山の手養護のオンライン学習 休業に伴う負担軽減 最大5回線 1日2~3時間
(コロナウイルス関連 2020-05-11付)

札幌市立山の手養護学校オンライン学習
培ってきたノウハウを生かし、取組の発展を目指す

 札幌市立山の手養護学校(沼口明夫校長)は、家庭、学校、病室の3ヵ所でのオンライン学習に取り組んでいる。一斉休業期間中に授業を実施できるよう、通信環境を整備。最大5回線で1日2、3時間の授業を実施している。生活リズムの安定のほか、オンラインを活用したホームルームでは、子ども同士や担任との交流によって休業に伴う心理的負担の軽減などの効果が得られた。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、2月末から市立学校が一斉休業となり2ヵ月が過ぎた。学力面や心理面での不安が高まる中、同校はオンライン学習にいち早く着手した。オンライン学習を踏まえた学習計画のもと、クラウド型ビデオ会議サービスを活用した学習支援や心のケアに取り組んでいる。

 小学部、中学部、高等部の3つの学部があり、北海道医療センターと併設している同校。病気などの治療を受けながら学校に通う児童生徒も在籍している。

 一斉休業が開始となり、すぐに通信環境の整備に着手した。児童生徒の学習支援のため、校内の通信環境整備のほか、家庭での通信環境を確認すべく、オンライン学習開始に当たっての確認事項を保護者へ連絡。通信環境が整っていない家庭にはWi―Fiルーターを貸与した。

 これまで培ってきたオンライン学習のノウハウを生かし、休業が決定して2週間余りで学習支援に向けた準備を完了。

 小学部では担任との個人面談や全クラス同時の拡大ホームルーム、中学部では歴史の学習会、高等部では希望者に課外活動としてハングル講座などを行った。児童生徒からは「もっと授業がしたい」などの声も上がったという。

 一斉休業が再度開始となった4月中旬には、休業期間が延長となったことによって、さらなる通信環境整備を図り、学習に取り組んだ。

 併設する道医療センターに入院している児童生徒もオンライン学習に参加できるよう、病院内の通信環境を整備。

 様々な要因から病室内における無線環境の整備が不可能であったため、校内に届いている回線を有線ケーブルで病院内まで延長。病室の出入口や廊下を横断しないよう、配慮しながら最短で70㍍のケーブルを配備し、ルーターを設置した。

 通信環境整備後は、各学部において教職員が休業期間中の学習計画を立案。1学期に行う予定の授業から時間割を作成し、子どもたちの体調に合わせて1日当たり1学年1コマから2コマの学習支援を開始した。

 国語、算数・数学、社会、理科、英語、音楽、体育、学級活動のほか、朝の会と帰りの会なども取り入れ、平常時のタイムスケジュールになるべく近付けるようにした。

 小学部・中学部では、市教委がホームページで公開している学習課題も活用。授業は1コマ40~50分とした。

 4月下旬に行った中学部2年生の体育の授業では、「いろいろなストレッチを楽しもう」と題して運動後や入浴後、就寝前にリラックス効果を得られる運動を指導した。4人の生徒が参加したオンライン学習では、Webカメラと黒板を映し出す書画カメラを活用して事前に配布した教材をもとにストレッチのポイントを提示。生徒は教員の動作に合わせて体を動かした。

 また、授業の合間やホームルームの際には互いの想いや悩みなどを話す場面を設けた。

 オンライン学習後、児童生徒からは「授業をしている感覚が実感できた」との反応があったほか、朝の会、帰りの会などの際に児童生徒同士が近況を交流することで「話せてよかった」「すっきりする」などの声が上がるなど、心理的負担軽減につながったという。

 保護者からは「休業期間中に崩れてきた生活リズムを整えることができた」などの声が寄せられた。

 これまでの同校の取組を視察してきた市教委学びの支援担当課の工藤雅文特別支援教育担当係長は「基礎疾患のある子どもたちの行動範囲を広げるという観点で取組は効果が高い。子どもたちの可能性を広げ、計画を立てて取り組んでいる点に今後も期待している」と述べた。

 田中進一学びの支援担当課長は「同校の取組をモデルとして、他の市立高校においても一時入院など生徒が学習の空白期間ができた場合などに授業ができるような取組を発展していきたい」と話した。

 幸丸政貴教頭は「今後は移動環境でも整備が可能な通信機器を活用し、入院などによって校外学習に参加できない子どもたちへ貴重な体験を実感できるような環境を整えたい」と話すなど、さらなる取組の発展を目指している。

 一方で、オンライン学習実践上の課題にも直面してきた同校。児童生徒のほとんどがスマートフォンやタブレット端末で授業に参加しているが、黒板の板書などを共有する際には画面の大きさがある程度必要であることや、入院や自宅療養の児童生徒のためにも持ち運び用Wi―Fiなどの整備も必要とされる。

 同校は取組から心理面と学習面の不安軽減、生活リズムの確立などの効果が得られただけではなく、今後、体調などによって登校できない子どもたちや病院に入院する子どもたちに対してもオンライン学習が可能であることも確認した。

 さらに、同校の取組が発展し、各校へ浸透していくためには、オンライン学習における通信環境整備や機器の導入の促進などが求められる。

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札幌市立山の手養護学校オンライン学習
就寝前にリラックス効果を得られる運動を指導

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