道教育大教職大学院改組が認可3コース新設 定員80人 9月に要項 説明会も順次(学校 2020-08-26付)
道教育大学は24日、文部科学省から令和3年度からの教職大学院改組の認可を受けた。専門職学位課程に「教科指導・授業開発」「特別支援教育」「養護教育」の3コースを新設して計6コースとするほか、定員を従来の45人から80人へと拡大。9月上旬にも学生募集要項を公表して募集を開始する。入試説明会は札幌・旭川・釧路・函館の4校で順次開催しており、29日の札幌地区の説明会は対面・オンラインの両方で実施する。
道教育大は平成20年度、教員養成に特化した専門職大学院として教職大学院を設置。これまで400人を超える修了生を輩出している。
学校経営力を強化する管理職と教科指導力や学校経営力を強化する中核的教員の育成、特別支援教育や養護教育を担う教員の一層の力量形成を図るため、3年度から対応するコースの新設を計画。24日付で文科省の認可を受け、定員を決定した。
具体的には、専門職学位課程において、従来の「学校組織マネジメント」「教職キャリア形成・研修デザイン」「子ども理解・学級経営」に、「教科指導・授業開発」「特別支援教育」「養護教育」を加えた全6コースとする。保護者・地域住民・関係機関との協働体制づくりやいじめに関する理論・指導の実際など、複数コース対応科目も設ける。
対象は、「学校組織マネジメント」「教職キャリア形成・研修デザイン」が現職教員、「子ども理解・学級経営」「教科指導・授業開発」「特別支援教育」「養護教育」が現職教員と学部直進者(学部卒業後の大学院進学者)となっている。
修士課程の学校教育専攻、教科教育専攻は廃止。これに伴い、専門職学位課程の入学定員を従来の45人から80人に拡充する。9月上旬に学生募集要項を公表する予定。
入試説明会は順次開催。新教職大学院の概要、コース、カリキュラム、実習や入試に関する説明や、模擬授業などを実施し、個別相談にもきめ細かに対応するとしている。
29日の札幌地区の説明会は、対面とウェブ会議システムによるオンラインの併用で実施し、オンラインの場合は事前申し込みが必要となる。
説明会の日程、教職員大学の概要はつぎのとおり。
【説明会日程】
▽札幌校=8月29日(対面は申込不要、オンラインは要申込)、11月3日(申込不要)
▽旭川校=10月9日(要申込)、11月28日(要申込)
▽釧路校=10月4日(申込不要)、11月1日(申込不要)
▽函館校=11月21日(要申込)
【新教職大学院の概要】
▼修業要件
標準修業年限は2年間で、所定の単位を取得した人に教職修士(専門職)の学位が授与される。現職教員(教育委員会派遣者)向けの短期履修学生制度、長期履修学生制度(3年または4年)、小学校または中学校教諭1種免許取得のための教員免許状取得特別プログラム(3年)など、興味・関心に合ったコース、科目を履修することができ、必要に応じて自分に合ったプログラムを選択することができる。
▼専修免許状
一定の科目履修によって、教育職員免許状1種に対応する以下の専修免許状の取得が可能となる。
▽幼稚園教諭専修免許状
▽小学校教諭専修免許状
▽中学校教諭専修免許状(各教科)
▽高校教諭専修免許状(各教科)
▽養護教諭専修免許状
▽特別支援学校教諭専修免許状
【新教職大学院のコース】
▼学校組織マネジメントコース(現職教員)
国や北海道の教育改革の方向性を理解し、社会の変化、保護者・地域等の期待を踏まえて、目指す学校の姿を経営方針やグランドデザインとして示すとともに、達成するための方策や評価・改善の仕組みを具体化して、教職員や地域等との協働による学校・園の経営を行うことができる人材を育成する。
▼教職キャリア形成・研修デザインコース(現職教員)
校長等の経営方針のもと、学校のねらいを達成するため、保護者、管理職や同僚、地域等と協働して実践するほか、必要に応じて自ら課題解決のための企画を提案し、ミドルリーダーとして職場の協働体制の充実・推進を果たすことのできる人材を育成する。
▼子ども理解・学級経営コース(現職教員、学部直進者)
学校における子どもを理解し、その成長・発達に寄り添うとともに、保護者、同僚や地域等と協働して、子どものニーズに応じた支援を行いながら、学級を単位として展開される様々な教育活動を推進することのできる人材を育成する。
▼教科指導・授業開発コース(現職教員、学部直進者)
各教科の専門性を獲得するとともに、子どもの学力・関心等の実態を把握し、保護者、同僚や地域等と協働して、子どもの学びが深められるような実践的指導力を高め、各教科の教材を開発し、授業実践に生かすことのできる人材を育成する。
▼特別支援教育コース(現職教員、学部直進者)
障がいのある子どもの自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援し、保護者、同僚や地域等と協働して、子どもの生活や学習上の困難を改善・克服する専門家として、特別支援学校や特別支援学級の教育に貢献することのできる人材を育成する。
▼養護教育コース(現職教員、学部直進者)
養護教諭として、保健管理、保健教育、健康相談、保健室経営、保健組織活動に関する専門的実践力を深め、保護者、同僚や地域等と協働して、子どもの心身の健康問題に対応する専門家として、学校教育に貢献することのできる人材を育成する。
【開設科目】
▼共通科目(必修)
▽今日的学力・能力観とカリキュラム・マネジメント
▽インクルーシブ教育の理念と教育課程
▽ICTを活用した教育の実践と課題
▽アクティブ・ラーニングの理論と実践
▽特別支援教育の視点からの学習指導
▽子どもの発達と学習
▽教育相談の理論と実際
▽生徒指導の実際と今日的課題
▽学級・学年経営の理論と実践
▽学校危機管理の実際と課題
▽教師のメンタルヘルスとエンパワメント
▽学校における組織的な人材育成と授業改善
▽教育実践研究へのアプローチ
▽北海道の教育課題解決へのアプローチ
▼道教育大の特色ある領域科目
▽地域性を生かした総合的な学習(選択)
▽道徳教育の理論と実践(選択)
▽プログラミング教育の実践と課題(選択)
▽へき地・小規模校の実際と課題(選択)
▽教育情報資源と学びの環境・指導(選択)
▽個別の教育的ニーズのある子どもへの対応I(選択)
▽個別の教育的ニーズのある子どもへの対応Ⅱ(選択)
▼学校組織マネジメントコース
▽学校組織マネジメントの理論(必修)
▽管理職に求められるリーダーシップ(必修)
▽学校運営と教育法規(必修)
▽教員の働き方と校務の効率化(必修)
▽学校組織マネジメントの実践的展開(必修)
▽学校経営戦略の分析と策定(必修)
▽社会に開かれた学校
▽教育行政マネジメントの理論と実際
▽学校事務の職務と連携方策
▼教職キャリア形成・研修デザインコース
▽教師としてのキャリア・デザイン(必修)
▽学校運営におけるミドルリーダーの役割と課題(必修)
▽授業研究の理論と実践(必修)
▽カリキュラム・マネジメントのためのデータの分析と活用(必修)
▽学校と教員の文化
▽教師の実践研究ネットワークの形成(必修)
▽校内研修デザインの理論と実践I
▽校内研修デザインの理論と実践Ⅱ
▽学級・授業づくりを通した教師支援(必修)
▼子ども理解・学級経営コース
▽子どもと教師の関係づくり(必修)
▽子どもの問題行動の実際と実践的対応(必修)
▽学級経営の実際と課題I(必修)
▽学級経営の実際と課題Ⅱ(必修)
▽子どもと社会(選択必修)
▽学級経営と授業づくり
▽道徳を基盤とした学級経営
▽キャリア教育の実際と課題(選択必修)
▽現代的課題に対応した学びのコミュニティづくり
▽授業における子どもの行動と心理(選択必修)
▽子ども理解のためのアセスメント(選択必修)
▽教育課程編成と学級経営
▼教科指導・授業開発コース
▽授業デザインの基礎(必修)
▽教科横断的な視点に立った授業開発(必修)
▽学習評価の理論と実際(必修)
▽総合的な学習の時間の実践と課題(必修)
▽教科教育研究の理論Ⅰ(選択必修)
▽教科教育研究の理論Ⅱ(選択必修)
▽教科教育研究の実践と展開Ⅰ(選択必修)
▽教科教育研究の実践と展開Ⅱ(選択必修)
▽教科内容の体系Ⅰ(選択必修)
▽教科内容の体系Ⅱ(選択必修)
▽教科内容研究(各教科各分野)
▽教材内容・教材開発(各教科各分野)
▼特別支援教育コース
▽特別支援教育の教育課程と授業の在り方(必修)
▽特別支援教育における教育相談と保護者支援(必修)
▽特別支援教育コーディネーターの役割と課題Ⅰ(必修)
▽特別支援教育コーディネーターの役割と課題Ⅱ(必修)
▽特別支援教育のシステムと実際
▽障がいのある子どもの理解と支援I(必修)
▽障がいのある子どもの理解と支援Ⅱ(必修)
▽障がいのある子どもの理解と支援Ⅲ
▽障がいのある子どもの理解と支援Ⅳ
▽障がいのある子どもの理解と支援Ⅴ
▽現代社会と障がい児・者
▽発達障がいの心理・行動特性に基づく指導と支援
▽特別支援教育の現代的課題と教育実践
▽特別支援教育の実践と理論
▽特別な支援を必要とする児童生徒のアセスメントI
▽特別な支援を必要とする児童生徒のアセスメントⅡ
▼養護教育コース
▽保健組織活動におけるマネジメント(必修)
▽養護活動と保健教育(必修)
▽養護実践の理論と方法(必修)
▽子どもの心身の健康における協働的援助(必修)
▽学校における保健教育の意義と課題
▽カリキュラム・マネジメントを踏まえた保健教育の実際
▽子ども・地域のアセスメントの理論と保健教育(必修)
▽保健組織活動とエンパワメント
▽学校における医学的課題と探索的研究
▽養護教諭の実践と研究的視点
▽学校医療安全とリスク・クライシスマネジメント
▽学校医療安全と子どもの安全への実践的対応(必修)
▽養護教諭の教育活動とキャリア形成
▽保健室経営の位置付けおよび理論と実践
▽生徒指導と学校カウンセリングの実践と課題
▼複数コース対応科目
▽保護者・地域住民・関係機関等との協働体制づくり
▽いじめに関する理論と指導の実際
▽学校教育の現代的課題とその対応
▽校務の情報化推進の理論と実践
▽校種間接続カリキュラム構築の理論と実践
▽学校における外国語教育の推進
▽教育相談のケース・スタディ
▽生徒指導のケース・スタディ
▽教育調査のための統計I
▽教育調査のための統計Ⅱ
(学校 2020-08-26付)
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