道教委 3団体と教育懇談会 働き方改革や教育情報化 3年度道文教施策要望で回答(道・道教委 2020-08-27付)
さらなる高校教育の充実を目指した
道教委と道高校長協会(廣田定憲会長)・道高校教頭・副校長会(瀧澤共喜会長)、道公立学校事務長会(坂井秀昭会長)との令和3年度道文教施策要望にかかる教育懇談会が24日、道庁別館で開かれた。3団体が掲げる重点要望事項について意見を交換。要望した中で、特に重要な課題として取り上げた働き方改革推進、教育の情報化の環境整備などについて、道教委は回答で、さらなる高校教育の充実に努めていく考えを示した。
開会に当たり、山本純史学校教育局指導担当局長があいさつ。新型コロナウイルス感染症の現状についてふれ、「道内の高校生の感染について、札幌市立を含め、今のところ集団感染拡大につながった事例は確認されていない。校長のもと感染防止に徹底されていること、保護者や子どもの感染症に対する意識の高まりなどがみられる」とし、6月の学校再開から短い夏休みを経た中で、各学校で行事の中止や日課の変更など、様々な支援に努めていることに敬意を表した。
仮に第3波が来た際、臨時休業や授業時数確保、進路への対応などについて、「引き続き、感染防止対策に万全を期していただき、教職員や生徒の安全確保、教育活動の影響を最小限にできるよう取組を進めてほしい」と述べた。
文教要望については、重点要望の働き方改革推進、教育情報化の環境整備、学校事務改善など、「道教委としても最重要課題と認識している。相互理解のもとで、高校教育の充実に努めていけるよう期待する」と呼びかけた。
続いて、廣田会長があいさつ。
本年度は要望事項を32項目のうち重点を11項目まで絞ったことを踏まえ、「特に重要な課題として取り上げた11項目について、要望の趣旨や背景にある現場の実情について説明する」と表明。
その上で、「私たち管理職は教育施策を推進する立場であり、やらないという選択肢はない。道教委に現場を理解していただくとともに、教育行政の実情に理解を示す必要がある。学校、生徒、教職員のために、“何が必要なのか”“何ができるのか”を共有し、本道の高校の教育の改善・充実に努めていきたい」と述べた。
◆文教施策要望への道教委回答
令和3年度道文教施策に関する要望に対する道教委の回答はつぎのとおり。
Ⅰ教育にかかる制度および施設・設備の課題について
1 学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」〈重点〉
北海道アクション・プランに基づく働き方改革を進めるため、運動系部活動指導員の待遇を改善し、人数・時間を拡充することを要望する。
また、チーム学校の実現のために、スクールカウンセラーのさらなる配置拡充およびスクールソーシャルワーカーの派遣拡充を推進するとともに、複雑多様化する課題への適切な対応を図るため、スクールロイヤー制度の確立を要望する。
さらに、スクール・サポート・スタッフの配置や調査の精選等、学校事務負担の軽減を要望する。
【回答】
これまでも、チーム学校の実現に向けて、部活動指導員などの専門的な知識や経験を有するスタッフの配置拡充に努め、専門スタッフを活用した業務改善に取り組んでいる。
今後とも引き続き、専門スタッフの配置充実・拡大について、必要な財源措置を行うよう国に対し要望していく。
スクールロイヤーについては、平成17年から、法律相談を要すると思われる事案が生じた場合に適切に対応するため、道教委の嘱託弁護士による法律相談体制の整備を図り、具体的な対応方法等の支援を行ってきており、こうした制度の活用を含め、国の動向等も踏まえながらスクールロイヤー制度の在り方について検討していく。
また、現行制度上、高校は補助対象外となっているスクール・サポート・スタッフについても、その必要性などについて検討していく。
調査業務等の見直しについては、調査の精選を図るとともに、提出期間を十分に確保し、一定期間に調査業務が集中することのないよう取り組むほか、調査以外の届出や報告などの簡素化、提出を義務付けている手続きの見直しを全庁的に行ってきており、引き続き取組を進めていく。
2 教育の情報化のための環境整備〈重点〉
GIGAスクール構想に伴う教育の情報化を推進するため、教員や生徒への端末の配布、Wi―Fi環境の充実、プロジェクターの配置など、オンライン授業に対応できる環境整備を要望する。
また、校内の情報システムの管理やセキュリティ対策、機器のメンテナンスなどを担う専門的スキルを有するICT支援員の配置ないし派遣を要望する。
【回答】
教員の学習用の端末および大型提示装置については、本年度から順次整備を進めており、引き続き計画的に整備していく。
生徒用の端末については、GIGAスクール構想の前倒しによって、本年度中に義務教育段階で1人1台端末が整備される見通しとなり、高校においても整備の必要性があることから、道立高校の1人1台端末環境の在り方について、高校における1人1台端末環境の実現に向けた有識者懇談会を開催し、年度内に方向性を取りまとめるとともに、国に対し必要な財政支援を要望していく。
道立高校のWi―Fi環境整備については、本年度、教育情報通信ネットワーク環境整備工事を190校において実施し、普通教室、職員室および特別教室等に無線LANアクセスポイントを設置する。
ICT支援員については、国に対し、新たな職として学校教育法等に位置付けることや、配置促進のための補助制度新設などを要望してきており、今後も引き続き必要な対応を行っていく。
3 校務支援システム
校務支援システムについては、調査書の電子化、新学習指導要領の実施に伴う生徒指導要録の様式改訂に向けて必要な改修の方針およびスケジュールを明確にし、準備期間に十分配慮した対応になるよう要望する。
【回答】
校務支援システムについては、4年度からの新学習指導要領実施に向け、現在、改修の内容やスケジュールについて検討しているところであり、学校における準備にも十分配慮し、情報共有しながら進めていく。
4 学校事務の改善〈重点〉
道立学校運営支援室および教職員事務課の業務が、学校と連携のもと円滑に行われ、より効率的な学校事務が進められるよう要望する。
また、学校における事務改善の効果についての検証を早急に行い、業務量に応じた人員配置や業務改善を要望する。
【回答】
教育局道立学校運営支援室への業務集約や、道立学校における事務改善の状況等を検証するため、平成30年度に、上川および日高管内において事務改善検証会議を開催し、成果や課題の検証を行った。
課題に対する対応としては、令和元年度において、事務長会や事務職員協会における会議や研修の機会を活用し、意見交換の場を設けるとともに、財務実務研修を隔年実施から毎年実施にし、研修機会の拡充を図っている。
また、予算経理システムについて、利便性の向上や業務の効率化を図るため、必要なプログラム改修を2年3月に行っている。
2年7月には事務処理要領の改正を行い、物品検査にかかる書類送付の簡素化を行い、事務処理効率の向上を図った。
今後は、上川および日高管内における事務改善検証会議の検証結果を踏まえ、引き続き、道立学校と教育局道立学校運営支援室との事務処理上の意見交換を進めるとともに、事務処理の手引きの内容充実などの事務処理方法の改善に向け検討を進める。
5 特別支援教育の推進
高校における特別支援教育を充実させるため、特別支援教育支援員の拡充や通級による指導が必要な学校には、専門的な知識・技能を有する教員の加配など指導体制の充実を図ることを要望する。
【回答】
道立高校への特別支援教育支援員の配置については、高校における特別支援教育支援員配置事業を実施し、発達障がいを含む障がいのある教育上特別な支援を必要とする生徒が在籍する道立高校のうち、当該校の対象生徒の人数や支援の内容、教員の配置数などを考慮し、きめ細かな個別の支援を行うことが難しい状況にある学校を指定し、配置している。事業を開始した平成25年度は8校に配置し、その後、徐々に配置校数を拡充してきており、令和元年度は13校、2年度も同様とする予定。
通級による指導については、国の予算を活用した加配教員を配置して実施しているところであり、元年度の配置校数は4校で、2年度も同様としている。
今後も、引き続き、高校への特別支援教育の一層の充実を図るために必要な財源措置について、国に要望していく。
6 学校図書館の充実
道子どもの読書活動推進計画第4次計画目標指標「令和4年度までに70%の高校に学校司書を配置」の実現を図るため、司書資格を有した専門性のある学校司書(改正学校図書館法による)の計画的な配置を要望する。
【回答】
学校図書館担当事務職員(いわゆる学校司書)については、高校標準法に準拠し、12学級以上の全日制高校に事務職員を1人定数措置しているが、さらなる措置については、国による定数改善が必要と考えており、引き続き、学校図書館機能の充実のための標準法による定数措置の新設について国に要望するとともに、高校図書館の課題等を整理するとともに、学校図書館司書に求められる役割や業務内容を明確にし、配置の在り方について関係課と協議の上、検討を進めていく。
7 定通教育の充実
定時制通信制高校については、教育条件の充実に向けた施策を推進することを要望する。
特に、通信制については、協力校の小規模化が進行する中、協力校体制の維持・向上に向け、面接指導における遠隔システムの活用の検討や協力校配置の見直しを図ることを要望する。
また、各校の実情に合った地方指導員の配置や面接指導講師の確保に十分配慮することを要望する。
【回答】
定時制通信制高校については、様々な入学動機や学習歴をもつ生徒の多様な学習ニーズに応えていくため、広域な本道においては協力校の存在が不可欠であると考えている。
こうしたことから、協力校における指導体制の充実のため、地方指導員の複数配置などの支援を行ってきており、今後においても支援の充実に努めていく。
また、面接指導における遠隔システムの活用については、高校通信教育研究協議会においても要望があり、今後、実施校(有朋高校)と相談しながら、実施に向けての課題を整理するなどして、検討していく。
面接指導講師の確保については、引き続き、当該校の近隣の高校による協力・支援体制の構築に努める。
8 施設・設備の整備〈重点〉
老朽化の著しい校舎および寄宿舎の整備を計画的かつ着実に進めることを要望する。
産業教育に対する時代の要請に応えることができるよう、産業教育実習装置を含めた専門教育・職業教育に関する施設・設備については、早急に予算措置することを要望する。
【回答】
校舎等の整備については、学校と協議しつつ、緊急性や優先度を判断しながら実施している。厳しい財政状況や公立高校配置計画などを踏まえ、引き続き、計画的な整備に努める。
専門教育・職業教育に関する施設・設備についても引き続き、学校と協議しながら、専門教育、職業教育の充実のために必要な予算確保、整備に努めていく。
9 寄宿舎等へのAED設置
生命にかかわるような事態に迅速に対処することのできる危機管理体制を構築するため、必要とされる場所、特に生徒が日常的に生活を送る寄宿舎においてAEDを設置することを要望する。
【回答】
AEDを用いて早期の除細動を行うことは、心停止者の救命に有効であるとされる。
学校においては、児童生徒の不測の事態に備えることが重要であることから、道教委では、現在、道立学校全校に1台、AEDを整備しており、国や他都府県の整備状況等を注視しながら、今後の整備の在り方について検討していく。
Ⅱ 学校の運営費等について
1 学校運営費の増額および配分〈重点〉
適正かつ円滑な学校運営のため、学校運営費の増額を図るとともに、学校・学科の実態や特色に即した教育活動の予算措置に配慮することを要望する。
【回答】
道財政が厳しい状況にあるが、学校運営費については、学級数が前年比で2・6%減少していることに対し、0・7%の減にとどめているところであり、今後とも、学校の実情に応じた、必要な予算の確保に努めていく。
2(1)普通旅費および研修旅費の確保
教職員の研修旅費、新規学卒者求人確保対策費(旅費)等を引き続き確保することを要望する。
【回答】
教職員の研修旅費については、平成24年度から、学校の小規模化に対応するため、事業名を校内・地域教職員研修促進費とし、複数の学校が合同で研修を行うことができる地域連携型の地域連携研修に対応することを可能にするとともに、26年度からは新たに特別支援学校を対象とするなど拡充を図ってきており、引き続き必要な予算の確保に努めていく。
また、新規学卒者求人確保対策費(旅費)については、令和2年度は道職員の旅費に関する条例の改正(日当の見直し)等によって減額となっているが、引き続き、必要な予算の確保に努めていく。
2(2)修学旅行引率旅費等について
貸切りバスなど各種料金の大幅な値上がりや地域の交通事情を踏まえた予算を確保することを要望する。
また、配分基準教員数の激変緩和措置を継続するための予算を確保することや特別な配慮が必要な生徒の引率にかかる教員の増員など学校事情に引き続き対応することを要望する。
【回答】
修学旅行引率旅費については、生徒数の減少に伴う引率教員数の減少や、旅費の制度変更等によって減額となっているが、配分基準については改訂していない。引き続き必要な予算の確保に努めていく。
修学旅行の実施に当たっては、修学旅行のねらいを踏まえるとともに、保護者の経済的負担に十分に配慮し、配分基準の範囲内となるよう計画していただきたいと考えている。
3 公費負担による口座振替
学校徴収金や団体会計については、公費に準じた取扱いになっていることから、金銭事故防止および学校事務の効率化の観点からも、引き続き公費負担による口座振替を実施することを要望する。
【回答】
引き続き、口座振替にかかる経費の確保について努めていく。
4 道高校奨学会奨学金の支給方式
道高校奨学会奨学金について、学校の事務負担軽減のため、自己申請制度を設定し、直接、奨学会から個人へ支給する方式を取り入れるよう、奨学会に働きかけることを要望する。
【回答】
道高校奨学会奨学金の支給方法については、高校奨学会に対して要望の趣旨を伝えていく。
5 高校体育活動への道費補助
体育活動振興のため、高体連・定通体連に対する補助金の予算を確保することを要望する。
【回答】
高体連および定通体連に対する補助金については、引き続き予算の確保に努めていく。
Ⅲ 教職員関係について
1(1)教職員加配の弾力的な運用と拡充〈重点〉
学校や生徒の実態に即し、創意工夫を生かした学校改善、研究指定校事業の取組の充実、学習指導・生徒指導の質の向上、特別支援教育への対応、働き方改革の推進などに積極的に取り組めるよう、国の教職員加配に加え、道独自の加配など、弾力的な運用と拡充を図ることを要望する。
【回答】
現在、普通科における多様な教科・科目の開設校や職業系類型・コース開設校、数学・英語・情報の教科における少人数指導実践校、教育指導上特別な配慮が必要な生徒への対応や通級による指導の実施が必要な学校などへ、国の加配を活用し、教員を配置している。
加配の拡充については、国による定数改善が必要と考えており、定数措置の拡充について、引き続き国に要望していく。
なお、道独自での加配を現行以上に拡充することは、難しいものと考えている。
1(2)講師時間数増と配当時数の弾力化
生徒の実態に応じて多様な選択教科・科目を設定するため、学校の実情に十分配慮して講師時間数を増やすとともに、3間口以下の学校についても、間口数や学校の実態に応じた講師時間数の配当を図ることを要望する。
【回答】
講師時間数については、高校標準法で算定される定数を振り替えて措置しており、講師時間数を大幅に増やせない状況であり、学校の実情や教員配置の状況等を踏まえ、個々に対応を協議していく。
なお、普通科9学級以下の学校については、定数を講師時間数に振り替えるなど、対応を協議していく。
1(3)外部講師等の確保
グローバル化への対応や外国語教育および総合学科における教育活動の充実のため、民間非常勤講師の時間数確保を要望する。また、ALTの配置を含む外国人講師の拡大について配慮することを要望する。
【回答】
ALTについては、現在、JETプログラムによる外国からの招致青年62人を学校に配置している。
学校配置ALTの配置については、道財政が厳しい中、現状維持を図るほか、教育局配置から学校配置への切替を進め、学校におけるALTの活用の時間を確保するなどの充実を図ってきており、今後とも、必要な予算の確保に努めていく。
総合学科については、学科の特性を踏まえ、配置教員での指導が困難な分野・領域について、専門的な知識または技術を有する非常勤の民間講師を配置するための予算を措置しており、今後においても、必要な予算の確保に努めていく。
2(1)教職員の人事
人事異動要綱・実施要領については、一部改正後の実施状況を検証し改善を図ることを要望する。
【回答】
令和2年度当初人事は、全教職員に占める異動者の割合が前年度を2・4ポイント上回る結果となっており、前年度改正した人事異動実施要領に基づき、都市部の長年勤務者の異動を積極的に行ったことが、異動率上昇の大きな要因であると考えている。
今後も人事異動実施要領の厳格な運用を図るとともに、都市部の長年勤務者の解消や都市部と郡部間の異動の促進などの課題等について検証していく。
2(2)行政職員にかかる人事〈重点〉
行政職員については、業務の円滑な遂行と相互けん制の確保をするため定数改善を要望する。また、事務主任を適切に配置することを要望する。
【回答】
行政職員の定数改善については、国による定数改善が必要と考えており、学校の運営体制強化のための定数措置の拡充などについて、国に要望していく。
行政職員の人事については、人事異動方針に示す考え方に基づき、学校の実態を踏まえながら、適切な人員配置となるよう努めていく。
2(3)管理職にかかる人事〈重点〉
ア 減少している教頭の候補者を確保し、教頭未配置校をつくらないために、給与等の待遇改善や特殊事情による勤務地への配慮など、具体的かつ実効性のある方策を早急に検討することを要望する。
【回答】
能力と意欲のある教頭候補者を確保するため、前年度、教頭候補者選考における資格要件を緩和するとともに、受検者の負担軽減のため、教諭から受検する場合には、筆記選考を免除するなどの方策を講じた。
引き続き、人材確保を図るための方策について検討するとともに、特殊事情がある場合の勤務地については、校長と十分協議しながら個別に対応していく。
教職員の給与については、人事委員会の勧告を尊重することを基本とするとともに、他府県の状況等を踏まえ、検討していく。
イ 副校長の配置については、学校組織運営体制の一層の充実を図る観点から、支部長校をはじめ、学校の実情に応じて、加配として配置することを要望する。
【回答】
副校長の配置については、高校標準法に準拠して配置している教頭複数配置校の範囲内で、複数教頭のうち1人を副校長とすることとしている。
複数配置校の拡充については、国による定数改善が必要と考えており、定数措置の拡充について、国に要望している。
なお、道独自での加配は難しいものと考えている。
今後の配置については、学級数や学科の状況などを基に検討していく。
2(4)主幹教諭配置にかかる講師時間数の配分
主幹教諭の職務を遂行するために、授業担当時間数を軽減できるよう、講師時間数を配分することを要望する。
【回答】
校長のリーダーシップのもと、学校の組織運営体制の充実を図るため、平成27年度から道立学校に主幹教諭を配置している。
国では、現状として、小・中学校では主幹教諭の負担軽減するための加配をメニュー化しているが、高校・特別支援学校ではメニュー化しておらず、道独自での措置は難しいため、加配措置等について、引き続き、国へ要望していく。
2(5)新採用者の確保〈重点〉
ア 教員希望者の減少や採用登録辞退者の増加を踏まえ、優れた人材を確保するため、待遇の改善を図るなど、より効果的な新採用者確保のための方策を講じることを要望する。
【回答】
新採用者の確保について、これまで、つぎのとおり改善を進めてきた。
①一定期間勤務した期限付き教員等を対象とした特別選考検査の実施
②より多くの教員としてふさわしい人材確保のため、第1次選考検査の会場として東京会場を追加
③選考検査実施要領に、募集人員を記載
④教員採用選考検査で登録になり、すぐに働くことができる者を年度途中から採用可能とした
⑤道政広報のYouTubeで選考検査の周知
⑥道内外の養成課程のある大学へ行き、道の選考検査について説明
さらに本年度から、教員採用候補者選考検査において、加点制度、現職教員
特別選考および登録辞退者等特別選考の新設、地域枠を拡大している。
こうした様々な取組に加え、働き方改革の取組を一層加速して働く場として魅力ある学校づくりを継続的に実施していくほか、教員養成課程のある大学の協力を得て、教員を志す学生に積極的に情報発信するなどして、教員としてふさわしい資質や能力を備えたより多くの人材の確保に努めていく。
イ 職業学科の実習を担当する実習助手の採用について、専門性(知識・技術・技能)を有する者の確保に、引き続き十分配慮することを要望する。
【回答】
産業教育を担当する実習助手の採用に当たっては、各受検教科関係の学科を卒業していることなどを受検資格とし、本人の専門性を十分見極め登録している。
なお、多様な経験や実績のある人材を確保するため、平成30年度から年齢要件を49歳以下から59歳以下に引き上げており、今後も専門性を有する者の確保に努めていく。
2(6)教科「看護」「福祉」「芸術」「家庭」「情報」「水産」の教員配置にかかる人事
教科「看護」および「福祉」「芸術」「家庭」「情報」「水産」の教員配置については、地域や学校の実情を考慮の上、教員の確保、積極的な任用、他校との兼務のための条件整備および特別免許状制度の活用など、特段の方策を講じることを要望する。
【回答】
授業時間数の少ない芸術科教科については、地域性等を勘案し、小規模校にあっては、複数免許を所有する教員の確保に努めるとともに、兼務等の制度を積極的に推進していく。
また、看護科や福祉科、水産科の教員配置については、特別免許状制度を活用するなど、地域や学校の実情を考慮し、校長と十分協議しながら進めていく。
2(7)正規採用者および期限付教諭の確保〈重点〉
期限付教諭については、年間を通じてその確保が困難な状況にあり、特に郡部においては学校運営に大きな支障が生じることから、正規採用を確保するための方策を講じることを要望する。また、年度途中の産休・育休等の代替教員の確保が極めて困難な状況であることから、時期を問わず確実に人材を確保することを要望する。
【回答】
正規教諭の採用については、一般選考に加え、不足が見込まれる教科の追加選考および期限付教諭として一定期間の経験を有する人を対象とする特別選考を実施し、人材の確保に努めている。
年度途中の代替教員の確保については、選考検査受検者への採用交渉、ハローワークやホームページ、就職情報誌を通じた募集、教員養成大学への要請など、様々な手段を講じて取り組んでいるところであり、引き続き、欠員が生じることのないよう努力していく。
3 研修の充実強化
職業学科における新採用実習助手等の研修の新設を要望する。
【回答】
新採用実習助手等の研修については、これまでも、学校の要望に応じて、産業教育に関する研修を実習助手も受講できるようにしており、令和2年度からは、新採用の教員等に配布する『学校教育の手引』について、新採用の実習助手にも配布することとしたほか、初任段階教員研修(道教委計画研修1年次(高校))のオンデマンド講座の活用について情報提供するなど、拡充してきており、今後も引き続き、新採用実習助手等の研修機会の確保に努めていく。
4(1)再任用職員の待遇改善
本道の広域性や再任用制度の趣旨を踏まえ、再任用職員にへき地手当、寒冷地手当等を支給することを要望する。
【回答】
再任用職員の給与については、無年金期間の発生による再任用職員の増加や、特定地域への勤務希望者の集中などを考慮し、平成26年4月から、人事委員会勧告に基づき単身赴任手当および住居手当を措置した。
また、再任用職員の給与の在り方については、人事委員会報告において、引き続き検討を進めていくことが報告されており、国や他府県の動向も注視しながら、所要の検討を進めたいと考えている。
4(2)舎監等の待遇改善
寄宿舎を有する学校教職員の業務が過重であることから、働き方改革の観点を踏まえ、舎監の増員もしくは寄宿舎指導員の配置等、加配の措置を要望する。
【回答】
舎監の増員については、寄宿する生徒の数が50人以下の場合を除き、農業経営者育成高校には3人、その他の学校には1人の教員定数を標準法に準拠し措置していることから、増員は難しいと考えている。
4(3)公宅の改築・修繕等
老朽化した公宅の改築や修繕の一層の促進を図るとともに、地域の実情に応じて改築・改修年限の短縮措置を講じるなど、特に郡部の住環境を改善することを要望する。
【回答】
道有施設の長期的視点に立った効率的な施設整備を進めることとし、教職員住宅有効活用プランや教職員住宅長期修繕計画に基づいて、引き続き、経過年数や老朽度、公宅需要等を考慮し計画的に既存公宅の修繕を行っていく。
5 給特法改正等を踏まえた実情に即した条例改正〈重点〉
教職員の働き方改革を推進するために、給特法改正や勤務の割り振り制度を踏まえた上で、現場の現状に即した条例改正を要望する。
【回答】
昨年12月に給特法が改正され、令和3年4月から、公立学校の教育職員に対し、1年単位の変形労働時間制が適用されることとなった。今後、文部科省学から示される予定の省令・指針等を踏まえ、適切に対応していく。
(道・道教委 2020-08-27付)
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