札幌市教委 学校事務の共同実施 休業中孤立しない体制構築 6月から研修会等スタート(市町村 2020-06-23付)
向陵中の第2学校運営支援室
札幌市教委は、本年度から学校事務の共同実施を市内全校へ拡大した。各校の事務職員を統括する学校運営支援室がイントラネットホームページを開設。新型コロナウイルス感染拡大防止で休業が続く中、事務職員の多くが学校再開に向けた対応策等の情報交換に積極的に取り組み、事務職員が孤立しない体制を築いた。学校が再開し、今月下旬からは共同実施にかかわる説明会や研修会がいよいよスタート。学校運営の向上に資する組織体制づくりに期待が寄せられている。
学校が直面する課題がますます複雑化・多様化する中、専門性を生かし、学校運営に参画する事務職員にも大きな役割を果たすことが期待されている。
小・中学校では事務職員の単数配置が基本。事務職員間の経験差などによって校務分掌が異なるほか、OJT(職場内研修)ができないことなどによる人材育成上の制約があるなど、これまで一人職場としての課題を抱えていた。
市教委は平成29年度から令和元年度まで、複数校の事務職員が共同で事務を行い、事務の効率化や精度向上、各校の事務支援、人材育成などの機能を果たす共同実施を市内60校で試行。検証の結果、取組の有効性が認められたことから、本年度から市内の小・中学校全295校で実施することとした。
共同実施組織を統括する立場で市教委との連絡調整を図り、共同実施組織の運営にかかる企画立案を行うのが学校運営支援室。中央区の円山小学校と向陵中学校の2校に設置した。いずれも支援室長1人と事務職員2人の計3人体制で、これまで市教委が実施していた研修などの企画立案も行う。市内10区を5区ずつ担当し、担当区内各校の状況などを把握する役割をもつ。
円山小にある第1学校運営支援室では給与に関する周知文書などの作成や小学校の独自業務を担当。向陵中にある第2学校運営支援室では旅費や経理に関する周知文書などの作成のほか、部活動にかかる予算などの中学校の独自業務を担っている。
第2学校運営支援室は共同実施に伴い、学校事務に関するホームページ「学校運営支援室イントラネットホームページ」を作成・開設した。
学校事務は契約管理など経理に関する事務や施設・設備の維持管理など多岐にわたる。これまでは関係部局のホームページや電子キャビネットなど多方面にアクセスし、手順を確認していたが、必要に応じて支援室ホームページから簡単にアクセスできるようにした。
ホームページには学校業務に関するハンドブックやマニュアルなども掲載。ホームページの一ヵ所に集約されていることで、若年層の事務職員や臨時職員など、経験が浅い職員も、知りたい情報に簡単にアクセスすることが可能となり、業務の適正化や学校によるばらつきをなくすことが可能に。管理職も事務手続きや提出書類等の内容を確認できるようになった。
新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業期間中には、ICTを活用し、学校事務の共有サーバー内に各校の情報交換の場を設け、情報の収集や共有などに力を入れた。
「発熱がある児童生徒が発生した場合のために保健室を区切った」「飛まつ感染対策のため教室と職員室にビニールカーテンを設置した」など、取組内容の共有のほか、「ビニールカーテンはどのくらいの金額で購入できたのか」「どのように購入したのか」などの情報交流を実施。
コロナ禍で研修会などの開催が中止・延期となっても、事務職員を一人にさせない支援体制を構築。縦と横のつながりを深め、学校再開に向けて子どもたちや教職員の感染防止対策にも効果を発揮した。
8月下旬から9月上旬にはグループ内各校の校長を交えた第1回目の学校運営支援グループ会議を実施予定。校長を交えたグループ会議は年2回開き、各校の課題などについて話し合う場を設けるなど「チームとしての学校」を実現するため、今後も組織的に取り組んでいく。
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向陵中の職員室。飛まつ防止のカーテンを設置
(市町村 2020-06-23付)
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