【解説】障がい者の読書環境整備

（解説 2020-07-16付）

　文部科学省と厚生労働省は、視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画を策定した。アクセシブルな電子書籍（障がい者等が利用しやすい書籍。音声読み上げ対応の電子書籍等）をはじめとする３つの方針のもと、点字図書館、公立図書館、学校図書館の連携による対象児童生徒への支援など、今後の施策の方向性を示した。

　計画は、視覚障がい者等（視覚障がい、発達障害、肢体不自由などの障がいで、書籍に関する視覚での表現の認識が困難な人）の読書環境を整備する施策を推進するもの。対象期間は令和２～６年度。

　基本的な方針として「アクセシブルな電子書籍等の普及や継続的な提供」など３点を提示。施策の方向性では「視覚障がい者等による図書館の利用にかかる体制の整備等」など８点を挙げた。

　具体的には、視覚障がい等のある児童生徒・学生の読書環境を保障するため、点字図書館、公立図書館、学校図書館の連携を図り、支援する取組を推進。教育委員会を通し、特別支援学校、特別支援学級設置校、視覚障がい等のある児童生徒が在籍する学校に、対象児童生徒が図書館の利用を学ぶ機会を設ける重要性、具体的な利用方法を周知する。

　図書館サービス人材の育成に向けては、司書、司書教諭・学校司書、職員などを対象に障がい者ボランティアサービスに関する内容の理解、支援方法を習得する研修や、読書支援機器の使用方法を習熟する研修を実施する。

　都道府県では、域内全体の視覚障がい者の読書環境整備に向け、図書館に関する施策の充実や市町村へ必要な指導助言を担う役割を記載。国は、地方公共団体の計画策定が円滑に進むよう、好事例の周知などの支援を行う。

(解説 2020-07-16付)