道研 「未来の教育」の在り方に関する研究 広域的な学校教育を充実(道・道教委 2020-07-16付)
道立教育研究所は、本年度から3ヵ年計画で取り組むプロジェクト研究「“未来の教育”の在り方に関する研究」の内容を明らかにした。遠隔授業、教員研修、キャリア教育、ICT環境の整備の4研究を推進する。概要はつぎのとおり。
《遠隔合同授業の在り方》
【研究の目的】
道内の小規模(※児童生徒数が49人未満)の小・中学校における遠隔システムを活用した合同授業の実践・検証によって、当該校のみならず学校間において遠隔合同授業を実施できる状態を構築し、少子化・人口減少社会に対応した広域的な学校教育の充実を授業改善を中心に図る。
【研究の具体】
▼1年次
▽少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業成果報告書に基づき、全道の小規模校に遠隔合同授業の実践を働きかける
▽道教委教育環境支援課情報教育指導係と連携し、全道の各市町村のICT整備状況およびネットワーク環境について把握し、遠隔合同授業を実践する際の支援に活用する
▽令和元年度少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業および道研フリープラン研修で未来の教室を視察した道内の学校に対して、研究協力校として依頼し、遠隔合同授業の実践・検証を行う
▽東神楽町、占冠村、福島県富岡町および道研において、元年度の実践に基づき、遠隔合同授業の円滑な実施や内容等の改善・充実に資するため、仮称・ネットワーク会議(ウェブ会議)を定期的に実施する
▽道研が、同一市町村、他市町村間、他管内間など、道内の小規模校同士をつなげる役割を果たしたり、連携先の他県の学校と道内の小規模校を連絡・調整したりするなど、遠隔合同授業をファシリテーションする
▽本プロジェクト研究B1・B2およびDとの連携によって、教育の情報化に関する施策提言に資する役割を果たす
▽実践した遠隔合同授業は、道内の事例として、随時、道研のホームページ上で公開する
▼2年次
▽1年次の実践を踏まえ、協力校を全管内に増やすなどして、各学校における遠隔合同授業の実施にかかる課題や困り感を把握する
▽把握した課題等を分析し、類型化するなどして、タイプ別の支援プランを作成し、各学校が円滑に遠隔合同授業を実践できるよう支援する
▽1年次に引き続き、実践した遠隔合同授業については実践例として、道研のホームページ上で公開する
▽1年次に協力校として授業実践した学校に授業公開を依頼し、市町村内の学校や同管内の市町村教委および小・中学校等に参観を呼びかける
▽仮称・ネットワーク会議の構成校については、遠隔合同授業を実践した学校に随時、参加を呼びかけ、遠隔合同授業の成果や課題、ポイント等を聞き取り整理する
▼3年次
▽1・2年次の実践の成果に基づき、各学校のみで遠隔合同授業を実施できる状態を構築できるよう支援する
《ICTを活用した学びを推進するための教員研修の在り方》
【研究の目的】
ICTを活用した研修講座の企画・運営による運営者の指導力向上やその受講者がICTを活用した学びの在り方やよさを理解することによって、通常の教育活動において1人1台パソコンを活用した授業を実践できるようにし、本道教育の充実及び発展を図る。
【研究の具体】
▼1年次
▽1人1台パソコンを活用した教員研修の体制整備の状況等について、先進県の研修センター等を視察し、情報収集する
▽道内の教育委員会および学校におけるICTを活用した教員研修等の状況について情報収集を行う
▽道研における研修講座への1人1台パソコンの活用について、場面や効果について検討し、すべての研修講座において試行実施する(2学期以降、研修講座内の1コマ、時間も短時間)
▽授業で活用できる場面については、研究研修主事等の研修会等を通じて、アイデア例を準備し、受講者に情報提供できるようにする
▽研究研修主事等が教育クラウドを活用した研修講座を運営できるよう、日常業務等でも積極的に活用し、そのスキルを身に付ける
▽教育の情報化に対応した小・中・高の各教科の指導計画や高校の授業モデル(本庁ICT教育推進課と連携)を作成し、仮称・ICTを活用した授業づくりアーカイブとして、道研ホームページ上で公開するとともに、全道の教員から情報提供のあった実践記録についても随時、発信を行う
▼2年次
▽1年次の成果と課題を分析し、4月からの道研の研修講座において、1人1台パソコンを活用した研修講座を実施し、受講者に自分の授業でどのように活用するかを具体的にイメージさせ、受講後の実践を促す
▽2ヵ月後にアンケート等を活用し、1人1台パソコンを活用した授業実践例を収集し、道研のホームページ上で公開する
▽引き続き、仮称・ICTを活用した授業づくりアーカイブに公開する指導計画の作成と、全道の教員の実践記録の収集と発信を行う
▼3年次
▽1・2年次の成果と課題を踏まえ、道研の研修講座の内容を深化させる
▽道研の研修講座内で、受講者同士の1人1台パソコン活用の事例を紹介する場面や授業構想について協議する時間を設けるなどして、受講者自らが今後の授業改善に生かせるよう支援する
▽引き続き、仮称・ICTを活用した授業づくりアーカイブに公開する指導計画の作成と、全道の教員の実践記録の収集と発信を行う
《ICTを活用した遠隔教員研修の在り方》
【研究の目的】
インターネットパブリッククラウドサービスを活用した双方向の遠隔配信による観察・実験の効果的な研修方法を開発することによって、本道の理科教育にかかる教員間のネットワークを構築し、広域性を踏まえた理科教育の充実および発展を図る。
【研究の具体】
▼1年次
▽擬似的な体験活動を含めた、双方向の遠隔配信による効果的な研修講座の方法について検討する
▽インターネットパブリッククラウドサービスの運用が所内で確立されるまでの期間、現行のシステムによる映像配信を通した遠隔ならではの研修講座の在り方を研究し、講座で運用する
▼2年次
▽1年次に移行した新しい遠隔配信システムを用いて、講師と受講者および受講者同士の効果的なインタラクションを可能とする研修方法を確立させる
▼3年次
▽2年次に本研修を受講した受講者の中から先進的な授業を行っている教諭を選定し、遠隔配信システムを通して希望者が当該教諭の授業を受講できるシステムの確立を図る
《地域におけるキャリア教育とキャリア・パスポートの活用の在り方》
【研究の目的】
キャリア・パスポートを含めたキャリア教育の意義や効果についての調査、実践・検証および成果の発信によって、教職員がキャリア教育の意義を踏まえ、効果的に指導の改善を図るなどして、キャリア教育の充実を図る。
【研究の具体】
▼1年次
▽市町村教委におけるキャリア教育の推進
・キャリア教育の推進状況の検証
・道内の各自治体におけるキャリア教育の現状の把握
・キャリア教育と社会教育およびコミュニティ・スクール、小中一貫教育との関連の検討
▼2年次
▽キャリア・パスポートの効果的な活用の在り方
・キャリア・パスポートにかかる道内の先進事例収集
・児童生徒が自己の生き方を見つめ、成長を実感できるキャリア・パスポートの効果的な活用や、意義についての理論研究
▼3年次
▽キャリア・パスポートの効果的な活用の在り方
・キャリア・パスポートの効果的な活用に向けた実践・検証
・eポートフォリオとの関連を図ったキャリア・パスポートの作成の検討
《ICT環境を基盤とした先端技術や教育データの効果的な活用の在り方》
【研究の目的】
クラウドを活用した教育データの効果的な収集・活用の在り方を研究することによって、各学校がICT環境を整備し、未来の教室における個別に最適化された学びの実現を図る。
【研究の具体】
▼1年次
▽研究協力校における実践的な運用管理にかかる調査研究
・クラウド活用に当たっての基礎知識集の作成
・クラウドの導入および運用管理の検証と支援
・eポートフォリオの現状と課題の整理
▼2年次
▽大学や研究協力校と連携した学びのデータに関する調査研究
・クラウドを利用したデータの収集・蓄積・共有と分析
・検証システムの構築
▼3年次
▽大学や研究協力校と連携した実践検証の実施
・検証システムの成果と課題の整理
(道・道教委 2020-07-16付)
その他の記事( 道・道教委)
道立図書館の市町村活動支援事業 利用促進へ基本姿勢確認 喜茂別と様似で運営相談等
道立図書館は6月下旬の2日間、同館職員による市町村活動支援事業を行った。初日は喜茂別町立喜茂別中学校の学校図書館を訪れ、棚表示のポイントを説明したほか、利用促進のための企画を紹介。2日目は...(2020-07-17) 全て読む
道教委 初の自殺予防教育検討会 ほっとプラス活用を 教員を支援する環境必要
道教委は9日、道庁別館西棟で第1回自殺予防教育検討会を開いた。ウェブ会議サービスを通して検討会委員を務める有識者4人が参加し、自殺予防教育推進上の課題を協議。自殺の可能性が高い子どもに対処...(2020-07-17) 全て読む
校内放送活用した非行等防止教室 元年度は282校実施 高・特でも対応へ 道警
道警は、令和元年度の小・中学校の校内放送を活用した非行および犯罪被害防止教室実施状況をまとめた。実施校数は282校、実施率は17%と前年度よりやや減少したが、旭川方面では11ポイント増の2...(2020-07-17) 全て読む
上川局が教育長会議・働き方改革推進会議 不祥事根絶へ指導徹底 コロナ感染防止の方策確認
【旭川発】上川教育局は7日、上川合同庁舎で第2回教育委員会教育長会議と学校における働き方改革推進会議を開いた。23市町村から教育長らが出席。各課担当者から所管事項について説明を受けるととも...(2020-07-17) 全て読む
小玉教育長 白糠町庶路学園などへ 現場視察を本格化 特色ある教育活動など確認
【釧路発】道教委の小玉俊宏教育長は14日、就任後初となる学校等視察を行った。白糠町立庶路学園などを訪問し、担当者から説明を受けたほか、自らの目で教育現場の最前線を確認。新型コロナウイルス感...(2020-07-16) 全て読む
北の大地☆子ども未来づくり 年度内に待機児童ゼロ 道が第4期計画を策定
道は、第4期北の大地☆子ども未来づくり北海道計画をまとめた。計画期間は令和2~6年度の5年間。基本目標に「結婚や出産を望むすべての人々の希望がかなえられ、子どもたちが幸せに育つことのできる...(2020-07-16) 全て読む
遠隔教育センター創設を 全連小 文科省に10項目要望
全国連合小学校長会(=全連小、喜名朝博会長)は9日、文部科学省に「小学校教育の充実に関する文教施策ならびに予算についての要望書」を提出した。人的・物的措置の一層の充実と教育諸条件の整備に向...(2020-07-16) 全て読む
道教委 端末整備で懇談会 生徒1人1台実現へ 秋ころに道立高校の計画案
道教委は15日、道庁別館で高校における1人1台端末環境の実現に向けた有識者懇談会を開いた。出席者からは、BYOD(家庭用端末の学校への持ち込み)の活用、端末・ルーターの貸与など低所得層への...(2020-07-16) 全て読む
道教委 新任校長研オンデマンド配信 人を動かす力が大切 講話で相馬教育指導監指摘
道教委は、本年度公立高校・特別支援学校新任校長研修会をオンデマンド配信で実施している。相馬哲也教育指導監が「学校経営の課題と校長の役割」と題して講話。校長としての心構え、「使命感と責任感」...(2020-07-16) 全て読む
ICT活用授業改善プロジェクト アプリを駆使 指導力向上 十勝局・清水高が研修会開く
【帯広発】十勝教育局と清水高校(吉村教賢校長)は13日、ICTを活用した授業改善プロジェクト特別企画として、管内高校教職員を対象に研修会を開いた。10人が参加。清水高のデジタルノートアプリ...(2020-07-16) 全て読む