北教組 高・特配置計画決定で声明 格差拡大 撤回・再考を 豊かな教育保障 運動強化(関係団体 2020-09-10付)
北教組(木下真一中央執行委員長)は8日、道教委の公立高校配置計画および公立特別支援学校配置計画の決定に対する声明を発表した。遠距離通学者や保護者の経済的負担の増加など貧困と格差を拡大させるものとし、計画の撤回・再考を要請。特別支援学校への入学希望を年々増加させ、分離・別学を一層進めるものと批判し「一人ひとりの子どもたちの要求に応えるゆたかな後期中等教育を保障する運動」の強化を表明した。声明の内容はつぎのとおり。
道教委は9月7日、2021年度から3年間の公立高校配置計画と2021年度および2022年度以降の見通しを示した公立特別支援学校配置計画を公表した。
公立高校配置計画は、2021~2022年度に14校で15学級減(前年度決定)を行うこととした上で、6月の計画案から、①美幌は、新型コロナウイルス感染症対策の影響に伴う地域の検討状況等を勘案し、2023年度に学級減とする学科を2021年度に決定する②2023年度に募集停止とされていた留辺蘂は、北見市内の高校配置に関する今後の地域における検討状況等を勘案するための期間を置くことから2021年度に決定すること―に変更した。
名寄・名寄産業をそれぞれ募集停止とし、再編によって新設校を設置すると変更した。一方で、小樽潮陵、室蘭栄、市立函館、旭川北、旭川南、旭川永嶺の6校は、6月の計画案どおり2023年度に1学級ずつの減とした。
入学者選抜後に1学級相当以上の欠員が生じ学級減となった21校については、長沼など9校が1学級復活したものの、札幌東豊、札幌あすかぜ、野幌、千歳北陽、浦河、斜里、音更、清水、大樹、白糠、標茶、伊達緑丘の12校は1学級減のままとした。
公立特別支援学校配置計画は2021年度について、全しょうがい児学校61校で、前年度より定員が60人減の1694人としたものの、6月の計画案で1学級減としていた札幌伏見支援学校と平取養護学校の普通科を学級数維持と変更した。さらに、知的障がい特別支援学校高等部の配置の見通しでは、2022年度に「道央で4学級相当の定員の確保を検討」、2023年度には「道央圏で2学級相当の定員の確保を検討」とした。
道教委は、1学年4~8学級を適正規模としたこれからの高校づくりに関する指針(以下、指針)に基づき、中卒者数の減少によって生徒数を確保できないことをもって「教育機能の低下」として再編統合を進めてきた。これは子どもたちへの高校教育の保障を放棄することで、断じて容認できない。
2023年度に計画されていた「留辺蘂の募集停止の決定を2021年度に延期」としたが、単に中卒者数や地元からの進学者数による数合わせにこだわるのではなく、子ども・保護者の願いを最大限に尊重するとともに、地域事情を十分に考慮し、学校を存続させるべきである。
2020年度入学者選抜後に欠員が生じ学級減とした21校のうち、12校は1学級減のままとなった。2016年までは、6月の計画案公表時に判断していたが、計画決定時に判断することとなってからは、進学を考えていた子どもや保護者にとって、進路変更の検討を余儀なくされるなど、大きな混乱を生じさせるものである。
また、野幌、千歳北陽を新たな特色ある高校として、「基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着や社会的・職業的自立に向け必要な能力や態度を育成する学校に位置付ける」としたが、こうした子どもや保護者の願いである学びの充実は、一部の学校に特化して行うものではなく、すべての学校における課題である。文部科学省・道教委が「特別支援教育」の名のもとに進める差別・選別の施策は、中卒者数が減少傾向にもかかわらず特別支援学校への入学希望を年々増加、とりわけ知的障がいの進学者数の割合を増加させ、分離・別学を一層進めているものとなっている。
また、「分けることは差別につながる」とした国連障害者権利条約の理念に基づき、希望する子どもたちの地元の普通高校への進学を保障するため、すべての学校において合理的配慮などの教育条件整備を早急に進めることが、果たすべき最大の役割である。
本配置計画は、地域の経済と文化の衰退を招くとともに、遠距離通学者や保護者の経済的負担の増加など、貧困と格差を拡大させるもので断じて容認できない。私たちは引き続き、子ども・保護者・地域住民の高校存続を求める声を結集し、指針と配置計画の撤回・再考を求めるとともに、希望するすべての子どもが障がいのある・なしにかかわらず地元で学べる地域合同総合高校の設置など、一人ひとりの子どもたちの要求に応えるゆたかな後期中等教育を保障するため、道民運動を一層強化していくことを表明する。
(関係団体 2020-09-10付)
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