北教組 第124回中央委員会 教育条件整備の予算拡充(関係団体 2020-09-02付)
当面闘争方針などを決定
北教組は8月28日、札幌市内の道教育会館で第124回中央委員会を開いた。木下真一中央執行委員長は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、教育条件整備の予算拡充の必要性を指摘。1年単位の変形労働時間制の一方的な導入を阻止するため、独自に勤務時間の記録に取り組むことで勤務実態を明らかにするなどとする特別決議を採択した。
開会に当たりあいさつに立った木下中央執行委員長は、新型コロナウイルス感染症の影響によって一層過酷な勤務実態になっている学校現場の実態にふれ、処遇改善や大胆な定数改善など、教育条件整備の予算拡充の必要性を指摘。コロナ禍で深刻化した社会を変えることが民主教育確立の根幹とし、対話運動、自主編成運動、組織強化拡大などの運動を積み重ねていくよう呼びかけた。
議事に移り、当面闘争方針を決定。教育格差是正や教職員の超勤・多忙化解消のための教育予算増額に向けた取組、未組織者の早期加入を目指す1000人組織拡大運動の推進などを盛り込んだ。
このあと、教職員の長時間労働是正、組織拡大行動、組合員による情報発信などについて討論した。
最後に「子どものゆたかな学びを実現し、教職員の超勤・多忙化解消のため、組織の強化・拡大をすすめる特別決議」を採択。9月から組合独自に勤務時間の精査に取り組み、1年単位の変形労働時間制の導入に向け準備を進める道・道教委に対し、勤務実態を明らかにして一方的な導入を阻止する必要性を示した。
◆信頼関係深め運動強化 木下中央執行委員長あいさつ
北教組の第124回中央委員会における木下中央執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。
感染症対策によって、各級段階の運動にも多くの制約が生じることとなっている。従来の活動ができないことによって、職場で教育実践の悩みを相談できない、当然の権利を要求して確保できない教職員が一人でもいるとすれば、その思いに寄り添うとともに、私たち組合がこの課題にどのように機能すべきか、あらためて考え直さなければならない。
こうした中で、私たち北教組は、職場での活動を基本とした組織強化拡大・自主編成運動などを提起している。収束後の運動の足掛かりとなる成果として、日々の教育実践と同様に、試行錯誤を繰り返しながら、子どもたちと一緒に歩んでいくように、仲間と対話による信頼関係が深まり、これに基づく分会活動によって、北教組運動の土台が強化されることが必要である。
第201回通常国会においては、感染症への対応を盛り込んだ総額32兆円もの第2次補正予算が成立した。第1次補正予算に加えると総額は、約58兆円となる。
第2次補正予算においては、教職員を追加配置するとして310億円が計上されているが、いまだに「人を集められない」との理由で予算の完全な執行ができない状況となっており、「新しい生活様式」への対応などが付加されている教職員は一層疲弊している。
検温・健康観察のための始業前時間外勤務、子どもの下校後終業時刻を過ぎての校舎・教室の消毒業務・トイレ清掃、翌日の授業準備、家庭連絡、事務処理など。「ビルド&ビルド」にビルドされたことによって、さらに過酷な勤務実態になっている、との声は北海道のみならず全国各地の現状となっている。
こうした状況にもかかわらず、第2次補正予算の全体における文部科学省事業予算の割合は1%にも達していない。全国的な教員不足が指摘され、教育崩壊も危惧されているが、「給特法7条が改正され、給特法の廃止・抜本的見直し」に向けて動き出している中で、教育委員会や管理職は教職員の使命感や献身性を求めてはならないし、そのような姿勢が現実にあることは大きな問題点である。私たちは、教職員の安全と健康の確保のため、処遇改善や大胆な定数改善等の教育条件整備の予算を拡充することを求め続けなければならない。
国難突破と気勢を上げ、危機をあおって改憲項目に緊急事態条項をもち出し、平和をないがしろにする。そして、教育予算を抑制する中で経済効率と市場原理によって子どもたちを追いつめている政治姿勢を断じて容認してはならない。
子どもたちが平和と平等な社会で暮らすことから遠ざけ、弱肉強食、かつ自己責任一辺倒の状況に追い込み、コロナ禍で一層深刻とさせた今の社会の在り方を変えていくことが、民主教育確立の根幹であることを私たち教育労働者は再認識し、「対話運動」や「自主編成運動」「組織強化拡大」「反戦・平和・護憲運動」など、具体的な運動を組合員が手を取り合って積み重ねていかなければならない。
北教組の第124回中央委員会で採択された特別決議の概要はつぎのとおり。
子どもたちは、新型コロナウイルス感染症による長期間の休校によって学校での学びが失われ、学校再開後も授業時数確保・点数学力向上が至上命題とされ、7時間授業、長期休業短縮、行事の中止などによって、本来あるべき豊かな学びが奪われている。このようなときだからこそ、私たちは、子どもたちにとって最善となる教育課程の工夫と、子どもたちの学ぶ意欲を大切にした授業実践を分会から確実に行い、次年度の第71次全道合研につなげていく必要がある。
教職員は、教育課程の変更・過密化を余儀なくされるとともに、学校内の消毒作業等によって過酷な勤務実態に一層拍車がかかっている。こうした中、道・道教委は4月、改正給特法に基づく時間外在校等時間の上限を定め、今後は、1年単位の変形労働時間制の導入が可能となる条例案を提出しようとしている。
これに対し私たちは、9月勤務実態記録による勤務時間の精査に取り組み、全道すべての地域・学校において教育委員会・校長による勤務時間の正確な把握を定着させ、過酷な勤務実態を明らかにし一方的な導入を阻止する必要がある。
各級段階の交渉や議会対策を強化し、定数改善や給特法の廃止・抜本的見直しなど実効ある超勤解消策を示させることが重要。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が進む中、子ども・教職員の命と健康を守るため、日教組や北政連議員と連携し「災害事故休暇の適用」「在宅勤務の実施」等をかちとるなど、あらためて組合の重要性が明らかとなった。
一方、例年各支部・支会において取り組んできた加入促進行動を進めることができず、新規加入者数が昨年度の35%程度にとどまり、自然減による退職者数を大きく下回っている。今こそ、全組合員が新採用者をはじめとした未組織者一人ひとりに声をかけ、危機感をもって組織強化・拡大に取り組まなければならない。
私たちは、早期全員加入の実現に向け、分会での声かけ活動を活性化させ組織拡大につなげるため、青年層組合員が積極的に参画した小規模の交流会などの第2期組織拡大総行動を強力に進める。
(関係団体 2020-09-02付)
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