コロナ 差別・偏見防止を 道小 神谷会長 心の教育の重要性説く(関係団体 2020-09-03付)
神谷敦会長
道小学校長会は8月31日、ホテルライフォート札幌で第3回理事研修会を開いた。あいさつに立った神谷敦会長は、小学校高学年からの教科担任制の導入、デジタル教科書の普及・促進など、国の動向を説明。新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見を防止するため、心の教育の重要性を示した。
概要はつぎのとおり。
▼小学校高学年教科担任制
8月20日に開催された中央教育審議会初等中等教育分科会 新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会第12回では、9年間を見通した新時代の義務教育の在り方についての基本的な考え方やねらい、具体的な方向性が示された。
特に、小学校高学年からの教科担任制の導入は、私たち現場にとって直接関係する大きな問題となる。小学校高学年における教科担任制の導入の意図は、心身の発達や抽象的な思考力が高まるといった発達段階を考慮し、また、学習が高度化するこの時期の系統的な指導によって、円滑な中学校への接続を図る必要性があることなどである。
GIGAスクール構想による1人1台端末環境下でICTの効率的な活用と相まって、一人ひとりの学習状況に応じて、教科指導の専門性をもった教師によるきめ細かな指導が可能となる点、さらに、教科担任制の導入によって、教育活動の充実と教師の負担軽減につながる点なども、その理由として述べられている。
こうしたことを踏まえ、令和4年を目途に本格導入するという提案がなされたということである。グローバル化、STEAM教育の充実・強化といった社会的要請の高まりから、その教科に関しては、外国語・理科・算数を対象とすることが考えられるとある。
今後の審議スケジュールとして、来年1月に答申が出される予定である。義務教育9年間を見通した視点からの改革となるが、先ほどの教科が果たしてふさわしいのか、また、専門性をもった人材の確保といった教員定数の問題など、検討が必要な事項がまだまだあるようだ。
全国連合小学校長会からは喜名会長が会議のメンバーとなっており、算数を教科担任制の教科にすることには以前懐疑的な発言をしていた。子どもたちの学びにとって最もよい方法、現場が納得できる方向に向けて、これからも我々の現場の声をたくさん伝えていただきたい。
▼デジタル教科書・教材の普及促進
今後の方向性として、デジタル教科書・教材を普及・促進していくことに完全にシフトしている。
一時は、あくまでも紙の教科書を主体にという方向性が示されていた時期もあったが、コロナ禍における社会状況の変化や今後のGIGAスクール構想に基づくICT機器の普及、また、大量の教科書を持ち歩くことのデメリットなどによって、デジタル教科書普及に向けての話し合いが進んでいくと思われる。今後は、個別最適化された学びの実現に向けて、デジタル教科書をどのように活用していくのかが焦点になりそうだ。
▼ICT環境の整備
同部会では「ICTの活用や対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリット化による指導の実現に向けた教室の在り方」が示された。1人1台の端末の実現に伴い環境の整備が必要になる。感染症対策を行いながら、サイズが大きい新JIS企画の机と、充電保管庫といったICTの関連機器などを教室にどのように配置していったらよいのか、そもそも今の教室の大きさは現状に合っているのかなど、今後新たな環境整備を検討していくこととなる。
▼新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見防止
最後に、先日発出された萩生田文部科学大臣による新学期のスタートに向けたメッセージである。感染しないための最大限の努力はもちろんだが、感染した人たちへの心配りや差別を生まないなどの心の教育などは、我々現場の校長の役割と強く認識して職務に当たりたい。
(関係団体 2020-09-03付)
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