上の位置付けや学習評価はどのように取り扱うとよいか。
授業時数の確保も含め、改めてお知らせすることとします。
問10 運動会や遠足等の行事を分散登校を活用して行ってよいか。
運動会や遠足等については、児童生徒が密集して長時間活動するものであり、感染症対策を講じてもなお感染の可能性が高い学習活動であるため、臨時休業中の分散登校時に実施することは適切ではありません。
問11 やむを得ず学校に登校できない児童生徒への必要な配慮とは、どのようなことか。
令和2年(2020年)4月3日付け教生学第8号通知「学校の再開後の『心のケア』に関する留意事項について」の「出席等の取扱い」を参照してください。なお、保護者が感染に不安があり、児童生徒を欠席させる場合は、「校長が出席しなくてもよいと認めた日」とするなど配慮してください。
(コロナウイルス関連 2020-05-08付)
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山の手養護のオンライン学習 休業に伴う負担軽減 最大5回線 1日2~3時間
札幌市立山の手養護学校(沼口明夫校長)は、家庭、学校、病室の3ヵ所でのオンライン学習に取り組んでいる。一斉休業期間中に授業を実施できるよう、通信環境を整備。最大5回線で1日2、3時間の授業...(2020-05-11) 全て読む
道立美術館等の休館15日まで延長 ネイパルは検討中
道は、国における新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言の延長を受け、10日までとしていた美術館や博物館など道立施設42施設の休館を15日まで延長する。 青少年体験活動施設(ネイパ...(2020-05-11) 全て読む
自宅で環境学習 特設サイト開設 幼児児童生徒に道
道は、新型コロナウイルスに伴う臨時休業中の幼児児童生徒が自宅で学習できる「おうちで学ぼう!環境学習特設サイト~学校がお休みの子どもたちへ」を開設した。 ①総合型学習②読み物③クイズ・体...(2020-05-11) 全て読む
障がいある児童生徒の家庭学習 各学校で積極支援を 文科省が留意事項通知
文部科学省は7日付で、各都道府県・指定都市教育委員会特別支援教育担当者などに対し、通知「新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業中における障害のある児童生徒の家庭学習支援に関する留意事項...(2020-05-11) 全て読む
授業動画を配信 苫小牧東高 5月上旬現在で70本 臨休中の家庭学習充実
【室蘭発】苫小牧東高校(森浩之校長)は、4月24日から動画共有サイトYouTubeを利用して授業動画を配信している。新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う、臨時休業期間中の家庭学習を充実させ...(2020-05-11) 全て読む
特セン 基本セミナー中止受け オンデマンド研修配信 校内研など幅広い活用を
道立特別支援教育センターは、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い中止とした本年度特別支援教育基本セミナーについて、ホームページ上でオンデマンド研修として公開している。予定していた2講座につ...(2020-05-08) 全て読む
学紋塾の利用生徒募集 当面オンライン 紋別市教委
【網走発】紋別市教委は、家庭学習支援事業「学紋塾」を利用する生徒を募集している。新型コロナウイルス感染症拡大のため、本年度は当面の間、文化会館での開催を取りやめ、家庭で活用できるようオンラ...(2020-05-08) 全て読む
網走市西が丘小と北見市川沿小 マスク200枚と消毒液を 網走市内建設業者が贈呈
【網走発】網走市立西が丘小学校(宮崎浩校長)と北見市立川沿小学校(林明校長)に4月27日、網走市内で建設業を営む南建設㈱からマスク200枚と消毒液500㍉㍑入り3本がそれぞれ贈られた。社会...(2020-05-08) 全て読む
手づくりマスク60枚 江別高家庭科教員が福祉施設に 藍染や被服の端切れ活用
江別高校(吉田兵夫校長)は4月24日、地域の福祉施設へ手づくりマスク約60枚を寄贈した。マスクは、家庭クラブ顧問の家庭科教員6人が作製。材料として、生徒が実習で製作した藍染や被服の端切れを...(2020-05-08) 全て読む
ICT活用など各種対策求める 緊急事態延長受け全国知事会が提言
全国知事会は5日、国への提言「緊急事態宣言の期間延長を受けて」をまとめた。 臨時休業の長期化に伴って子どもの学習機会の不足が懸念されることから、ICTやテレビを活用した学習の実施、地域...(2020-05-08) 全て読む